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【高松宮記念】キングヘイローが“11度目の正直” 名血をつないだ栄冠の一戦をプレイバック

2026/03/23 17:00
緒方きしん
プレイバック2000年 高松宮記念,ⒸSPAIA

“黄金世代”98年クラシック組の実力馬参戦

今週は高松宮記念が開催される。過去にはローレルゲレイロやキンシャサノキセキ、ロードカナロアらが制したレース。今回はそんな中から2000年の一戦をピックアップして当時を振り返っていく。

2000年の高松宮記念は、3強対決の構図となっていた。単勝2.2倍の1番人気に支持されたブラックホークは、前年スプリンターズSを制してスプリント王となると、年明け初戦の阪急杯も勝利。万全の態勢での参戦であり、人気するのも当然であった。

2.7倍の2番人気で追うのがアグネスワールド。前年にはフランスのアベイ・ド・ロンシャン賞を制する偉業を達成。帰国後、同年スプリンターズSではブラックホークの2着と惜敗したが、この舞台での逆襲に燃える。

3番人気のマイネルラヴは、前々年のスプリンターズSでタイキシャトル、シーキングザパールといった強豪を撃破。翌年のスプリンターズSでも4着と善戦するなど、同世代のアグネスワールドに負けじと駒を進めてきた。

上記GⅠ馬たちが人気上位を占めるなか、4番人気に推されたのは、目下GⅠ10連敗中の馬だった。

最初のGⅠ挑戦だった皐月賞では、1番人気スペシャルウィークの追撃を凌いで先着するも、前を走るセイウンスカイをとらえきれず2着惜敗。観衆も驚く逃げをうったダービーでは14着と大敗してしまう。同年秋も菊花賞5着、有馬記念6着と善戦はするものの、GⅠ勝利には手が届かなかった。

初めて挑んだ古馬GⅠの安田記念では11着と大敗。宝塚記念と天皇賞(秋)でも続けて掲示板を逃すと、以降はマイル以下の路線に照準を合わせる。すると勝利は掴めなかったものの、マイルCSで2着、スプリンターズSで3着と、連続好走を果たす。

翌年、初ダート挑戦のフェブラリーSでは、GⅠで初めて1番人気に支持されるも13着に大敗。そして、11度目のGⅠ挑戦として乗り込んだのが、2000年の高松宮記念だった。その馬の名は、キングヘイローである。

ゴール直前で猛然と追い込む

ゲートが開くと早々に各馬、火花を散らす展開に。戦前の予想通り、最内枠から牝馬のメジロダーリングがハナを奪うと、アグネスワールドやシンボリスウォードらが続き、ブラックホークも530キロ超の雄大な馬体を存分に使い、外から5番手付近を追走する。上位人気2頭が前に行く一方で、マイネルラヴ・キングヘイローは中団からレースを進めた。

道中、大きなポジション変更はないままコーナーを迎え、最後の直線へ。2番手のアグネスワールドが武豊騎手のアクションに応えて脚を伸ばすと、逃げるメジロダーリングを捉える。

しかし、背後のインからディヴァインライトが急襲。一気に交わして先頭に立つ。抜かれたアグネスワールドが抵抗し、さらに外からはブラックホークが前2頭に迫る。

勝負は3頭に絞られた──と思ったその時だった。大外から1頭、猛然と追い込んできた。

ゴール直前で3頭を一気に抜き去り、先頭でゴールイン。ディヴァインライトと福永祐一騎手のコンビをクビ差で捉えたのは、キングヘイローと柴田善臣騎手だった。

3着にはアグネスワールドが入線。奇しくも、スペシャルウィークやエルコンドルパサー、グラスワンダーらを擁した“黄金世代”による上位独占となった。

4番人気キングヘイロー、8番人気ディヴァインライトでの決着とあって、馬連配当は16,330円の万馬券。2頭のワイドも3,170円と、波乱の高松宮記念となった。レース後は、悲願のGⅠ制覇を成し遂げたキングヘイローに、多くのファンから祝福の声が送られた。

ナムラクレアが悲願のGⅠ獲りへ

その後、キングヘイローは勝利を挙げることなく同年末に引退。GⅠは1勝にとどまったが、血統的な価値は高く、種牡馬入りを果たす。短距離王者ローレルゲレイロ、ダート女王メーデイア、クラシック路線では牝馬二冠のカワカミプリンセスと、さまざまな路線に活躍馬を送り出した。

さらには母の父としてもその血は輝きを放ち、“世界最強”とも称されたイクイノックスが誕生。ほか、短距離でピクシーナイト、長距離でディープボンド、ダートでディクテオンやキングズソードと、多様な路線で活躍馬を輩出している。クラシック、ダート、スプリントと幅広い舞台を戦い抜いたキングヘイローの現役時代のようである。

そのイクイノックスは期待の種牡馬として多くの名牝に種付けされ、初年度産駒は来年にデビュー予定。キングヘイローの血はさらに日本競馬界に深く根付いていくことだろう。そう考えると、あの高松宮記念での勝利は、その後の日本競馬界に大きな影響を与えた一戦といえる。

今年の高松宮記念には、キングヘイローと重なる軌跡を歩む馬がいる。ナムラクレアだ。2歳時の阪神JFから延べ10度のGⅠ制覇に挑むも、勝ち星はない。高松宮記念では3年連続で僅差の2着と涙を飲んでいる。

今回ラストランを予定している7歳牝馬が「11度目の正直」で有終の美を飾れるか、注目したい。

《ライタープロフィール》
緒方きしん
札幌生まれ、札幌育ちの競馬ライター。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、オレハマッテルゼ、ドウデュース。

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