「勝率46.4%」ルメール騎手の庭、キズナ産駒が複回100%超 東京芝2000mを徹底分析
東大ホースメンクラブ

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末脚とスタミナの総合力が問われる
今週末は東京芝2000mを舞台に天皇賞(秋)が開催される。秋古馬三冠の初戦となる一戦で、今年は「3歳vs古馬」という構図が注目を集める。
皐月賞馬ミュージアムマイル、ダービー2着馬マスカレードボールの3歳2頭がイクイノックス以来の3歳秋天制覇を達成するのか。それとも、宝塚記念で晴れてグランプリホースとなったメイショウタバルや新潟記念で後の菊花賞馬を下したシランケド、2023年のダービー馬で昨年2着のタスティエーラといった古馬勢が意地を見せるのか。大注目のレースとなる。
今週は天皇賞(秋)の舞台となる「東京芝2000m」の特徴をデータで分析していく。なお、使用するデータは2022年10月29日~2025年10月26日の過去3年分とする。
まずはコース紹介。天皇賞(秋)だけでなく3歳牝馬限定のフローラステークス(GⅡ)の舞台にもなっている東京芝2000mは、1コーナー奥に設けられたポケット地点からスタート。すぐに2コーナーを迎えるため、外枠の馬は内に切れ込みにくく、距離ロスが大きくなりやすい。
その後、向正面は上り、3コーナーに向かってなだらかな下りを通過。大ケヤキに迎えられる4コーナーを過ぎると、最後の525.9mに及ぶ直線で高低差2mの坂が待ち受ける。末脚とスタミナの総合力が問われるチャンピオンコースだ。
8枠は割引

<東京芝2000mの枠別成績>
1枠【20-11-15-93】
勝率14.4%/連対率22.3%/複勝率33.1%/単回収率74%/複回収率77%
2枠【11-12-9-119】
勝率7.3%/連対率15.2%/複勝率21.2%/単回収率29%/複回収率53%
3枠【16-11-16-120】
勝率9.8%/連対率16.6%/複勝率26.4%/単回収率41%/複回収率67%
4枠【15-16-14-125】
勝率8.8%/連対率18.2%/複勝率26.5%/単回収率71%/複回収率79%
5枠【20-23-15-123】
勝率11.0%/連対率23.8%/複勝率32.0%/単回収率64%/複回収率70%
6枠【12-19-17-146】
勝率6.2%/連対率16.0%/複勝率24.7%/単回収率96%/複回収率65%
7枠【14-17-21-168】
勝率6.4%/連対率14.1%/複勝率23.6%/単回収率26%/複回収率55%
8枠【17-17-17-181】
勝率7.3%/連対率14.7%/複勝率22.0%/単回収率18%/複回収率40%
※集計期間:2022年10月29日~2025年10月26日
まずは枠別成績から。勝率、連対率、複勝率の全てでトップを記録しているのが1枠。やはりコーナーで外々を回すロスが小さい最内枠のアドバンテージは、このコースでも大きいようだ。
その他、5枠も優秀で複勝率30%オーバーを記録している。昨年の天皇賞(秋)も5枠ホウオウビスケッツが8番人気3着と好走した。
天皇賞(秋)の過去10年では、8枠【0-0-2-20】複勝率9.1%、2枠【0-1-0-16】複勝率5.9%の苦戦が目立つ。特に8枠は過去10年での連対が1度もなく、昨年もルメール騎手が騎乗したレーベンスティールが3番人気で8着に敗れた。メイショウタバルとクイーンズウォークにとっては気になるデータといえる。
人気薄の逃げには要警戒

<東京芝2000mの脚質別成績>
逃げ【24-12-11-90】
勝率17.5%/連対率26.3%/複勝率34.3%/単回収率130%/複回収率89%
先行【55-61-38-260】
勝率13.3%/連対率28.0%/複勝率37.2%/単回収率47%/複回収率78%
差し【27-37-44-360】
勝率5.8%/連対率13.7%/複勝率23.1%/単回収率21%/複回収率59%
追込【18-15-28-352】
勝率4.4%/連対率8.0%/複勝率14.8%/単回収率61%/複回収率51%
マクリ【1-1-3-11】
勝率6.3%/連対率12.5%/複勝率31.3%/単回収率70%/複回収率61%
※集計期間:2022年10月29日~2025年10月26日
脚質では逃げ先行が優勢。スタートから最初のコーナーまでが約130mしかなく、先行争いが長引きにくいコース形態となっている。そのためスローペースになりやすく、前につけられる馬が強いという仕組みだ。前走逃げた馬の複勝回収率も91%と高水準で、該当馬がいれば無条件で紐にいれたい。
過去10年の天皇賞(秋)を見ても、逃げ【0-1-3-6】で勝利こそないものの複勝率は40.0%をマーク。以下、先行【5-2-1-31】同20.5%、差し【4-5-2-44】同20.0%、追込【1-2-4-36】同16.3%となっており、逃げ馬の好走率が良い。しかも、馬券に絡んだ4頭は全て6番人気以下の人気薄。逃げ候補が舐められているようなら絶好の狙い時だ。
一方、先行と差しはほぼ差がない。脚質よりも能力を重視すべきといえる。
エピファネイアが独走

