【アルゼンチン共和国杯】複勝率35.3%の4歳馬が中心 舞台実績光るホーエリートが浮上

勝木淳

過去10年のデータから見るアルゼンチン共和国杯,ⒸSPAIA

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イメージほど荒れないレースだが

天皇賞(秋)が終わると、東京もいよいよ5回開催を迎える。この4週間で2025年東京は閉幕する。その掉尾を飾るジャパンCへ向かう流れのなかにあるのがアルゼンチン共和国杯だ。

とはいえ、たいていは天皇賞(秋)出走馬が中心を担い、非常にハイレベルな戦いになるジャパンCとのつながりは強くはない。どちらかと言えば、東京芝2500mを得意とする馬や賞金を積み、来春のGⅠ戦線への展望を開きたい馬たちによる争いになる。

昨年は白毛馬ハヤヤッコが58.5キロを背負いながらも、自身のストロングポイントであるバテない末脚を披露し、10番人気ながら勝利を収めた。東京芝2500mはイメージよりスタミナを問うタフなコースであることは今年も忘れてはいけない。

ここからは過去10年分のデータを使用して今年のアルゼンチン共和国杯を展望する。なお、2023年は3着同着なので注意してほしい。

人気別成績,ⒸSPAIA


GⅠシーズンの谷間に位置するハンデ戦だけに、混戦模様になる傾向があるものの、1番人気【4-2-1-3】勝率40.0%、複勝率70.0%をはじめ、勝ち馬8頭は3番人気以内で単勝から荒れる年は少ない。6番人気【1-1-1-7】勝率10.0%、複勝率30.0%から下は差がある印象なので、混戦という文字に惑わされず、ある程度上位に絞ってもいい。

もちろん、昨年のハヤヤッコのような例もあるが、同馬は重賞3勝の実績馬。単に人気がなかっただけで、通用する力は十分あった。

年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢構成でみると、3歳が【2-0-2-1】勝率40.0%、複勝率80.0%だが、菊花賞、天皇賞(秋)のあとだけに出走馬がいない。であれば、4歳【5-3-4-22】勝率14.7%、複勝率35.3%に注目。5歳【1-3-4-45】勝率1.9%、複勝率15.1%と比べても、明らかに数字がいい。

シーズン後半ともなれば、4、5歳の力関係は逆転していておかしくない。それがこの数字に出ているといえる。6歳ローシャムパークなど実績馬の顔も見えるが、それでも4歳重視でいいだろう。

位置取りに優位性があるホーエリート

ほかには目黒記念2着ホーエリート、オクトーバーSを勝ったニシノレヴナントなど多士済々。東京芝2500mへの適性を考えると、ホーエリートは面白そうだが、牝馬だけにハンデも気になるところだ。

前走クラス別成績,ⒸSPAIA

前走GⅠは【4-1-1-9】勝率26.7%、複勝率40.0%と好成績。やはり格上での経験は強気になる材料でもある。

ローシャムパークが当てはまる前走宝塚記念は【2-0-0-3】勝率、複勝率40.0%だが、2勝はともに6~9着馬。15着ローシャムパークは一変するだろうか。東京の勝ち鞍はあるものの、重賞での好走は小回りが目立つだけに、条件的にも楽ではなさそうだ。

前走GⅡ・レース別成績,ⒸSPAIA


前走GⅡは【3-4-2-51】勝率5.0%、複勝率15.0%。内訳をみると、ホーエリートの前走オールカマーは【1-1-1-16】勝率5.3%、複勝率15.8%となる。こちらも3着【1-0-0-0】、6~9着【0-1-1-8】なので、5着だったホーエリートも狙いは立つ。目黒記念2着時は、スローの展開を前で粘り込む形だった。ポジションをとれる優位性は武器だ。

一方で前走京都大賞典は【0-1-1-22】複勝率8.3%と成績が出ていない。10着だったボルドグフーシュら関西勢にとっては気になる数字だ。

前走OP/L・距離別成績,ⒸSPAIA


最後に前走オープン・L【1-3-0-42】勝率2.2%、複勝率8.7%について。距離を比較すると、延長【0-1-0-16】複勝率5.9%に対し、短縮は【1-2-0-26】勝率3.4%、複勝率10.3%。狙うなら短縮だろう。となると、オクトーバーS組より丹頂S、札幌日経賞の札幌組に食指が動く。

前走札幌芝2600mの着順別成績では、1着【0-1-0-6】複勝率14.3%、3着【1-1-0-1】勝率33.3%、複勝率66.7%、それ以外【0-0-0-18】と偏りがみられる。データ上はミステリーウェイやスティンガーグラスを狙いたいところだが、不安はある。やはり、今年も実績馬同士で決まりそうな予感だ。

過去10年のデータから見るアルゼンチン共和国杯,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『もう一つの引退馬伝説2 関係者が語るあの馬たちのその後』(マイクロマガジン社)に寄稿。

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