【ジャパンC】偉業に挑むマスカレードボール中心　秋盾組は“明け2戦目”での巻き返しに注意

2025/11/24 18:00

勝木淳

ⒸSPAIA

この記事のレース

ジャパンカップ

GⅠ

11月30日(日)　東京12R

秋の東京最後の大一番

来年からジャパンCの報奨金が300万ドルから500万ドルへ大幅に引き上げられる。条件は少々複雑だが、外国の指定レースを2年以内に制した馬への報奨金は外国の強豪馬に出走してほしいという願いを感じる。

今年は登録時点でゴリアット、ロスアンゼルス、クィーズタウンの名があったが、来日取りやめが発表された。最終的に来日するのはカランダガン1頭。ちょっと寂しいが、こればかりは仕方ない。

とはいえ、カランダガンはサンクルー大賞、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS、英国チャンピオンSを3連勝中。間違いなくヨーロッパ最強クラスだ。カランダガンを生で目に焼きつける貴重な機会でもある。ジャパンCの魅力は日本馬との力比べにあるが、同時に海の向こうの強豪に出会える体験にもある。

ここからは過去10年分のデータを使用して、今年のジャパンCを展望する。

人気別成績,ⒸSPAIA

人気別では、1番人気が【6-1-2-1】勝率60.0%、複勝率90.0%と強力。日本のトップホースが集うレースであり、東京芝2400mという舞台を踏まえても、主役はその座を簡単には明け渡さない。

対抗格の2番人気こそ【0-3-3-4】複勝率60.0%と勝ち星なしだが、3番人気は【2-1-1-6】勝率20.0%、複勝率40.0%で、勝ち馬は5番人気以内から。7、8番人気の連絡みもあるものの、基本は上位5頭の激突と考えていい。

年齢別成績,ⒸSPAIA

クロワデュノール、マスカレードボールが当てはまる3歳は【1-5-2-15】勝率4.3%、複勝率34.8%。勝ったのは2018年のアーモンドアイ1頭。20年コントレイル、23年リバティアイランドなど三冠クラスも2着止まり。ジャパンCで古馬とはじめて対戦する3歳馬はやや苦戦傾向にある。

一方、ダービー馬クロワデュノールは海外ですでに古馬との対戦を経験済みであり、フランス遠征で培った力をぶつける。天皇賞（秋）ですでに古馬を破ったマスカレードボールは実績申し分なし。天皇賞（秋）を勝った3歳馬のジャパンC挑戦は96年バブルガムフェロー13着、02年シンボリクリスエス3着の2頭。勝てば史上初の快挙だ。

古馬の好走は4歳【4-4-4-37】勝率8.2%、複勝率24.5%、5歳【5-2-3-32】勝率11.9%、複勝率23.8%の二世代から。6歳以上は【0-0-0-50】。充実期を迎える主力世代が強力だ。

古馬は4歳【4-4-4-37】勝率8.2%、複勝率24.5%、5歳【5-2-3-32】勝率11.9%、複勝率23.8%の二世代。6歳以上は【0-0-0-50】。充実期を迎える主力世代が強力だ。

天皇賞（秋）からの巻き返しパターンとは

古馬勢は天皇賞（秋）組が中心。3着ジャスティンパレス、8着タスティエーラが実績上位。そこに昨年2着同着シンエンペラーとドゥレッツァ、京都大賞典を勝ったディープモンスターが加わる。

前走クラス別成績,ⒸSPAIA

前走クラス別成績を見ていく。まずは前走海外【0-2-0-28】。数字は苦しいが、日本馬に限ると【0-2-0-3】。海外帰りは確かに調整が難しいものの、消してはいけない。昨年2着同着はどちらもここ。7、8番人気と人気を落としていたのは、臨戦過程が厳しいととられた面もある。

参戦に踏み切るなら、クロワデュノールなら、やってくれるのではないか。当然、シンエンペラーも昨年同様好走する可能性を秘める。

前走天皇賞（秋）・着順別成績,ⒸSPAIA

前走GⅠ（国内）【7-6-6-43】勝率11.3%、複勝率30.6%は、天皇賞（秋）が【6-3-4-30】勝率14.0%、複勝率30.2%。着順の内訳は1着馬【3-0-2-0】勝率60.0%、複勝率100%。ただし、これはすべて古馬の成績。上記の通り3歳で天皇賞（秋）とジャパンCを連勝した馬はいない。

ほかをみると、2～5着が【2-2-1-10】と好走組優勢も、6着以下【1-1-1-20】で大敗からの巻き返しもなくはない。2019年1着スワーヴリチャードは天皇賞（秋）7着だった。休み明けで負け、ジャパンCで巻き返すのはパターンのひとつ。3着ジャスティンパレスのほかに7、8着セイウンハーデス、タスティエーラもパターンにはまる。

前走GⅡ【3-3-3-46】勝率5.5%、複勝率16.4%のうち、京都大賞典は【3-1-0-19】勝率13.0%、複勝率17.4%。こちらは好走が条件であり、4着以内が【3-1-0-10】。ディープモンスター、サンライズアース、アドマイヤテラが当てはまる。

最有力は【2-0-0-3】勝率、複勝率40.0%の1着馬。7歳ディープモンスターも記録がかかる。7歳馬のジャパンC優勝は86年ジュピターアイランド1頭。日本馬で勝った馬はいない。

《ライタープロフィール》
勝木淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』（中央競馬ピーアール・センター）にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『もう一つの引退馬伝説２　関係者が語るあの馬たちのその後』（マイクロマガジン社）に寄稿。