【エリザベス女王杯】波乱含みの牝馬限定GⅠ 3つの激走条件をクリアした2頭とは
逆瀬川龍之介

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4年前は3連単330万円超の大波乱
エリザベス女王杯の大波乱といえば、3歳限定戦時代の1989年に20頭立ての20番人気サンドピアリスが差し切り、単勝4万3060円の高配当となったレースを思い出すファンもいるだろう。
近年に限っても波乱が目立ち、直近10回の3連単配当を見ても、実に半分の5回が6桁以上。4年前、2021年は10番人気→7番人気→9番人気で決着して339万3960円の超高額配当が飛び出している。
そこで今回は直近10年に単勝20倍以上で馬券に絡んだ延べ9頭をチェック。共通項を見つけ出し、今年の高配プレゼンターを見つけ出したい。
■4歳以下
昨年は5歳のスタニングローズが制したように、ベテランもそれなりに走るレース。ただし、人気薄を買うなら若い馬に限る。
該当9頭を見ても7頭が4歳以下で、例外は2018年と2019年のクロコスミア。同馬は2017年から3年連続で2着に激走した“Miss.エリザベス女王杯”としてお馴染みで、最初の馬券内である2017年は4歳での好走であった。
<該当馬>
・アドマイヤマツリ
・エリカエクスプレス
・オーロラエックス
・ケリフレッドアスク
・サフィラ
・ステレンボッシュ
・セキトバイースト
・パラディレーヌ
・ボンドガール
・ランスオブクイーン
・ラヴァンダ
・リンクスティップ
・レガレイラ
■テン乗り
人気薄の牝馬を激走させるには刺激が必要?該当9頭中6頭は乗り替わり、それも揃ってテン乗りだったというのは驚きではないだろうか。
ちなみに、この時期のGⅠといえば短期免許で来日中の外国人騎手に乗り替わっての一変が恒例だが、この6頭は全てJRA所属のジョッキーが手綱を取っていたことも付け加えておきたい。
<該当馬>
・アドマイヤマツリ
・ケリフレッドアスク
・サフィラ
・ボンドガール
・ライラック
■前走10月
牝馬は牡馬に比べてレース間隔が空いても走れると言われるが、GⅠはそんなに甘くない。9頭のうち8頭は前走が10月だった。中でも当時が休み明けで、今回が叩き2戦目だった馬の好走が目立つ。
また、前走では9頭すべてが勝ち馬から1秒0差未満で走っていた。スランプに陥ると立て直すのが難しいというのも牝馬の特徴で、大敗からのガラリ一変は厳しい。
<該当馬> ※前走10月かつ勝ち馬から1秒0差未満
・アドマイヤマツリ
・エリカエクスプレス
・カナテープ
・セキトバイースト
・パラディレーヌ
・ボンドガール
・ライラック
・ヴェルミセル
条件全クリは2頭
今年の登録馬のうち、上記3つの条件をクリアしたのは3頭。そこから前走が1秒1差だったサフィラを除くと、残るのはアドマイヤマツリとボンドガールの2頭だ。
この2頭の比較では、血統面からアドマイヤマツリを上に取りたい。とにかくGⅠに強いキタサンブラック産駒。ここ2戦は東京で善戦止まりだが、本質的にはコーナー4つのコースが合うタイプなので、悲観する必要はない。先々週はBCクラシック、先週もみやこSを制した坂井瑠星騎手の手腕にも期待したい。
もう1頭のボンドガールは実績上位。ただ、ダイワメジャー産駒は芝2200m以上のGIで【0-0-0-18】とサッパリなので押さえに留める。
馬券はアドマイヤマツリの単勝。馬連と3連複はエリカエクスプレス、カナテープ、ココナッツブラウン、ステレンボッシュ、パラディレーヌ、ボンドガール、リンクスティップ、レガレイラへの流し。伏兵が絡んで高配当となることを期待したい。
《ライタープロフィール》
逆瀬川龍之介
国内の主要セール、GIのパドックはもちろん、時には海外のセリにも足を運ぶ馬体至上主義のライター。その相馬眼を頼りにする厩舎関係者、馬主は少なくない。一方、マニアック、かつ実用的なデータを駆使して、ネット媒体や雑誌などにも寄稿するなど、マルチな才能を持っている。
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