【天皇賞(秋)】古馬代表メイショウタバルに挑む3歳馬 マスカレードボールは実績、臨戦とも文句なし

勝木淳

過去10年のデータから見る天皇賞(秋),ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

3番人気以下勝利なし

いよいよ古馬中長距離GⅠ3戦の幕が開く。昨年はドウデュースが2連勝し、ゼンノロブロイ以来となる秋古馬三冠をかけるも、有馬記念直前の金曜日に無念の出走取消。3連勝がいかに険しい道なのかを改めて感じさせた。

あれから1年、天皇賞(秋)の幕が開く。今年の登録馬は15頭。全馬出走すれば、昨年と同じ。フルゲート18頭立てだったのは2017年が最後。8年連続でフルゲート割れになった。

18頭立てにこだわるわけではない。むしろその逆で、天皇賞(秋)がいかにハイレベルな格式高いレースであるかを物語るのではないか。「出走したい」はなく、好勝負になるという陣営は限られてくる。これこそがGⅠ競走の理想の姿ではないか。データは過去10年分を使用する。

人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気は【7-1-0-2】勝率70.0%、複勝率80.0%と非常に優秀。7勝はラブリーデイ、モーリス、キタサンブラック、アーモンドアイ(連覇)、イクイノックス(連覇)。2着1回はコントレイルで、負けた2頭はスワーヴリチャード、リバティアイランドであり、顔ぶれが豪華すぎる。

以下2番人気【2-1-2-5】勝率20.0%、複勝率50.0%に3番人気が【1-1-1-7】勝率10.0%、複勝率30.0%と続き、勝ち馬はすべて3番人気以内。7番人気【0-2-0-8】複勝率20.0%など伏兵は2、3着が精一杯。それも目立つところはなく、複穴の傾向はつかみにくい。基本線は上位馬の順位づけで進めるべきだろう。

年齢別成績,ⒸSPAIA


今年注目を集める3歳は【2-0-1-7】勝率20.0%、複勝率30.0%で21年エフフォーリア、22年イクイノックスが勝利した。皐月賞馬と、皐月賞・ダービーの2着馬。やはり挑戦するだけの格はほしい。皐月賞馬ミュージアムマイル、春二冠3着、2着のマスカレードボールは実績で見劣らない。古馬の壁を突き破る可能性はある。

古馬勢は5歳【5-3-4-35】勝率10.6%、複勝率25.5%が一歩リードも、4歳も【3-7-5-34】勝率6.1%、複勝率30.6%と悪くなく、3~5歳の勝負。6歳以上は【0-0-0-42】。主力世代は強力だ。

メイショウタバルに対抗できるのは

古馬代表は宝塚記念を勝ったメイショウタバル。日本ダービーを取り消したため東京はこれが初出走であり、関東圏への出走も皐月賞以来になる。その間ドバイ遠征を敢行しており、今さら輸送云々はいわないが、これまでと違う出走プロセスへのメイショウタバルの反応は気になるところ。それだけ以前は気難しい馬だった。

前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走クラス別ではGⅢ以下【0-0-0-13】で格下からの挑戦ははね返される。最低でもGⅡ【3-3-6-80】勝率3.3%、複勝率13.0%。3着6頭なので、前走GⅠ組だけで馬券を固めると、はずす可能性も高まる。

その前走GⅠは【7-7-4-19】勝率18.9%、複勝率48.6%。前哨戦を使って本番へというパターンは消えつつある。特に秋は厳しい夏場に稼働するダメージも深刻なので、一層、春シーズン以来のローテを選ぶ傾向にある。

前走GⅠ・レース別成績,ⒸSPAIA


まず3歳勢が当てはまる前走ダービー【2-0-1-2】勝率40.0%、複勝率60.0%について。2勝はエフフォーリア、イクイノックスのダービー2着馬なので、マスカレードボールは合格。皐月賞3着馬でもあり、臨戦過程からみても十分だ。

セントライト記念経由の出走はなく、ミュージアムマイルは判断が難しいものの、毎日王冠、神戸新聞杯経由だと【0-0-0-5】。秋の前哨戦を挟んで本番というローテは機能していない。古馬にぶつかるにあたり、できるだけフレッシュな状態がいいということか。

前走宝塚記念・着順別成績,ⒸSPAIA


前走宝塚記念は【3-2-2-12】勝率15.8%、複勝率36.8%。内訳は1着馬【1-1-1-1】勝率25.0%、複勝率75.0%、6~9着【2-0-0-1】勝率、複勝率66.7%。そもそも宝塚記念とは適性の関係が薄く、勝ち切るぐらい力があればいいが、そうでないなら適性が合わず、負けた馬を狙うというのが筋だ。

メイショウタバルは自分でレースをつくる強みをいかし、上がり勝負に持ち込ませなければ、再度好走できる。反対に、できれば宝塚記念のような流れになってほしくないのが8着ロードデルレイだろう。もともと東京は得意舞台で、2000mは24年白富士ステークスの1:57.2が光る。

また、6着ソールオリエンスも反転する可能性を残す。こちらはご存じ道悪巧者であり、馬場がカギを握る。

過去10年のデータから見る天皇賞(秋),ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『もう一つの引退馬伝説2 関係者が語るあの馬たちのその後』(マイクロマガジン社)に寄稿。

《関連記事》
【天皇賞(秋)】過去10年のレースデータ
芝長距離で複勝率70%超、京都芝重賞は単回収率145% C.ルメール騎手のプラス条件、マイナス条件
東京芝はルメール騎手以外に池添謙一騎手も狙い目 騎手、種牡馬の府中巧者を徹底検証