【天皇賞(秋)】宝塚記念勝ち馬メイショウタバル、GⅠ馬アーバンシックは消し ハイブリッド式消去法

久保田大五郎

過去10年の天皇賞(秋)『非社台系生産馬』かつ『東京コース未勝利』の成績,ⒸSPAIA

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5つのデータから絞れた馬は?

今週は東京競馬場で天皇賞(秋)が行われる。宝塚記念を逃げ切ったメイショウタバルや香港GⅠを勝ったタスティエーラら古馬勢に、皐月賞馬ミュージアムマイル、日本ダービー2着馬マスカレードボールの3歳2頭が挑戦する構図だ。

いつも通り過去10年のデータを用いて、複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップ。当てはまった馬を消していく。登録馬全15頭を対象とする。

『前走6着以下』×『前走GⅠ以外』★2.5%★

まずはシンプルに前走大敗馬を消していく。対象は前走6着以下【2-4-0-48】複勝率11.1%で、このうち前走がGⅠでなかった馬は【0-1-0-39】複勝率2.5%と振るわない。

古馬GⅠの中でもとりわけハイレベルな天皇賞(秋)を前に、GⅡやGⅢで大敗しているようでは話にならない。

今年はオールカマー8着コスモキュランダ、新潟記念6着ブレイディヴェーグが脱落する。なおクイーンズウォーク(前走新潟記念除外)はグレーだが、その前のヴィクトリアマイル2着を尊重する取り扱いとする。

【今年の該当馬】
・コスモキュランダ
・ブレイディヴェーグ

『前走4角10番手以下』×『前走上がり4位以下』★0.0%★

続いて前走時のポジションに注目。天皇賞(秋)自体は差しも届くレースだが、前走で4角10番手以下だった馬は【3-1-2-29】複勝率17.1%とあまり成績がよくない。勝ったのもアーモンドアイ、イクイノックス、ドウデュースという怪物級の面々だけだ。

特に4角10番手以下で運んだにもかかわらず「前走上がり4位以下」だった馬は【0-0-0-12】。馬券どころか5着に入った馬すら存在しなかった。

ここでアーバンシックとロードデルレイが消える。ロードデルレイに関しては得意の東京替わり、距離短縮など見直せる要素もあるが、消去データに引っかかった。

【今年の該当馬】
・アーバンシック
・ロードデルレイ

『5歳以上』×『GⅠ連対歴(海外含む)なし』★0.0%★

次は年齢別成績。近年の天皇賞(秋)は高齢馬の苦戦が著しく、過去10年では6歳以上の馬が1頭も馬券に絡めていない。

また、5歳も【5-3-4-35】複勝率25.5%と一見悪くないが、3着以内に入った12頭のうち10頭はGⅠ馬で、残るステファノスとプログノーシスにもGⅠで2着の実績があった。

言い方を変えると「5歳以上」で「GⅠ(海外含む)で連対歴なし」の馬は【0-0-0-42】。これを3つ目のデータとして採用する。

ここでは以下の3頭が消去となった。シランケドはヴィクトリアマイルで小差3着、新潟記念でのちの菊花賞馬エネルジコを負かしてきたが、今回はさらなる相手強化がどうか。ホウオウビスケッツは昨年3着馬だが、当時はスローの逃げで展開の恩恵が大きかった。

【今年の該当馬】
・シランケド
・セイウンハーデス
・ホウオウビスケッツ

『非社台系生産馬』×『東京コース未勝利』★4.5%★

今度は生産者データから。想像通りというべきか、このレースでは「社台ノーザンファーム系」(※社台F、ノーザンF、追分F、社台コーポレーション白老Fとする)の生産馬が【8-7-8-65】複勝率26.1%と好走の大半を占めている。

逆に「非社台系」の馬は【2-3-2-53】同11.7%と苦戦中。しかも、そのうち1勝もモーリス(=生産は戸川牧場だが、馬主は吉田和美氏でノーザンF陣営)である。長いものに巻かれよう。

また「非社台系」のうち、天皇賞(秋)出走時点で「東京コース未勝利」だった馬は【0-0-1-21】同4.5%。連対がなく、菊花賞馬キセキがなんとか3着に入っただけだ。

今年は「非社台系」の馬が7頭登録しており、東京で勝ったことがないのは以下の4頭。メイショウタバルがここで消える。宝塚記念の逃げ切りは鮮やかだったが、道悪でタフな阪神芝2200m内回りという条件が完全にフィットしたもの。東京の決め手比べだと分が悪い。

【今年の該当馬】
・エコロヴァルツ
・(コスモキュランダ)
・(シランケド)
・メイショウタバル

『馬番10番から外』×『美浦所属馬』★4.8%★

4つの項目を終えた時点で残るは6頭となった。最後は枠順が絡むデータを紹介して仕上げとする。

東京芝2000mはシュート発走で初角までが近いコース形態。この天皇賞(秋)では「内枠有利」が知られている。実際、過去10年の勝ち馬は全て馬番1~9番から出ており、10番から外は【0-2-3-54】複勝率8.5%と明らかに苦戦している。

「馬番10番から外」のうち、美浦所属馬は【0-0-1-20】同4.8%。レース全体としてはむしろ美浦優勢の傾向なのだが、外枠の馬に限ると美浦所属馬の不振が顕著だった。

残った6頭のうち、美浦所属馬は手塚貴久厩舎のソールオリエンス&マスカレードボール、そして堀宣行厩舎のタスティエーラ。これらの馬が2桁馬番に入れば消去となる。

【今年の該当候補】
・ソールオリエンス
・タスティエーラ
・マスカレードボール

5つのデータを終えて確実に残るのは、クイーンズウォーク、ジャスティンパレス、ミュージアムマイル。枠順次第で3~6頭の布陣となった。

軸をとるなら皐月賞馬のミュージアムマイルだ。マイルは忙しく、かといって2400mは長いという戦績だが、1800~2200mでは【4-0-0-1】だ。

唯一崩れた弥生賞も稍重馬場のタフな展開、4角で外々を回って動く距離ロスがあった。中距離のスピード勝負なら底を見せていない。馬券はそのミュージアムマイルから残った馬に馬連を流す。

《ライタープロフィール》
久保田大五郎
競馬歴14年目のアラサーおじさん。データを駆使した予想でロマン馬券を狙う。趣味は料理とプロ野球観戦。大のベイスターズファン。

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