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【オーシャンS回顧】岩田康誠騎手の迷いなきイン突きが炸裂 開幕週の馬場と激流を味方にペアポルックスが重賞初V

2026/03/02 11:07
勝木淳
2026年オーシャンS、レース結果,ⒸSPAIA

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迷いのない騎乗がたぐり寄せた勝利

高松宮記念の前哨戦であり、春の中山開幕を告げるオーシャンSはペアポルックスが制し、重賞初制覇。2着レイピア、3着ルガルで決着した。

中山は春、秋、冬と開催が行われるが、どの季節も開幕週の芝はインを通ってくる先行型が有利であり、ことワンターンの1200m戦は隊列の入り替えが起こりにくいことも手伝い、内枠勢が極端に強い。外枠から好走するのは確固たる実績馬でないと難しい。

結果としては例年通りの内枠決着ではあったが、おそらく的中した方も思い描いたレースではなかったはずだ。まさかペアポルックスが追い込みを決めるとは。そんな心境だったと推察する。

たまにスタートでミスする馬だが、今回は少し遅れた上に内外から挟まれてしまい、完全に一歩引かざるを得なかった。さすがに岩田康誠騎手も想定していたレースではなかったのではないか。

一方でどうなろうと岩田康誠騎手は枠順が出た時点で、必ずインを突くと決めていたはずだ。インを突くことで騎乗馬を好走させる騎手であり、その迷いはなかった。結果的にこの迷いなきイン突きが勝利をたぐり寄せた。


ペアポルックスに重なる母の母イルバチオ

さて、ペアポルックスの行き脚がつかなかった一方、真ん中のピューロマジックは抜群のダッシュを決めた。内枠勢も出てこない。かくなる上は先手をとろう。と、ここまではよかったが、その後、どうもピューロマジックはリラックスできなかった。2番手を進む隣枠のインビンシブルパパは人気を背負っており、これより前に行く必要はあった。

2頭はともに昨年11月ブリーダーズCターフスプリント以来の出走だったが、アイビスSDで上手く控えて重賞タイトルをつかんだピューロマジックは休み明けに加え、ちょっとリズムが乱れた印象がある。

後ろがついて来ないにも関わらず前半600m32.0は速い。捕まえに動かざるを得なかったインビンシブルパパ、ルガルは厳しい展開を強いられる形になった。

こうなれば後半は失速ラップになる。ラストは11.4-11.6-12.0、35.0で前後半のラップ差は3秒もあった。であっても、3着ルガルをとらえるには内を立ち回らないと間に合わない。開幕週らしい馬場バイアスと展開。ペアポルックスはこの二つを見事に味方につけた。

これで追い込み馬として結果を残したとはいえず、この先、ますます馬券的に付き合いにくい馬になる可能性は高い。とはいえ、ルガルが前の2頭を外からパスし、がらんとしたインに先に仕掛けながら真っ直ぐ入り、レイピアの前に出られたように、実に鮮やかな競馬だった。

ペアポルックスの追い込みは母の母イルバチオを思い出す。2003年アイビスSDを左海誠二騎手で追い込んで勝った。後方から直線にかけるというスタイルを貫いた個性派であり、馬券で気持ちいい思いをさせてもらった。

逃げや追い込みといった極端な競馬は決まったときは爽快そのもの。ただ、毎度決まるわけではなく、この手の個性派は我慢強く追いかけないと的中にたどり着かない。祖母と同じく追い込みを決めたペアポルックスも馬券を買い続けると、大きな配当に行き当たるのではないか。


わずかな違いしかなかったレイピア

2着レイピアはシルクロードSに続きまたもタイトルを逃した。前回はスローで、今回は超ハイペース。ラップ構造がまるで違う重賞で連続好走できたのは収穫だった。ペアポルックスとの差はインに切りかえるタイミングと、進路を見出すまでエンジンを吹かすような状態だった分だろう。

相手はノーブレーキで後ろからインを抜け、こちらは内に切りかえてからエンジン全開になった。このわずかな違いだけに悔しいところだが、言いかえれば勝ち馬との差はそこだけ。もう重賞タイトルは目の前だ。

3着ルガルは人気を背負い、勝ちに行く競馬をした分、最後に少し甘くなったか。これは1番人気だけにやむを得ない。外に出さなければ、前の2頭を交わせなかった。他力本願ではなく、自力で動かないといけない。人気を背負って重賞を勝つのは簡単ではない。

4着ママコチャも同じ。枠順を考えても、外から攻めざるを得ず、リスクは背負えない。与えられた状況のなかで精一杯の競馬だった。


2026年オーシャンS、レース回顧,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『サラブレッド大辞典』(カンゼン)に寄稿。

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