【秋華賞】好データ合致、前走は最も強い競馬で2着 エフフォーリア全妹ジョスランの初GⅠ獲りに期待
貴シンジ

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す
今回は10月19日(日)に京都競馬場で行われる秋華賞について、下記3つのファクターを組み合わせるコンプレックスアナライズで分析を行っていく。
・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」
特別登録のあった22頭のうち、除外対象のテリオスララを除いた21頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。
重要データ:王道ローテが圧倒的な成績

秋華賞は牝馬三冠の最終戦で、勝ち馬が出ているローテーションにははっきりと傾向が表れている。
阪神開催も含めた直近10年ではオークスからの直行組が6勝、紫苑ステークス組が3勝、ローズステークス組が1勝となっていて、それ以外のレースからは勝ち馬が出ていない。レース全体の単勝回収率は25%、複勝回収率も45%とかなり堅いレースと言える。
まずはオークス組から見ていこう。こちらは【6-1-3-16】という成績で、オークス経由の秋華賞馬には「オークス3着以内」という共通点がある。ただし、今回はオークスの2着馬と3着馬が回避、勝ち馬のカムニャックはローズS組を挟んだ臨戦ため、オークス直行組からの注目馬はなしということになる。
続いて紫苑S組。こちらは【3-5-0-40】という成績だ。紫苑S組で注目したいのは人気と着順。紫苑Sで「3番人気以内かつ3着以内」だった馬の成績は【3-3-0-5】単勝回収率166%、複勝回収率114%となる。今年このデータに該当する馬は、2番人気2着のジョスランのみだ。
最後にローズS組も。こちらは【1-3-5-47】単勝回収率5%、複勝回収率48%に留まっている。こちらも同様に、ローズSで「5番人気以内かつ5着以内だった馬」に注目する。該当馬は【1-2-3-12】で単勝回収率16%、複勝回収率97%となる。今年このデータに該当するのは、1番人気1着のカムニャックのみだ。
【注目データ該当の出走予定馬】
・ジョスラン
・カムニャック
前走内容:紫苑ステークス
紫苑Sからは勝ち馬ケリフレッドアスク、2着ジョスラン、3着ダノンフェアレディが出走を予定している。
今年の紫苑Sは前半5Fが60秒1、後半5Fが59秒0という後傾1.1秒のスローペースだった。この日の中山競馬場は馬場状態が非常に良く、時計も出ていて内前が有利なポジション。勝ったケリフレッドアスクはマイペースで逃げてそのまま押し切ったが、かなり展開の向いた競馬だった。
また、3着ダノンフェアレディも好位を追走して最後は内を突いて伸びてきた。高速決着が得意なタイプではないが、それでも展開は味方になった。
そこで注目したいのが2着のジョスランで、こちらは外目追走から直線も外から一頭だけ伸びて2着に食い込んだ。後ろに1番人気リンクスティップがいたこともあって、少し仕掛けを遅らせたことも響いただろうか。4枠4番の好枠でもC.ルメール騎手は早々に内側を捨て、いつでも動ける外目にポジション取りをしていた。
権利を取るためにはベストな騎乗だったと言えるが、勝ちに行くのであれば枠なりで先行するのがベストだっただろう。よって紫苑Sで一番強い競馬をしていたのはジョスランで、注目データにも該当していることから本番でも注目すべき一頭だ。
血統解説:ジョスラン

・ジョスラン
日本での牝祖は祖母ケイティーズファーストだが、この牝系は3代母Katiesを根幹として、ケイティーズファーストとその半妹ホワットケイティーディドの2本の枝が日本で広がっている。
本馬が属するケイティーズファーストの分岐には、ジャパンカップなどGⅠを3勝したアドマイヤムーン、皐月賞などこちらもGⅠを3勝したエフフォーリアがいて非常に活力が高い。この一族の活躍馬は芝に特化していて、パワーがあり末脚の持続性能に秀でたタイプが多いのが特徴だ。
母ケイティーズハートは現役時、ダートの1700~1800mでJRA通算3勝をマーク。本馬の全兄には2021年の年度代表馬エフフォーリア(父エピファネイア)、半姉にも桜花賞3着ペリファーニア(父モーリス)がいて、母の繁殖能力の高さが伺い知れる。
本馬は父にエピファネイアを迎えた。牝馬ということもあって、エフフォーリアと比べると身体つきはかなりしなやかで、瞬発力は本馬の方が高そう。それでいて兄と同様に牝系譲りの発達したトモと厚い胸を持っていて、同世代の牝馬との比較でパワーと持続性能の高さも感じさせる。
前走の中山芝2000mも本馬にとっては悪くない舞台だったが、瞬発力勝負になってしまっては実力を出し切るレースにはならない。今回の京都芝2000mもロングスパートを決めやすい舞台で、本馬にとっては合う。スローペースになりすぎると切れ負けする恐れがあるため、自分から動く競馬ができれば上位に割って入れるだろう。
Cアナライズはジョスランを推奨
今回のCアナライズではジョスランを推奨する。
前走の紫苑Sはスローペースの競馬で本来の力を発揮することができなかったが、それでも2着と好走した。ペースが流れやすいGⅠの舞台なら、より力を発揮しやすいだろう。
また、オークス馬カムニャックも当然注目の一頭。一方で桜花賞馬エンブロイダリーは上位人気の一頭になりそうだが、オークス6着以下の着順だった馬は過去10年【0-0-0-12】。一頭も馬券に絡むことができていない。
《ライタープロフィール》
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。
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