【天皇賞（秋）】「ノーザンファーム生産の4歳馬」は複回収率148%　データで導く穴馬候補3頭

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データで見る「穴候補3頭」

先週の菊花賞で3歳世代の戦いにひと区切りがつき、今週からは秋古馬三冠ロードがスタートする。日曜の東京メインは天皇賞（秋）。芝2000mで国内トップクラスの実力馬たちが火花を散らす。

このレースでは過去10年全て、単勝オッズ4倍未満の馬から勝ち馬が出現している。一方で昨年9番人気2着タスティエーラ、8番人気3着ホウオウビスケッツのようなヒモ荒れはしばしば見られる。そのあたりを念頭に置きながら、様々な切り口のデータを駆使して3頭の穴候補を導き出した。

7連覇中のノーザンファーム生産馬は「4歳」を狙え　クイーンズウォーク

1頭目はクイーンズウォーク。ノーザンファーム生産、中内田充正厩舎所属の4歳牝馬で、春には金鯱賞を勝ってヴィクトリアマイルでもタイム差なし2着と好走した。

芝中距離の王道GⅠという条件だけあって、この天皇賞（秋）はノーザンファームの十八番といっていいレース。過去10年で【8-6-6-46】複勝率30.3%。2018年のレイデオロから生産馬が7連覇中だ。

また、天皇賞（秋）全体の傾向として「若い馬優勢」というポイントもある。両方に合致する「ノーザンF生産の4歳馬」は【3-4-2-14】複勝率39.1%、複回収率148%で、（国内外問わず）GⅠ連対の実績があった馬に限ると【3-4-2-9】同50.0%、複回189%までアップする。生産、年齢、GⅠ実績の3点で絞り込みが効く。

今年の該当馬はアーバンシックとクイーンズウォークの2頭。当記事ではクイーンズウォークを特に取り上げておく。

左回りは【3-1-0-1】と得意にしていて、唯一着外となったオークスもハイペースを先行して4着健闘だった。相手関係はともかく、東京芝2000mはコース、距離ともにベスト条件だ。

前走の新潟記念は馬場入りの際に放馬して競走除外となったが、幸いにも大事には至らなかった模様。人気を落とすようなら狙ってみたい。

地味に（？）侮れない毎日王冠組　ホウオウビスケッツ

続いてはホウオウビスケッツ。昨年の当レース3着馬だ。その昨年同様、前走の毎日王冠で逃げて0.1秒差2着という臨戦過程で出走してくる。

天皇賞（秋）で意外と侮れないのがこの「毎日王冠組」。過去10年での成績は【0-1-5-33】複勝率15.4%に留まるが、数字を下げているのはその8着以下馬【0-0-0-11】と、6歳以上馬【0-0-0-15】。それを除外すれば【0-1-5-14】複勝率30.0%、複回収率135%をマークしている。

番組体系上、超一流どころはここを「秋の始動戦」と位置付け、ジャパンCや有馬記念、あるいは香港遠征を見据えた余力残しで出走する。ゆえに、毎日王冠を叩いてここに全力投球する勢力に付け入るスキが生まれるのだろう。まして今年は、従来中2週だった間隔が中3週に改められた。例年より毎日王冠組が力を出しやすいはずだ。

ホウオウビスケッツは今年に入って右回りで9着、5着、7着、左回りで2着、2着。若いころは右にモタれるなど若干の左右差を感じた馬で、今なお左回りがベターなのかもしれない。前走は上がり3F自己ベストタイの33.8秒を使ってキレ負けした形。メイショウタバルが作る締まったペースを2番手で立ち回れば怖い存在となりうる。

GⅠの大穴男・菅原明良　セイウンハーデス

ラストはエプソムCを快勝したセイウンハーデス。主戦の幸英明騎手が骨折休養中のため、今回は初騎乗の菅原明良騎手が予定されている。

以前にも取り上げたが、菅原明騎手は重賞で穴を開けることが多いジョッキー。デビューからのJRA通算で見ても、重賞で【13-13-14-154】複勝率20.6%、複回収率125%。GⅠでも【1-2-3-34】同20.0%、複回257%と黒字計上だ。

今回のような「GⅠで他騎手から乗り替わり」というケースは【0-0-3-6】の複回762%。2022年NHKマイルC18番人気カワキタレブリー、2023年ホープフルS13番人気サンライズジパング、2024年大阪杯11番人気ルージュエヴァイユをそれぞれ3着に持ってきた。「GⅠの大穴男」と呼ぶにふさわしい。

セイウンハーデスは一昨年の七夕賞勝利後、屈腱炎で無念の戦線離脱。1年4か月の休養を経て昨年末に実戦復帰した。2戦は振るわなかったが、エプソムCで一変。前半1000m57.3秒のハイペースを中団追走から突き抜け、ドゥラドーレス（→七夕賞2着、オールカマー2着）らを完封した。稍重にもかかわらず勝ち時計1:43.9はレコードという強い内容。相手が格段に上がるのは確かだが、楽しみはある。

《ライタープロフィール》
鈴木ユウヤ
東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、Xやブログ『競馬ナイト』で発信している。好きな馬はショウナンマイティとヒガシウィルウィン。

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