【高松宮記念】条件好転で2年半ぶりのGⅠ制覇へ 京大競馬研の本命はママコチャ

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春のスプリント王者を決める一戦
3月29日(日)に高松宮記念(GⅠ)が行われ、春のGⅠシーズンが開幕する。メンバーは昨年の勝ち馬サトノレーヴ、スプリンターズS勝ち馬ウインカーネリアン、スプリント路線を最前線で長らく牽引してきたナムラクレア、ママコチャなど、頂上決戦にふさわしい実力馬18頭が集結した。引退レースとなるナムラクレアが悲願のGⅠ制覇なるかにも注目が集まる。
以下では、本レースが行われる中京芝1200mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。
内ラチ沿いを通すことが最も重要
まずは中京芝1200mのコース形態をみる。向正面からスタートし、初角までの距離は約315m。緩やかな上り坂を進んだ後、下り坂に転じ、直線半ばまで下り坂。3~4コーナーはスパイラルカーブで最終直線は412.5m、ゴール手前340m地点から240m地点にかけて高低差2.0mの急な上り坂が設けられている。この坂を登り切った後も約240mの平坦な直線が待ち構えている。全体としてタフなコースレイアウトだ。
まず注目すべきは初角までの距離が約315mとそこまで長くない点と、スタート直後が上り坂になっている点だ。坂でテンのダッシュが付きにくく、登り切った後の先手争いも長引きにくい。短距離の上級条件にしては比較的穏やかな序盤戦になりやすい。
その後下り坂に転じ、3~4コーナーで一気にペースアップ。序盤で脚を溜めた先行勢が加速していく。直線に入るまでに後方勢が先行勢とのポジション差を埋めにくい。
また、3~4コーナーはスパイラルカーブであり、スピードを保ったまま直線に進入すると外に振られやすい。膨れた先行勢のさらに外を回す後方勢は厳しい競馬を強いられる。最終直線も半ばで急坂があり、それを登り切った後も平坦な直線が続くタフなコース形態。全馬の終盤の脚色は鈍り、上がりに差が生まれにくい。
したがって、序盤~中盤で積極的に前に位置を取り、ラチ沿いを通すことが出来る器用な先行馬が恵まれやすい。これがこのコースが持つレースの質だ。
過去10年中7年で4角6番手以内馬が勝利

<高松宮記念 4角6番手以内馬の成績>
【7-3-5-53/68】
勝率10.3%、連対率14.7%、複勝率22.1%、
単勝回収率147%、複勝回収率166%
※過去10年
この傾向は数字にも表れている。高松宮記念における4角6番手以内馬の成績は上記に示した通り優秀だ。過去10年中7年、前でロスなく立ち回った馬が勝利している。ただ連対、馬券圏内で見ると大多数を占めているわけでもなく、中団インから馬群を捌いた差し馬の好走も目立つ。
脚質以上に、最も重要なのは内ラチ沿いを通せるかどうか。道中内目で脚を溜められれば、差し馬にも十分チャンスがある。今回のメンバーでどのくらい先行馬が揃っているか、差し馬が好走可能かどうかを、次章の展開予想で考えていく。
快速馬ピューロマジックが引っ張るハイペース
続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は直近の国内戦における通過順位に3番手以内のある先行馬が5頭と、出走馬全18頭に対して少なくない。
最もテンが速いのはオーシャンSを前半600m32.0秒の超ハイペースで逃げたピューロマジック。次に先行力のあるインビンシブルパパを置き去りにして逃げられるほどだ。また、この暴走にも見える逃げは前回限りでなく、複数回繰り返してきた。
オーシャンS同様、今回もピューロマジックが超ハイペースで引っ張れば、離れた2番手でも600m通過33秒を切って不思議ない。ハイペースが予想される。
この展開で恵まれるのは、先行集団を見ながら中団インで脚を溜められる追走力と、堅実な末脚がある馬だ。中京のタフなコース形態でまともにピューロマジックについていって残すのは至難の業だが、ハイペースで悠々と馬群の外を回して差し切れるほど中京の内有利とスパイラルカーブは甘くない。
