ハンデ重賞では「斤量増」と「前走6~9着×斤量減」が狙い目 東大HCがデータで検証

東大ホースメンクラブ

過去5年の芝ハンデ重賞、斤量の増減別成績,ⒸSPAIA

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難解なハンデ重賞を分析

今週末は小倉芝1800mでGⅢ中京記念が開催される。2年ぶりに小倉で開催されるサマーマイルシリーズ第2戦。重賞2勝のエルトンバローズや同舞台の小倉大賞典覇者エピファニー、連勝中のセオや小倉で3戦3勝のニホンピロキーフなど粒揃いのメンバーが集まった。

そんな中京記念はハンデ重賞。先週の函館記念でも14番人気の軽ハンデ馬アウスヴァールが3着に粘り込んで波乱を演出したように、荒れることもしばしばある。そこで難解なハンデ重賞を攻略すべく『ハンデ重賞で狙える条件・危険な条件』をテーマにデータ分析を行っていく(使用するデータは2019年7月21日~2024年7月14日の芝ハンデ重賞)。


前走から斤量増は充実一途の証

芝ハンデ重賞 前走からの斤量の増減別成績(過去5年),ⒸSPAIA


<過去5年の芝ハンデ重賞 前走からの斤量の増減別成績>
斤量減【65-59-55-760】勝率6.9%/連対率13.2%/複勝率19.1%/単回率153%/複回率94%
斤量増【30-32-28-291】勝率7.9%/連対率16.3%/複勝率23.6%/単回率53%/複回率70%
増減無【30-34-43-550】勝率4.6%/連対率9.7%/複勝率16.3%/単回率71%/複回率65%

まずは、ハンデ戦を予想する上で避けて通れない斤量についての分析。今回は前走からの斤量の増減に着目する。意外にも前走から斤量増の馬が、勝率、連対率、複勝率の全てで斤量減の馬を上回っていた。ハンデキャッパーが前走より重い斤量をつけるということは、その競走馬が充実一途であることの証明ということだろう。

前走から斤量が増加した組を詳しく見ていく。狙い目は1番人気よりも2番人気、前走1着よりも前走2着だ。今走が1番人気だと【5-6-5-31】で勝率10.6%、単勝回収率37%と妙味が薄い。しかし、2番人気だと【13-2-7-13】で勝率37.1%、単勝回収率160%と信頼度、妙味ともにグンとアップする。程よく疑われている状態がベストだ。前走着順についても同様で、前走1着だと【7-9-8-69】で勝率7.5%、単勝回収率39%に留まるが、同2着だと【9-3-5-27】で勝率20.5%、単勝回収率111%にまでアップする。

一方、回収率においては前走から斤量減の馬に軍配が上がる。先週の函館記念で14番人気3着に好走したアウスヴァールもこの条件に該当していた。こちらも詳しく見ていくとする。

狙い目は前走で掲示板(5着以内)を外した馬。前走6~9着だと【12-12-9-180】で単勝回収率249%、複勝回収率113%。前走10着以下でも【14-16-15-280】で単勝回収率183%、複勝回収率93%と優秀な成績を残している。

まとめると芝ハンデ重賞では、軸は好走率で優勢な斤量増の馬から、穴馬は前走6~9着を中心とした前走負けた斤量減の馬から狙うのが良い。今週の中京記念では、エルトンバローズが斤量増に、セルバーグ、ソレイユヴィータが前走6~9着かつ斤量減に該当する。


非重賞組が優位

芝ハンデ重賞 前走クラス別成績(過去5年),ⒸSPAIA


<過去5年の芝ハンデ重賞 前走クラス別成績>
重賞【74-71-79-892】勝率6.6%/連対率13.0%/複勝率20.1%/単回率76%/複回率72%
OP・L【25-36-27-489】勝率4.3%/連対率10.6%/複勝率15.3%/単回率171%/複回率92%
3勝クラス【22-15-15-169】勝率10.0%/連対率16.7%/複勝率23.5%/単回率105%/複回率80%
2勝クラス【2-2-2-13】勝率10.5%/連対率21.1%/複勝率31.6%/単回率74%/複回率198%
1勝クラス【2-2-3-22】勝率6.9%/連対率13.8%/複勝率24.1%/単回率98%/複回率81%

次に前走クラス別成績を見ていく。前走重賞組よりも前走オープン、条件戦組の方が回収率を中心に良好な成績を残している。前走オープン、条件戦組はまだ十分な実績を積んでいないため、実力とハンデの乖離が大きくなる馬が存在するのだろう。これはデータにも表れており、前走が非重賞かつ斤量54kg以下の馬は【32-27-20-358】で単勝回収率238%、複勝回収率122%となっている。

また、注意したいのは前走GⅠ組の取り扱い。我々は「メンバーレベルの高いGⅠで大敗し、相手関係が緩和されるハンデ重賞で巻き返す」というシナリオを描きがちであるが、実際はどうなのか調べてみた。前走GⅠで1~5着だと【8-5-4-18】勝率22.9%、単勝回収率114%、6~9着が【4-6-7-39】勝率7.1%、単勝回収率55%、10着以下となると【5-11-11-111】勝率3.6%、単勝回収率39%だった。むしろGⅠ好走馬たちの方が大敗した馬たちと比べて妙味があると分かった。

今週の中京記念登録馬のうち、エピファニー、カテドラルは「前走GⅠ×10着以下」に該当する。この2頭は妙味に欠ける点に注意したい。エルトンバローズも「前走GⅠ×6~9着」だが、このなかでも「斤量増」なら【2-2-2-5】勝率18.2%、複勝率54.5%、単勝回収率104%となっている。斤量59kgでも23年新潟大賞典でカラテ、同年の京成杯AHでソウルラッシュが勝っているように、大きく割り引く必要はなさそうだ。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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