【京王杯2歳S】好走イメージは「前走同距離オープン組」　もみじS“好内容”2着ダイヤモンドノットが光る

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人気の盲点に注意

年に2度やってくる京王杯。春は古馬GⅡ、秋は2歳GⅡであり、どちらも芝1400mと格が高いレースだ。

寄贈賞を贈る京王電鉄が東京競馬場の輸送に果たす役目は非常に大きい。平日は基本、2両編成で運用され、1番線を使用するが、土日の開催日には大幅に増発され、8両編成で運用。さらに2番線発着になり、新宿方面から来る乗客はスムーズに乗り換えられる。それだけではない。帰りは府中競馬正門前駅始発の本線直通便である臨時特急、臨時急行まである。

さらに利便性を高めているのが、東府中駅の特急臨時停車。普段、八王子方面行きの特急は、調布の次は府中に止まるが、開催日の土日日中はわざわざ東府中に停車してくれる。朝早く競馬場に行く場合は通過してしまうが、午前9時新宿発以降は東府中に止まる。

帰りもメインから17時半前まで特急新宿行きは東府中に停車する。便利すぎる。このように京王電鉄は開催日のダイヤ編成が非常に競馬民に優しく、GⅡ格も納得。いつもお世話になっております。

さて、ここからは過去10年分のデータを使用して、今年の京王杯2歳Sを展望する。

人気別成績では、1番人気【3-2-1-4】勝率30.0%、複勝率60.0%、2番人気【3-0-0-7】勝率、複勝率30.0%と比較的堅調。3番人気が【1-1-1-7】勝率10.0%、複勝率30.0%と一段落ち、以下は2、3着までだが、8番人気に【2-1-0-7】勝率20.0%、複勝率30.0%と好走ゾーンがある。比較が難しい2歳戦特有の人気の盲点も存在するので、注意を払いたい。

キャリア別成績についても2歳戦あるあるだが、キャリア1戦が【3-1-1-17】勝率13.6%、複勝率22.7%と目立つ。まだ1勝馬でも出走枠を確保できる時期であり、好素材があっさり突破する場面もある。次いで2戦【4-4-4-36】勝率8.3%、複勝率25.0%、3戦【3-4-3-31】勝率7.3%、複勝率24.4%と続く。

4戦は【0-1-2-15】複勝率16.7%と一気に下がるので、キャリア3戦以内が目安になる。もっともこの時期の2歳で4戦消化している馬はそうおらず、絞れるデータではないが、キャリアが浅い順である点は気に留めておこう。

シュペルリングは1400mへの対応が課題

新馬勝ち直後といえば、秋の東京2週目に芝1600mの新馬を勝ったシュペルリングがいる。スタートひと息から好位にとりつき、直線で競り合いを制した。初戦としては味のある競馬であり、全体時計は地味でも、評価したい。

ところが、前走新馬1着馬の距離別成績は同距離【2-0-0-7】勝率、複勝率22.2%、1400m未満【1-0-1-6】勝率12.5%、複勝率25.0%に対し、1400m超は【0-1-0-4】複勝率20.0%。1400m戦らしくスピード優先の側面はある。

スローのマイル戦を勝ったシュペルリングはペースが速くなるなら戸惑う可能性はあるものの、今年はそこまで速くなる感触もない。

キャリア2戦以上は前走GⅢ【4-5-3-22】勝率11.8%、複勝率35.3%が好成績。サウジアラビアRC6着のユウファラオなどがいるが、GⅢ6着以下は【0-1-0-7】と心もとない。今年から小倉2歳Sがなくなり、状況は変わりつつあるようだ。

であるなら、いっそ前走オープン・LとGⅢをまとめて距離内訳をみる。すると、1400m【2-1-1-11】勝率13.3%、複勝率26.7%が強い。1400m未満【4-4-4-26】勝率10.5%、複勝率31.6%は小倉2歳Sが含まれている数字なので注意しよう。

同距離組で浮上するのはもみじS2着のダイヤモンドノット。兄はゾンニッヒ、近親にウリウリ、マカヒキがいる良血馬だ。

同レースではリリージョワの逃げ切りを許したものの、ラスト600m11.4-11.3-11.5を2番手から粘った。走破タイム1:20.6も悪くなく、1400m戦で問われるスピードと粘り腰も魅力だ。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』（中央競馬ピーアール・センター）にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『もう一つの引退馬伝説２　関係者が語るあの馬たちのその後』（マイクロマガジン社）に寄稿。

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