<東京芝2000mの種牡馬別成績>
エピファネイア【14-10-15-47】
勝率16.3%/連対率27.9%/複勝率45.3%/単回収率97%/複回収率79%
キズナ【9-11-5-48】
勝率12.3%/連対率27.4%/複勝率34.2%/単回収率34%/複回収率102%
ドゥラメンテ【8-8-1-44】
勝率13.1%/連対率26.2%/複勝率27.9%/単回収率49%/複回収率69%
※集計期間:2022年10月29日~2025年10月26日
■エピファネイア
勝ち星は2位キズナに5勝差をつけて独走中。上記データの集計期間外ではあるが、産駒のエフフォーリアが天皇賞(秋)を制している。
特に優秀なのが2歳戦での成績で、【6-3-7-8】複勝率66.7%、複回収率104%とベタ買いプラスだ。
■キズナ
天皇賞(秋)での好走馬こそまだ出ていないが、全体の複勝率は30%オーバー。複回収率は102%でプラス域と優秀だ。
なかでも下級条件での信頼度が高く、未勝利戦では【5-7-1-16】複勝率44.8%、複回収率198%を記録している。
■ドゥラメンテ
2位のキズナとは対照的に、こちらは上級条件で信頼度が高い。特に3勝クラスでは【3-2-0-5】複勝率50.0%、複回収率122%という驚異的な数字を記録している。
ただし、重賞では【0-0-0-4】と好走率が低く、昨年の天皇賞(秋)でも1番人気リバティアイランドが13着に大敗した点は気がかり。マスカレードボールはこの壁を打ち破ることができるだろうか。
このほか、天皇賞(秋)の有力馬ではメイショウタバルが該当するゴールドシップ産駒が【5-6-10-77】複勝率21.4%、複回収率39%で、ミュージアムマイルが該当するリオンディーズ産駒は【1-0-2-13】複勝率18.8%、複回収率29%に留まっている。
一方、キタサンブラック産駒が【8-6-4-18】複勝率50.0%、複回収率85%の好成績。唯一の該当馬であるソールオリエンスは要注目だ。
ルメール無双

<東京芝2000mの騎手別成績>
C.ルメール【32-15-7-15】
勝率46.4%/連対率68.1%/複勝率78.3%/単回収率112%/複回収率94%
横山武史【10-7-4-43】
勝率15.6%/連対率26.6%/複勝率32.8%/単回収率80%/複回収率61%
戸崎圭太【9-10-14-38】
勝率12.7%/連対率26.8%/複勝率46.5%/単回収率54%/複回収率95%
※集計期間:2022年10月29日~2025年10月26日
■C.ルメール
2位に22勝差の断トツ。天皇賞(秋)も通算5勝を挙げており、このコースはルメール騎手の庭といっても過言ではない。
とにかく勝率が高く、騎乗馬の平均人気が「1.6」と人気を背負いながら単回収率は100%超えを果たしており、逆らわないのが吉。今週末はマスカレードボールとのコンビで3週連続GⅠ勝利を目指す。
■横山武史
21年の天皇賞(秋)をエフフォーリアで制した同騎手は、速い上がりを使える馬と好相性。前走で上がり3F2位以内を記録した馬とのコンビで【7-2-0-10】勝率36.8%、単回収率199%と素晴らしい成績を残している。
今週末の天皇賞(秋)では、前走で新潟記念を制したシランケドに初騎乗。その前走ではメンバー中最速の上がり3F32秒4というキレ味を発揮しており、上記の好データからも見逃せない。
■戸崎圭太
2位と1勝差の9勝をマーク。1〜4枠【3-4-5-22】複勝率35.3%、複回収率74%に対し、5〜8枠で【6-6-9-16】複勝率56.8%、複回収率114%と外枠を得意としている。コースの傾向としては内枠有利ではあるものの、戸崎騎手に関しては外枠歓迎と覚えておこう。
なお、ブレイディヴェーグとのコンビで挑む天皇賞(秋)は4枠6番に入った。
《ライタープロフィール》
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約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。秋GⅠシーズンに合わせ、新入部員募集中。
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