したがって、中団に位置を取れる追走力と、内をロスなく立ち回れる器用さ、内から馬群を捌いて急坂でも伸び続ける末脚、イン差しの経験を展開面からは評価したい。以上を踏まえて印を打つ。
昨年はメンバー中で最も強い競馬
◎ママコチャ
安定した先行力と堅実な末脚を持つ一頭。前走のオーシャンSは前半600m32.0秒の超ハイペースを5番手で先行。初角までの距離が短く外枠の不利が大きい中山芝1200mで、14番枠から終始2、3頭分外を回って追走した。内ラチ沿いをぴったり回った馬が上位を占める超イン差し有利な展開で、大外から伸び続けて0.1秒差4着と勝ちに等しい内容だった。
昨年の高松宮記念も不利な外枠から内に潜り込めず、終始外を回し続ける厳しい競馬。スパイラルカーブでも6頭分の大外を回して位置を押し上げ、上がり3F3位で0.3秒差3着に入った。道中内に入れて脚を溜め、直線でスムーズに外に持ち出せたサトノレーヴ、ナムラクレアと比較して、着差以上に評価できる。最も強い競馬をしていたと評価する。
今回は叩き2走目で、並びからして昨年より内に潜り込める枠に入った。先行集団を見ながら中団インで脚を溜められる追走力と末脚を持ち、展開面でも恵まれる一頭だ。再度ピューロマジックが引っ張る超ハイペースでも前走以上のパフォーマンスが期待できる。展開不利で馬券外となった前走を受けてオッズ妙味が見込まれる。
◯エーティーマクフィ
前走のシルクロードSは度重なる接触で明らかに能力を出し切れておらず完全に度外視可能。注目は2走前の京阪杯。前半600m32.7秒のハイペースで展開が向いたとはいえ、ルガル、ヨシノイースター、レイピアを外から悠々と差し切って能力の高さを示した。今回は2枠3番と絶好枠に入った。内ラチ沿い追走からのイン差しに期待したい。前走の度外視可能な敗戦でかなりの妙味がある。
▲ヨシノイースター
オーシャンSはママコチャ同様、不利な大外枠から超ハイペースを7番手で追走。イン差し有利な展開で大外から伸び続けて0.2秒差5着と、着順、着差以上に評価できる内容だった。スプリンターズSでも0.4秒差5着に好走したように地力は十分。4枠7番と枠もいい。ママコチャとの比較でオッズ妙味もかなり高い。
△サトノレーヴ
昨年の本レース勝ち馬。前走の香港スプリントは馬場の不利もあったが、何より勝ち馬が怪物カーインライジングであることを考えれば評価を下げる敗戦ではない。中山のスローペース、内前決着となったスプリンターズSと比較して、今回想定される中京のハイペースの方が間違いなく合う。近2走からの上積みを見せれば順当に好走可能とみる。
×パンジャタワー
前走の1351ターフスプリントはペースが上がった区間で大きく外を回す不利がありながら、大きく離されることなく5着。6着馬フォーチュンタイムが阪神Cでルガル、ナムラクレアに次ぐ0.2秒差3着に好走していることからも高く評価できる。キーンランドCの内容からも地力は十分。最内枠から馬群を捌いてイン差しを決められれば。
×ビッグシーザー
2走前は約10か月ぶりのレースで度外視可能。オーシャンSは差し有利な展開が向いたとはいえ、外枠から外を回した分のロスが響いた。ただその中でも近2走、持ち前の末脚は発揮できている。1枠2番の絶好枠から内で脚を溜め、スムーズに追い出せれば。
×ナムラクレア
地力最上位の一頭。もうレースで証明することは何もないほど、日本のスプリント路線を最前線で牽引し続けてきた。馬券とは関係なく、悲願のGⅠ制覇で有終の美を飾れることを心から祈る。
買い目は◎単勝1点、◎-◯▲△×馬連6点、◎-◯▲△-◯▲△×3連複12点で勝負する。
▽高松宮記念予想▽
◎ママコチャ
◯エーティーマクフィ
▲ヨシノイースター
△サトノレーヴ
×パンジャタワー
×ビッグシーザー
×ナムラクレア
ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。
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