【みやこS】先行負荷高し、機動力のある差し馬を狙え 京大競馬研の本命はアウトレンジ
京都大学競馬研究会

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前残りコースに先行馬多数
11月9日(日)にみやこS(GⅢ)が行われる。勝ち馬にはチャンピオンズCの優先出走権が与えられる重要な前哨戦だ。昨年は3歳馬サンライズジパングが古馬相手に快勝し、世代のレベルの高さを証明した。今年は昨年の2着馬アウトレンジをはじめとする実力馬15頭が秋の大舞台に向けてぶつかる。混戦模様の難解な一戦だ。
以下では、本レースが行われる京都ダート1800mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。
まずは京都ダート1800mのコース形態をみる。スタンド前の直線半ばからスタートし、初角までの距離は約280m。平坦な1〜2コーナーを回り、バックストレッチは約400m。その半ばから上り坂があり、3コーナーで頂上を迎え、そこから4コーナーにかけて一気に下る。最後の直線は329.1mで平坦となっている。これが今回のコースレイアウトだ。
まず注目すべきは初角までの距離が約280mと短いこと。序盤の先手争いは内の馬が有利になる。先手争いは長引きにくく、ペースは比較的流れにくい。1〜2コーナーを回った後も向正面には上り坂があるため、ここでも一気にペースアップすることはない。
加速するのは3コーナーの上り坂頂上から。ここからの下り坂で、序盤〜中盤で脚を溜めた先行勢が一気にスピードを上げていく。そのため、最終直線に入るまでに後方勢が先行勢とポジション差を埋めにくい。
加えて直線も329mと長くなく平坦であるため、下り坂からの惰性で先行勢がそのまま押し切りやすい。これがこのコースが持つレースの質だ。

<京都ダート1800m OPクラス以上 4角順位別成績>
4番手以内
【23-17-11-76】
勝率18.1%、連対率31.5%、複勝率40.2%、
単勝回収率172%、複勝回収率127%
※過去10年
この傾向は数字にも表れている。京都ダート1800mのOPクラス以上における4角4番手以内馬の成績は上記に示した通り優秀だ。過去10年、27戦中23戦で4角4番手以内の馬が勝利している。
このように基本的には前が有利になりやすいコース形態だが、今回は一筋縄ではいかないメンバー構成となっている。次の展開予想で深掘りしていく。
先行馬は持久力、差し馬は機動力
続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が7頭と出走馬全15頭に対して多い。また、その多くが徹底先行型であり、その他にもテンの速い馬が揃っている。
序盤の先手争いがあまり長引かないコースとはいえ、今回の先行馬の構成であれば、ペースはそれなりに流れ、先行負荷は大きくなると考える。中団で脚を溜め、3〜4コーナーにかけて前目までマクっていける機動力のある差し馬が有利になりやすい展開だ。
しかし前有利なコース形態を考慮すれば、完全な差し決着になるとも考えづらい。したがって、先行馬は序盤の負荷をものともしない持久力、差し馬は下り坂を生かして前目までマクっていける機動力を重視したい。そのうえで各馬の地力の高さを比較し、オッズ妙味も加味して印を打っていく。
ここは負けられない一戦
◎アウトレンジ
前走の帝王賞は好スタートから4番手で追走。4角3番手以内馬が1、3、5着に残る前残りの展開で、やや離れた4番手から猛烈な追い込みでタイム差なし2着に入った。最後は差し切る勢いで高く評価できる一戦だった。勝ち馬ミッキーファイトはダート史上最高とも名高い現4歳世代でフォーエバーヤングに次ぐ実力馬。次走JBCクラシックを快勝した。そのミッキーファイトに迫り3着以下を大きく離した本馬は、今回のメンバーでは抜けた地力を持つと評価する。
同じく現4歳世代最上位の一角サンライズジパングに僅差だった昨年のみやこS2着、今年の平安S1着の実績通り、京都ダートの舞台適性も高い。能力、実績を考えればここは負けられない一戦だ。中団前目の追走から機動力を生かして直線早めに抜け出せば、距離短縮の効果もあって簡単には止まらないとみる。
◯ブライアンセンス
中団後方から常に堅実な末脚を使える一頭。2走前のエルムSは後方から3〜4コーナーで大外を回す厳しい競馬。コーナーでポジションを上げていく高い機動力を見せた。直線に向くと、内から激しく寄られる不利を受けて急減速。その後は無理をさせなかった。1.1秒差6着に敗れたものの、スムーズであればここまで着差は離れてはいなかった。
前走のシリウスSはトップハンデを背負って上位の上がりを使い0.4秒差。大きくは負けていない。2走前で見せた機動力が生きる舞台で斤量減と条件が好転する。人気が一気に落ちるここが狙い目だ。
▲ロードクロンヌ
安定した先行力と堅実な末脚を併せ持つ一頭。近3走の重賞は勝ち切れてはいないものの、抜群の安定感でいずれも馬券圏内を確保した。今回のメンバーでは地力上位で大きく崩れにくい。スタートを決めて好位で運び、スムーズに追い出せれば、順当に好走可能とみる。
△ラムジェット
現4歳世代屈指の実力馬。ミッキーファイトを抑えて圧勝したユニコーンSの内容を見返せば、今回の想定オッズで印を打たないわけにはいかない。世代のレベルの高さと国内外の最高峰の舞台で戦ってきたことを考えれば、今回のメンバーでは十分にチャンスがある。
×ペリエール
5歳にして本格化の気配。前走内容を高く評価しているが、距離と展開を考慮して相手まで。
×ダブルハートボンド
最上位のテンの速さを持つ。牝馬ながら持久力に優れる。斤量差を生かせれば。
買い目は◎単勝1点、◎-◯▲△馬連3点、◎-◯▲-◯▲△×3連複7点で勝負する。
▽みやこS予想▽
◎アウトレンジ
◯ブライアンセンス
▲ロードクロンヌ
△ラムジェット
×ペリエール
×ダブルハートボンド
◎2024年勝負買い目個人成績(東海S〜ホープフルS:25記事)
・単勝27点→4830円 回収率178.9% 的中率37.5%(的中9R/推奨24R)
・馬連105点→12480円 回収率118.9% 的中率42.9%(的中9R/推奨21R)
・3連複204点→22410円 回収率109.9% 的中率17.4%(的中4R/推奨23R)
ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。
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