【有馬記念】メイショウタバルは買える?過去の「宝塚記念勝ち馬データ」で見る春秋グランプリ制覇の可能性

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暮れの大一番・有馬記念
今週末はいよいよ有馬記念(GⅠ・中山芝2500m)が開催される。今年の日本競馬の総決算となるグランプリ。今年はC. ルメール騎手との再タッグで連覇を目指すレガレイラ、戸崎圭太騎手とのコンビで昨年3着のリベンジへ挑むダノンデサイル、今年の皐月賞でクロワデュノールやマスカレードボール相手に完勝したミュージアムマイルなど、豪華メンバーが揃った。
今回の記事で取り上げるのは、史上12頭目の春秋グランプリ制覇に挑むメイショウタバル。今年この世を去った松本好雄元オーナーの思いを胸に、武豊騎手の手綱でメイショウ軍団悲願の有馬記念制覇を目指す。
そこで今回は「メイショウタバル春秋グランプリ制覇の可能性を探る」をテーマに、同年の宝塚記念の勝ち馬は有馬記念で買えるのか、買えないのかをデータで分析していく。なお、対象とするデータは2000年以降とした。
複勝率100%データに該当!

<同年の宝塚記念勝ち馬 条件別成績>
全体成績【5-1-3-8】
勝率29.4%/連対率35.3%/複勝率52.9%/単回収率94%/複回収率84%
4歳馬【3-0-1-1】
勝率60.0%/連対率60.0%/複勝率80.0%/単回収率108%/複回収率104%
前走・天皇賞(秋)【2-0-0-2】
勝率50.0%/連対率50.0%/複勝率50.0%/単回収率162%/複回収率70%
宝塚記念0.4秒差以上勝ち【3-0-3-0】
勝率50.0%/連対率50.0%/複勝率100.0%/単回収率173%/複回収率150%
同年の宝塚記念を制した馬は勝率29.4%、単回収率94%とまずまずの成績。この時点で十分「買える」といっていいだろう。
以下、様々な側面から同年の宝塚記念馬の有馬記念でのパフォーマンスを探っていく。
■年齢
5歳馬が【2-0-2-6】複勝率40.0%、複回収率65%なのに対して、4歳馬は【3-0-1-1】複勝率80.0%、複回収率104%を誇る。崩れたのは凱旋門賞帰りだった22年のタイトルホルダーだけで、信頼度は非常に高い。
というのも、4歳で宝塚記念を勝利するのは非常に難易度が高く、近年の達成馬にはイクイノックス(GⅠ6勝)、タイトルホルダー(GⅠ3勝)、クロノジェネシス(GⅠ4勝)、ゴールドシップ(GⅠ6勝)、オルフェーヴル(三冠含むGⅠ6勝)と名馬たちがズラリ。メイショウタバルも宝塚記念の1勝で終わるような器とは思えない。
■ローテーション
前走が天皇賞(秋)だった同年宝塚記念勝ち馬は【2-0-0-2】で勝率50.0%、単回収率162%と優秀。一方、前走ジャパンカップ組だと【2-0-1-4】で勝率28.6%、単回収率41%と好走率も妙味も天皇賞(秋)組を下回っている。
やはり天皇賞(秋)からの臨戦の方がジャパンCよりも間隔を空けて有馬記念に出走することができるため、余力の面でのアドバンテージはある。
■宝塚記念でのパフォーマンス
宝塚記念で2着に0秒4差以上をつけた馬は【3-0-3-0】でなんと複勝率100%を誇る。0秒3差以上にまで条件を緩めても【4-1-3-2】複勝率80.0%、複回収率132%の好成績だ。
馬券外に敗れたのは、勝利した宝塚記念が京都開催かつ秋は2ケタ着順続きと苦戦していたブローザホーンと、上述した凱旋門賞帰りのタイトルホルダーの2頭だけである。
メイショウタバルは今年の宝塚記念で2着ベラジオオペラに0秒5差をつけており、この複勝率100%データに該当。あの圧勝は決してフロックではない。
直近の競馬場傾向も後押し

<2025年第5回中山開催 芝1800m以上戦成績>
4角3番手以内【8-5-4-11】
勝率28.6%/連対率46.4%/複勝率60.7%/単回収率131%/複回収率129%
4角7番手以下【1-0-2-11】
勝率7.1%/連対率7.1%/複勝率21.4%/単回収率22%/複回収率35%
※単勝オッズ9.9倍以下
有馬記念の予想をするうえで、欠かせないのが直近の中山芝の傾向だ。特に今開催の中山は強烈な内有利の状態が続いている。
先週のターコイズステークスも内枠の先行馬が馬券内を独占。牝馬限定のハンデ戦という難解な条件とは言え5人気→6人気→10人気の人気薄3頭で決着し、後方に構えた1〜3人気馬が全て2ケタ着順に敗れる大波乱の結果となった。
この結果が示す通り、今の中山では差し馬の苦戦が目立つ。今開催の芝1800m以上のレースで単勝オッズ9.9倍以下に支持された馬に注目すると、4コーナーで3番手以内にいた馬が複勝率60.7%、複回収率129%と絶好調。反対に4コーナー7番手以下の馬は複勝率21.4%、複回収率35%と低調だ。とにかく内、そして前のポジションを取れるかどうかが勝負を分けている。
そこで今回の有馬記念で上位人気に支持されそうな馬に注目すると、レガレイラ(前走4角8番手)、ミュージアムマイル(同4角9番手)、ダノンデサイル(同4角9番手)と後方脚質の馬ばかり。となると、枠を問わず前をスッと取り切れるメイショウタバルの先行力は、この舞台で強力な武器になること間違いなしだ。
2着に0秒5差をつけた宝塚記念のパフォーマンスからも、天皇賞(秋)のような究極の瞬発力勝負ではなく、上がりのかかる消耗戦でこそ良さが活きるタイプ。同型との兼ね合いはポイントだが、今回は間違いなく前走よりパフォーマンスを上げてくるだろう。ジャパンCを使わず、余力を持って有馬記念に出走してくる点もプラス要素だ。
以上の理由により、本記事ではメイショウタバルは「買い」と判断。本命級の評価とする。
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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