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【有馬記念】重要血統「Lyphardクロス」内包馬は複勝率50% 傾向合致の注目2頭

2025/12/25 06:00
坂上明大
有馬記念の傾向と注目血統,ⒸSPAIA

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傾向解説

2025年を締めくくるグランプリ・有馬記念。東京開催の天皇賞(秋)やジャパンCとは異なり、中山芝2500mというトリッキーなコースで行われる本レースは地力だけでなく立ち回り力も重要となる一戦です。本記事では血統面を中心に、有馬記念のレース傾向を整理していきましょう。

まず、紹介したいデータは年齢別成績。日本競馬が芝1600~2500mを中心に形成されていることはGⅠの数や賞金額からも明白で、それは競走馬の生産自体が「強い芝中距離馬をつくる」ことをメインテーマにしていることを意味します。

層が厚いがゆえに世代交代のスパンが短く、過去10年の有馬記念では6歳以上での好走例は、6歳馬による2回のみとなっています。一方で、菊花賞からローテーションを組みやすく、斤量面の恩恵も大きい3歳馬の活躍が目立っています。菊花賞や天皇賞(秋)からここを目標に参戦してくる3歳馬には大注目です。


年齢別成績(過去10年),ⒸSPAIA


<年齢別成績(過去10年)>
3歳【5-2-3-16/26】
勝率19.2%/連対率26.9%/複勝率38.5%/単回収率103%/複回収率93%
4歳【3-5-1-34/43】
勝率7.0%/連対率18.6%/複勝率20.9%/単回収率57%/複回収率47%
5歳【2-2-5-44/53】
勝率3.8%/連対率7.5%/複勝率17.0%/単回収率16%/複回収率50%
6歳以上【0-1-1-35/37】
勝率0.0%/連対率2.7%/複勝率5.4%/単回収率0%/複回収率24%

血統面ではLyphardの血に注目。Lyphard直仔では凱旋門賞馬ダンシングブレーヴが有名ですが、ディープインパクトの母父AlzaoもLyphard産駒であり、そのほかハーツクライの母母父にも名を残すなど、日本競馬とも関係の深い種牡馬です。

Lyphardはその母の父Court Martialに馬体の輪郭が似ており、Lady Juror→Fair Trial→Court Martial的なスピードと持続力が特徴といえます。その特徴を強く表現していたのが、Lyphardを4×4でインブリードした2017年勝ち馬キタサンブラックであり、同じくLyphardの4×4を持つ2014年勝ち馬ジェンティルドンナだったのではないでしょうか。

Lyphardは50年以上前に生まれた競走馬であるため、近年の勝ち馬であるキタサンブラックやジェンティルドンナ、リスグラシュー、イクイノックス、ドウデュース、レガレイラのように同血脈を刺激する必要はあります。ただ、それでも現在において有馬記念で重要な血筋であることは間違いないでしょう。


Lyphardクロス内包馬の成績(過去10年),ⒸSPAIA


<Lyphardクロス内包馬の成績(過去10年)>
該当馬【5-2-2-9/18】
勝率27.8%/連対率38.9%/複勝率50.0%/単回収率150%/複回収率107%

注目血統馬

前章で取り挙げた傾向に合う注目血統馬を2頭ピックアップしました。

☆レガレイラ
3代母ウインドインハーヘアに遡る名牝系に属し、母母ランズエッジは名馬ディープインパクトの3/4同血の妹。さらに、母ロカは2024年菊花賞馬アーバンシックの母であるエッジースタイルの全姉で、本馬はアーバンシックと同じスワーヴリチャード産駒でもあります。つまり、両馬は血統構成が酷似しており、いずれもゆったりとした流れが得意な、長距離タイプに出ています。

また、Lyphardの5×6・5由来の機動力は、前走馬体重480kgの本馬の方が活かしやすく、有馬記念への適性もメンバー中で上位です。昨年同時期から馬体重を10kg前後増やす成長を見せており、昨年からの2kgの斤量増にも対応可能でしょう。

☆アドマイヤテラ
4代母ウインドインハーヘアに遡る名牝系に属し、母アドマイヤミヤビは2017年オークス3着馬。レイデオロ産駒の本馬はウインドインハーヘアの4×4を持つ点が最大の魅力で、スレンダーでしなやかな馬体にも牝系の良さが表現されています。

友道厩舎という点からも豊富なスタミナが活きる長距離戦が主戦場。トニービンの血を引く馬らしく背中も長めで、芝長距離戦で息の長い末脚を活かす競馬がベストでしょう。Lyphardの6×5・6を持つため、有馬記念適性についても高評価です。


有馬記念の傾向と注目血統2頭,ⒸSPAIA



《ライタープロフィール》
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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