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【阪神大賞典回顧】アドマイヤテラが3馬身差Vで春盾へ弾み “泰然自若”武豊騎手の凄みが詰まった一戦

2026/03/23 10:30
勝木淳
2026年阪神大賞典、レース結果,ⒸSPAIA

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自然流を貫いたアドマイヤテラ

天皇賞(春)の前哨戦阪神大賞典はアドマイヤテラが勝利し、重賞2勝目。2着アクアヴァーナル、3着ダノンシーマで決着した。武豊騎手が40年連続重賞勝利を決めた。

阪神大賞典は通算9勝目。最初は1991年メジロマックイーンなので、35年も前のことだ。メジロマックイーンは翌年も勝ち、連覇。マヤノトップガンと壮絶な競り合いを制したナリタブライアン、スペシャルウィーク、ダイタクバートラム、リンカーン、ディープインパクト、アイポッパーと続き、アドマイヤテラの勝利は19年ぶりになる。

これだけ空白期間がありながら、再び自身の記録を更新したのも武豊騎手がレジェンドたるゆえんだろう。体力、気力に衰えがない。永遠に騎手であり続けるという言葉は真実味がある。

アドマイヤテラの阪神大賞典はまさに武豊騎手の凄さを端的に示した競馬だった。どう考えてもスローになるレースは案の定、最初の1000m1:02.5とかなり遅い入りになった。

最内枠に入ったアドマイヤテラはいい意味でなにもせず、自然流でポジションをとる。騎乗馬に無理を強いず、あくまで気分よく走らせる。行きたがる素振りをみせれば、手綱を柔らかく使ってコントロールし、ストレスを与えない。

一方でライバルたちはファミリータイムがしびれを切らせるように前に動くなど、正面スタンド前で隊列に変化が見えた。逃げるサンライズソレイユもそんな動きに反応し、中盤でペースを上げた。中盤1000mは1:01.2。ここが緩まなかったのがこのレースの特徴だ。


確信をもって騎乗した武豊騎手

外で動きがあるなか、武豊騎手とアドマイヤテラは気にすることなくマイペースを貫いた。中盤で順位を落としたのは、あくまで周りがペースを上げただけであり、アドマイヤテラはリズムをまったく変えていない。

中盤、悠然と構えたことが終盤の伸びにつながった。動きたい馬を先にやり、自身は自分のタイミングで仕掛ける。これこそ泰然自若というもの。アドマイヤテラの力を信頼しきる姿が頼もしい。

直線で包まれるのを嫌い、4コーナー手前で動いていき、先行勢の外をとり、抜け出した。最初に入れたステッキ一発で勝負は決した。

終わってみれば3馬身差。ここでは力が抜けていた。そして、武豊騎手はその確信があった。そんな俯瞰した視点も武豊騎手がトップであり続ける要素の一つ。我々が血眼になって武豊騎手を負かす馬を探しても、そのすべてを見透かされているような気がしていた。その感覚は今も変わらない。

勝ち筋がみえており、その筋を正確になぞってくる武豊騎手に勝てる日は来る気がしない。途方もない時を経てもなお、独特の絶望感を味あわせてくれる存在などそうあらわれないだろう。

アドマイヤテラはこれが重賞2勝目。菊花賞は早めにマクっていく勝負に出て、3着だった。以前からステイヤー資質の高さを感じていたが、じっくり力をつけ、いよいよその才能が開花するときを迎えた。天皇賞(春)はGⅠタイトルを手にする大きなチャンスになりそうだ。


長距離にメドを立てたアクアヴァーナル

2着アクアヴァーナルはアドマイヤテラの一列前のインにいた。上記の通り、中盤でペースアップするタフな流れだったことを考えると、インでじっとしていたことが効いた。じわっと脚を使う流れで外を通るのは厳しすぎる。アドマイヤテラには完敗だったが、ここ2戦で長距離戦でのメドは立てた。

3着はダノンシーマ。前走から1000mの大幅距離延長を克服する形だった。走りのリズムもよく、長距離特有のペースダウンも苦にならない。アドマイヤテラを目標に仕掛けを合わせるように乗ったことも好走につながった。2400mがベストも、それ以上でも戦える。逆に白富士S勝ちこそあれど、2000mの重賞だとスピードで苦労する可能性もありそうだ。


2026年阪神大賞典、レース回顧,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『サラブレッド大辞典』(カンゼン)に寄稿。

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