【京都2歳S】“西の登竜門”は「前走距離」に注目　フリーガー、サトノアイボリーらが好条件に合致

2025/11/24 18:00

勝木淳

ⒸSPAIA

この記事のレース

ラジオＮ杯京都２歳Ｓ

GⅢ

11月29日(土)　京都11R

西の登竜門

ラジオNIKKEI杯京都2歳Sは近年、有望株が出現中だ。2年前はシンエンペラーが勝ち、4着にダノンデサイルがいた。昨年はエリキング、ジョバンニがワンツーを決めた。ラジオNIKKEIの社杯は福島のラジオNIKKEI賞もエキサイトバイオが菊花賞3着、その前は23年エルトンバローズ、24年オフトレイルと古馬重賞ウイナーが続く。

ラジオ業界はラジコのタイムフリーが大当たりし、活況を呈すると聞く。長年のラジオリスナーにとって、少し前のラジオ不況から脱しつつあるのは、感謝しかない。

好調なラジオNIKKEI社杯だけに、今年も来春まで楽しめる一頭があらわれる予感がある。この時期の2歳重賞は来春に思いを馳せる一頭を見つける機会。将来性を買いたい馬を狙うのも一つの手だろう。

ここからは2020～22年の阪神開催を含めた過去10年のデータを使用して、今年の京都2歳Sを展望する。

人気別成績,ⒸSPAIA

人気別成績では、1番人気が【4-2-1-3】勝率40.0%、複勝率70.0%と安定している。中距離の素質馬がそろう重賞らしく、下馬評通り、好走する確率は高い。

2番人気【1-2-2-5】勝率10.0%、複勝率50.0%、3番人気【3-2-2-3】勝率30.0%、複勝率70.0%と堅調な数字が続き、5番人気【2-1-1-6】勝率20.0%、複勝率40.0%より下は数字が一気に下がる。まずは上位5頭に絞って、馬券候補を探していきたい。

キャリア別成績,ⒸSPAIA

素質馬同士らしく、キャリア1戦【3-1-4-19】勝率11.1%、複勝率29.6%、2戦【5-7-4-26】勝率11.9%、複勝率38.1%と少ない組が優勢。3戦で【2-1-0-19】勝率9.1%、複勝率13.6%と数字を落とすので、やはり陣営が最短距離で次へ進もうと考える期待馬は素直に買いたいところだ。

キーワードは中距離経験

新馬直後の1戦1勝馬はゴーイントゥスカイ、バルセシート、ジャスティンビスタあたりが出走予定。一歩抜け出し、出世街道に乗る馬はあらわれるのか。

前走新馬1着・距離別成績,ⒸSPAIA

前走新馬1着の距離別成績を出すと、距離延長となる1800m【1-0-2-5】勝率12.5%、複勝率37.5%、もしくは同距離【2-1-2-12】勝率11.8%、複勝率29.4%がいい。やはり中距離志向、かつ中距離の新馬を勝ち上がった馬は狙い目となる。ゴーイントゥスカイ、フリーガーら候補は多い。

阪神芝2000mの新馬を勝ったフリーガーは矢作芳人厩舎のコントレイル産駒、馬主のノースヒルズも合わせ、ロマンを感じる血統だ。新馬は1000m通過1:01.4のスローペースを好位に控え、内目から間を割ってきた。センスを感じる内容だ。

キャリア2戦以上・前走クラス別成績,ⒸSPAIA

キャリア2戦以上での前走クラス別成績は、前走GⅢが【1-0-1-11】勝率7.7%、複勝率15.4%。マイル以下の重賞は【0-0-0-7】と、アスクエジンバラには厳しいデータとなっている。

前走オープン・L【3-6-0-7】勝率18.8%、複勝率56.3%は目立つが、ここは注意が必要だ。今年は登録馬がいないが、野路菊S組が【2-1-0-0】も、今年は阪神のマイル戦に施行条件が変更された。以前は阪神芝1800mか中京芝2000mで行われており、中距離でつながっていた。

前走未勝利は【2-3-2-23】勝率6.7%、複勝率23.3%。距離別では1800m【2-0-1-11】勝率14.3%、複勝率21.4%、2000m【0-2-1-11】複勝率21.4%。こちらも中距離中心。ただし、逃げた馬は【0-0-0-5】。好位に収まり、差す経験が必要だ。

最後に前走1勝クラス【1-0-3-15】勝率5.3%、複勝率21.1%について。こちらの距離分布は1800m以下【0-0-0-4】に対し、2000m【1-0-3-11】勝率6.7%、複勝率26.7%。1勝クラス経由を拾うなら、前走2000m組だ。さらに2着だと【1-0-1-2】勝率25.0%、複勝率50.0%。紫菊賞2着サトノアイボリーはキャリア2戦。一致するデータは多い。

《ライタープロフィール》
勝木淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』（中央競馬ピーアール・センター）にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション　伝説のグランプリホース』（ガイドワークス）に寄稿。