【アルゼンチン共和国杯】東京芝2500m重賞はスクリーンヒーローを狙え 今年はボルドグフーシュが唯一該当

坂上明大

アルゼンチン共和国杯の傾向と注目血統馬,ⒸSPAIA

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傾向解説

春の目黒記念と同じく東京芝2500mを舞台に行われるアルゼンチン共和国杯。日本ダービーやジャパンカップより100m長いだけですが、好走馬の血統傾向は大きく異なります。本記事では血統面を中心に、アルゼンチン共和国杯のレース傾向を整理していきます。

まず、紹介したいデータは年齢別の成績。データの通り若ければ若いほど好走率も回収率も高く、特に3歳馬においては過去10年で5戦2勝3着2回のハイアベレージを記録しています。

これは番組構成上の問題が大きく、古馬、特に5歳以上の現役トップクラスの馬は豊富な選択肢のあるGⅠに出走することが多く、その結果、アルゼンチン共和国杯のメンバーレベルは低めになる傾向にあります。

その反面、3~4歳馬には賞金が足りなかった素質馬も紛れているため、基本的には3~4歳の遅咲きの素質馬を狙うのがセオリーといえるでしょう。

年齢別成績,ⒸSPAIA


<年齢別成績>
3歳【2-0-2-1/5】
勝率40.0%/連対率40.0%/複勝率80.0%/単回収率146%/複回収率182%

4歳【5-3-4-22/34】
勝率14.7%/連対率23.5%/複勝率35.3%/単回収率85%/複回収率91%

5歳以上【3-7-5-105/120】
勝率2.5%/連対率8.3%/複勝率12.5%/単回収率37%/複回収率35%
※過去10年

血統面ではスクリーンヒーローに注目。東京芝2400mと東京芝2500mの大きな違いは、スタート直後から上り坂を越えなければならない点。当然、長い直線で伸び負けない末脚は必須ですが、瞬発力重視のダービーやジャパンCよりも「いかに直線までスタミナを残せるか」が末脚の伸びに繋がっている印象です。

これは目黒記念でも同様の傾向にあり、やはり東京芝2500m重賞ではスクリーンヒーロー系を狙いたいところでしょう。ちなみに、昨年は好走馬が出ていませんが、12番人気4着のアドマイヤハレーは父がスクリーンヒーロー系のモーリスでした。

スクリーンヒーロー内包馬,ⒸSPAIA


<スクリーンヒーロー内包馬>
該当馬【1-2-1-4/8】
勝率12.5%/連対率37.5%/複勝率50.0%/単回収率26%/複回収率92%
※過去10年



注目血統馬

前記の傾向に合う注目血統馬を2頭ピックアップしました。

☆ボルドグフーシュ
今年の登録馬では唯一のスクリーンヒーロー系産駒。4代母Belgaから繋がる牝系にはイクイノックスなどがおり、母ボルドグザグはイクイノックスの母シャトーブランシュと共通点が多い配合形(Halo、Nureyev、Buckpasser、Lyphard、Belgaなどが共通)でもあります。

6歳馬ではありますが、1年7カ月の長期戦線離脱を経験している馬だけに比較的キャリアは浅め。地力、適性ともに大注目の一頭です。

☆ディマイザキッド
牝系の活力は今一つですが、サンデーサイレンスの3×4やブライアンズタイムの3×4、Sadler's Wells≒Nureyevの4×3が特徴的なディーマジェスティ産駒。父の特徴を強く受け継いでおり、底力に優れた末脚はまさに父譲りの武器といえるでしょう。

アルゼンチン共和国杯においてはブライアンズタイムのインブリードを持つ点が魅力で、過去10年で最も人気薄で好走したマコトガラハッドも母父にブライアンズタイムの血を持つ馬でした。

アルゼンチン共和国杯の傾向と注目血統馬2頭,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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