【全日本2歳優駿回顧】パイロマンサーが3連勝でGⅠ級初制覇 岩田望来騎手「来年飛躍してくれると思います」

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
スローペースを2番手追走
川崎競馬場で行われた全日本2歳優駿(JpnⅠ・ダート1600m)は岩田望来騎手が騎乗したパイロ産駒、パイロマンサーが勝利。デビューから3連勝で重賞初制覇を飾った。
直近の優勝馬の名前を振り返ると2022年デルマソトガケ、2023年フォーエバーヤングはその後海外のビッグレースで活躍。2024年のミリアッドラヴもこのレースの次走でサウジダービーに遠征と、世界に羽ばたくためのきっかけとなるレースでもある。
パイロマンサーは10月の京都ダート1800m戦でデビューした。重馬場だったとはいえ2番手追走から早め先頭のレースで2馬身差をつけての勝利、勝ちタイム1:51.8は同コースの2歳新馬戦では歴代2位の好タイムで、当時の2着馬ジャスティンダラスも次走であっさり勝ち上がるなどハイレベル。2戦目のもちのき賞も先行集団につけてゴール前きっちりと差し切る好内容で、勝ちタイム1:51.6(稍重)を記録しての参戦だった。
9頭立てとなった全日本2歳優駿はイダテンシャチョウが主導権を握る形で、12.9-11.4-13.3-14.1と中盤にかけてかなり遅いラップが刻まれるスローペースをパイロマンサーは2番手で折り合う。
3角でホッカイドウ競馬から参戦した1番人気ベストグリーンが並びかけ、直線では馬体を併せての追い比べになったが勝負根性を見せて振り切り、ゴール前で外から伸びたタマモフリージアも封じた。
勝ちタイムは1:44.2(稍重)。岩田望来騎手は「ナイター競馬も初めてですし、初めての左回りだったことに馬が戸惑っていました」と語ったように、序盤で少し若さものぞかせ、ゴール前で抜け出してから気を抜く場面もあった。そんな中、初めての小回りのマイル戦という点も含めて、さまざまな初めての経験を克服して勝ち切ったところは今後に向けて大きな収穫となったはずだ。
この一戦はケンタッキーダービー出走馬選定ポイントシリーズの対象でもあり、この勝利で20ポイントを獲得。「ここで勝てたことで来年飛躍してくれると思います」と鞍上が期待を口にし、管理する吉村圭司調教師からは「オーナーとも相談してUAEダービーには行きたいという話はしています」との言葉もあった。国内外を問わず今後の飛躍を期待したい。
1番人気のベストグリーンは3着
JBC2歳優駿を制して挑んだタマモフリージアは、前走から馬体を17kg絞っての出走。スタートは遅かったが、6番手を追走し勝負所でも置かれることなく流れに乗れていた。
こちらも初めての小回りで距離短縮という条件ながら、苦にする様子は見られず。クビ差及ばずの2着という結果ではあったが、この先につながる内容だったと言えるだろう。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
ホッカイドウ競馬から参戦したベストグリーンは、今回と同舞台で行われた前走の鎌倉記念で4馬身差の完勝。3着に敗れたゼーロスがその後にハイセイコー記念を制し、さらに6着スマトラフレイバーが平和賞を勝利したことで評価はさらに高まり、ここでは1番人気の支持を集めていた。
序盤はやや行きたがるのを制御しながら3番手の外というポジション。勝負所ではパイロマンサーと一緒に動いて追い比べとなったが、終始外を回り続けたロスも影響したのか最後に苦しくなってしまい3着。敗れはしたものの悲観するものではなく、力のあるところは十分に示した。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
《ライタープロフィール》
三木俊幸
編集者を経てフリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場でレースシーンを撮影しながら、執筆活動も行っている。
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