【中日新聞杯】狙いは前走凡走組の逆襲 中京巧者ジューンテイクの復活に期待

勝木淳

過去10年のデータから見る中日新聞杯,ⒸSPAIA

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大混戦の暮れのハンデ戦

かつて中日新聞杯は父内国産限定重賞だった。1981年から2007年までは父が内国産種牡馬でないと出走できなかった。ほかに父内国産限定重賞は愛知杯、カブトヤマ記念があったが、どちらも2003年まで。最後まで続いたのが中日新聞杯だった。

2007年勝ち馬はサンライズマックス。父ステイゴールド、母の父ダンシングブレーヴという血統だった。その後はエプソムCと小倉大賞典を勝ち、重賞3勝。中日新聞杯には10年、11年と計3回出走した。最後の父内国産限定重賞勝ち馬として、7歳終わりまで30戦を戦い抜いた。

中日新聞杯はその後、施行時期を春に変更。12月に戻ってきたのが17年のこと。今回のデータは12月施行に戻った17年以降の8回分を使用する。

人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気は【1-2-1-4】勝率12.5%、複勝率50.0%と凡走は半数しかないが、勝利はわずか1勝止まり。暮れのローカルハンデ重賞とくれば、馬券的にはそう易しくはない。

2番人気が【3-0-1-4】勝率37.5%、複勝率50.0%とその分結果を残しているものの、8番人気【2-0-0-6】勝率、複勝率25.0%や10番人気以下【0-3-2-60】複勝率7.7%など伏兵の一撃も視野に入れてほしい。

年齢別成績,ⒸSPAIA


残り数週間で年を重ねる時期らしく、3歳は互角以上。【2-2-0-8】勝率16.7%、複勝率33.3%と出走馬がいるなら押さえておきたい数字を残す。

以下、4歳【4-3-5-32】勝率9.1%、複勝率27.3%や5歳【2-0-3-38】勝率4.7%、複勝率11.6%と年齢が若い順。ベテランの複穴も出ないことはないが、基本的には4歳中心の組み立てでよさそうだ。

重賞敗退組は距離短縮に注目

3勝クラスを突破したシンハナーダ、ファミリータイムの4歳勢が重賞敗退馬たちにどこまで通用するのか。ポイントは例年通り、既成勢力と上がり馬の力関係にある。

前走クラス別成績,ⒸSPAIA


実は前走クラスをみると、既成勢力の壁は想像以上に高い。前走3勝クラスは【0-0-0-8】と好走なし。

とはいえ前走GⅡ【2-2-1-21】勝率7.7%、複勝率19.2%など重賞組が圧倒ということもない。前走重賞組のなかには過剰に人気を背負うケースも多々みられる。

前走重賞・着順別成績,ⒸSPAIA


前走重賞2~5着は【0-0-0-15】と好走なし。いかにも人気になるプロフィールであっても、結果は出ていない。

重賞組から選ぶなら、6~9着【2-1-1-16】勝率10.0%、複勝率20.0%など6着以下の敗退組。京都大賞典11着カネフラ、12着ジューンテイクらが狙い目だ。

前走重賞6着以下、かつ距離短縮は【3-1-1-18】勝率13.0%、複勝率21.7%と高い。中京適性ならジューンテイクだろう。神戸新聞杯2着など中京は【2-1-0-0】と崩れていない。

前走OP/L・着順別成績,ⒸSPAIA


3勝クラス、重賞以外となると前走OP・L【4-5-3-36】勝率8.3%、複勝率25.0%がカギになる。着順の内訳をみると、素直に前走1着【2-1-0-4】勝率28.6%、複勝率42.9%などまずは好走馬に注目しよう。

今年はアンドロメダS2着シェイクユアハートが有力候補だ。条件戦を突破した後も小倉記念で2着と好走。続戦した新潟記念こそ11着と大敗を喫したものの、前走で巻き返しており安定感は変わらない。単勝は狙いづらいタイプだが、馬券の軸には最適。まして混戦であれば、着実に上位に顔を出してくれそうだ。

一方、前走5着【0-0-2-3】複勝率40.0%や6~9着【1-2-0-11】勝率7.1%、複勝率21.4%などそこそこ負けた馬も目を離せない。オクトーバーS5着マイネルモーントは中山2勝、東京2勝と競馬場を選ばない。急坂と左回りの中京も走って不思議はない。金鯱賞7着だけで評価を下さない方がいいだろう。

父ゴールドシップは急坂に弱いタイプも多いが、母の父がロージズインメイであり、母の母の父はシンボリクリスエスなので、多少時計がかかる馬場に強い。3代母チューニーは重賞3勝トロワボヌールを出した。ダートに強い産駒が多く、混戦ゆえに我慢比べになったとき、その血が騒ぐ。

過去10年のデータから見る中日新聞杯,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 伝説のグランプリホース』(ガイドワークス)に寄稿。

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