【有馬記念】「前走GⅠで5着以内」の長距離実績馬を狙え データで導く穴馬候補3頭

データで見る「穴候補3頭」
2025年の中央競馬もいよいよ最終決戦。12月28日(日)に有馬記念が行われる。連覇を狙うレガレイラに昨年のダービー馬ダノンデサイル、武豊騎乗の宝塚記念勝ち馬メイショウタバル、皐月賞馬ミュージアムマイルなど、今年もさすがの好メンバーが出そろった。
根本的にレベルが高いこともあって極端な荒れ方はあまりしないレースだが、過去10年で5~11番人気の馬が2勝、2着7回と中穴の台頭は多い。様々な切り口のデータを駆使して3頭の穴候補を導き出した。
前走着順と長距離GⅠ実績で絞り込め ジャスティンパレス
まず1頭目はジャスティンパレス。2歳でのホープフルS2着から長らく国内の王道路線を戦い抜き、4歳時には天皇賞(春)を制した実績馬だ。ラストランとなる今回はジャパンC5着から参戦する。

有馬記念は1着賞金5億円を争う「GⅠの中のGⅠ」。前走別データをざっくり見るだけでもその要求水準の高さが分かる。過去10年で、前走がGⅡ以下だった馬は【1-0-0-31】とさっぱり、「GⅠで6着以下」も【0-3-2-57】複勝率8.1%、複回収率も23%と不振だ。基本的には「GⅠで5着以内」【9-7-8-41】複勝率36.9%に該当する馬から検討したい。
上記のうち「2500m以上のGⅠ連対歴がある馬」は【2-3-7-7】複勝率63.2%、複回収率152%。長距離GⅠでの実績がありつつ、直近のGⅠでも掲示板を確保してきた馬。これが狙い目となる。
今年は唯一ジャスティンパレスが当てはまる。6歳を迎えた今年は宝塚記念からブリンカーを着用して3着、3着、5着と堅実に走っている。ジャパンCはカランダガン、マスカレードボールにこそ0.6秒差と完敗だったが、その2頭は今回おらず、再戦する3着ダノンデサイルとはわずか0.1秒差だった。
有馬記念は3度出走して7着、4着、5着止まりだが、今年はメイショウタバル&ミステリーウェイという明確な逃げ馬が2頭おり、一昨年や昨年よりハイペースで差しが届く展開になりそう。最後にもうひとつ大仕事をやってのけるかもしれない。
斤量有利の3歳馬は要マーク エキサイトバイオ
続いては3歳牡馬のエキサイトバイオ。こちらも前項で述べた「前走GⅠで5着以内」のラインを満たす1頭だ。菊花賞3着ながら当初は除外対象だったが、他馬の回避が重なってなんとか出走枠に滑り込んだ。

各所で言われている通り、有馬記念では3歳馬が好成績。過去10年で【5-2-3-16】複勝率38.5%だ。4歳以上【5-8-7-113】同15.0%より圧倒的に高い確率で走っている。単純に3歳で(ファン投票にせよ賞金順にせよ)出走枠に入れる馬≒強い馬、という側面もあるが、12月で古馬より2キロ軽い斤量面も有利なのだと推察される。
3歳のうち「牝馬限定以外のGⅠで4着内歴がある馬」に限ると【5-2-3-9】複勝率52.6%、複回収率127%にアップする。上位人気が想定されるミュージアムマイルはもちろん、エキサイトバイオもこれを満たす。
前走の菊花賞は小雨の稍重馬場で1000m通過60.8秒とまずまずシビアなペース。加えて残り1200mから12.2-12.0-12.1と後半のペースアップも早かったことで、道中15番手にいたエネルジコ、同17番手エリキングの追い込み決着になった。
エキサイトバイオ自身は通過順4-5-2-1で3着。他の先行勢は9着レクスノヴァス、12着ライトトラック、14着ショウヘイ、16着ヤマニンブークリエ、18着ジーティーアダマンと軒並み大敗しており、この馬だけ展開不利のなかでよく粘った。近親に天皇賞(春)勝ち馬レインボーラインがいる血統でスタミナは抜群。消耗戦になれば面白い。
長距離の友道厩舎、長距離のレイデオロ アドマイヤテラ
最後はアドマイヤテラを取り上げる。ジャパンCはスタート直後に躓いて無念の落馬競走中止。秋3戦目で反撃を期す。管理するのは名門・友道康夫厩舎だ。

芝の長距離戦と言えば友道厩舎の十八番。過去10年、芝2500m以上のJRA・GⅠにおいて友道厩舎の成績は【3-3-7-29】複勝率31.0%、複回収率104%とギリギリながら黒字圏に入っている。
単勝オッズ50倍以上の超人気薄を除けば【3-3-7-17】同43.3%、複回146%だ。有馬記念でも一昨年ドウデュースでの勝利以外に、シュヴァルグラン(2回)とワールドプレミアで3着が3回ある。
また、アドマイヤテラの父はレイデオロ。レイデオロも芝長距離に強い種牡馬で、芝2500m以上では通算【9-9-3-22】複勝率48.8%、複回収率113%をマークしている。特に2勝クラス以上の上級条件なら【4-4-3-5】同68.8%、複回195%と安定感抜群だ。
アドマイヤテラは昨年の菊花賞で3着。今春の天皇賞(春)を勝ったヘデントールとハナ差で、同2着&フォワ賞勝ちのビザンチンドリームには先着した。完全に詰まっていた6着ダノンデサイルや、距離不適だった16着メイショウタバルとの比較は参考外だが、4歳世代上位の能力があることは確かだ。
京都大賞典は開幕週らしく内が有利な馬場で、4角は内から4頭目を押し上げて進出。逃げていたサンライズアースが外に膨れてきたことで大きく距離をロスしてしまった。0.3秒差4着なら決して見限れない。
《ライタープロフィール》
鈴木ユウヤ
東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、Xなどで発信している。好きな馬はショウナンマイティとヒガシウィルウィン。
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