【秋華賞】波乱のカギは「馬体重」と「キャリア」にあり 特注血統も兼ね備える激走候補

逆瀬川龍之介

人気薄の好走条件と注目馬,ⒸSPAIA

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過去には3連単1000万馬券の大波乱

かつての秋華賞は荒れるイメージがあった。99年には2桁人気のブゼンキャンドルとクロックワークで決まり、馬連は9万4630円の高配当に。そして08年には当時のGI史上最高配当となる1098万2020円の大万馬券が飛び出している。21年以降、直近4回の馬券圏内12頭は全て5番人気以内と“休火山”状態だが、そろそろ大噴火があるかも!?

そこで直近10年の秋華賞において、単勝5番人気以下で馬券に絡んだ9頭をチェック。共通項を見つけ出し、今年の穴馬候補をピックアップしたい。

★馬体重440~480kg
桜花賞は馬体重の重たい馬、対照的にオークスは軽い馬が走るというのは、多くの競馬ファンが知っている事実だ。では秋華賞は? これはあまり話題にならないが、実はミドルサイズの馬の成績がいい。とりわけ人気薄は顕著。該当9頭を見ると、20年2着のマジックキャッスル(432kg)を除く8頭が440~480kgのゾーンに収まっていた。

ここでは前走馬体重440~480kgの馬を該当候補として扱う。

【今年の該当候補】
・エリカエクスプレス
・カネラフィーナ
・クリノメイ
・ケリフレッドアスク
・ジョイフルニュース
・ジョスラン
・ブラウンラチェット
・ランフォーヴァウ
・ルージュソリテール
・レーゼドラマ

★キャリア6~9戦
秋華賞は経験値が問われるレースでもある。該当10年において、キャリア5戦以下で馬券に絡んだ馬は7頭いる。ただ、全馬が4番人気以内で、アーモンドアイやデアリングタクト、リバティアイランドなど名牝揃いだった。

では、5番人気以下で馬券に絡んだ9頭はどうだったかというと、全馬がキャリア6~9戦。ちなみに18年2着のミッキーチャーム、20年3着のソフトフルートなど、秋華賞が重賞初挑戦という馬も好走しているので、実績は気にしなくていい。

【今年の該当馬】
・インヴォーグ
・ヴーレヴー
・エンブロイダリー
・カムニャック
・グローリーリンク
・ケリフレッドアスク
・テリオスララ
・テレサ
・パラディレーヌ
・ビップデイジー
・マピュース
・ランフォーヴァウ
・レーゼドラマ
※出走取消、競走除外は非カウント

★父 or 母キングマンボ系
人気に関係なく、秋華賞ではキングマンボの血が存在感を発揮している。直近5年に限ると、両親のいずれかがキングマンボ系の馬は【5-1-4-21】の勝率16.1%、複勝率32.3%。目下5連覇中で、常に2頭が馬券に絡んでいる。

人気薄の9頭を見ても、15年3着のマキシマムドパリ(父キングカメハメハ)、17年3着のモズカッチャン(母の父キングカメハメハ)、20年3着のソフトフルート(母の父キングマンボ)が該当。血統表は絶対に見ておこう。

【今年の該当馬】
・インヴォーグ
・ケリフレッドアスク
・ジョイフルニュース
・ビップデイジー
・ランフォーヴァウ
・ルージュソリテール

浮上した激走候補は3頭

登録馬の中で、「前走440~480kg」「キャリア6~9戦の2項目に該当した馬はケリフレッドアスク、ランフォーヴァウ、レーゼドラマの3頭だった。そのうちキングマンボの血を引くのはケリフレッドアスクとランフォーヴァウだが、近走内容から判断して、より強気に推せるのはケリフレッドアスクだ。

前走の紫苑Sは確かに展開に恵まれての逃げ切りだったが、ラスト2Fは11秒1→11秒2。直線の急坂も何のその、ゴール前で失速していない点は強調できる。春を振り返ると、明らかに距離が長かったオークスでも1秒0差の8着に健闘。エンブロイダリーには先着していた“隠れた実力馬”なのだ。

今回も上位人気にはならないはずだが、展開利が見込めそうなメンバー構成。再度の先行粘り込みで、波乱の主役となってほしい。

馬券はケリフレッドアスクの単複。馬連と3連複はエンブロイダリー、カムニャック、ジョイフルニュース、ジョスラン、テレサに流して勝負したい。

《ライタープロフィール》
逆瀬川龍之介
国内の主要セール、GIのパドックはもちろん、時には海外のセリにも足を運ぶ馬体至上主義のライター。その相馬眼を頼りにする厩舎関係者、馬主は少なくない。一方、マニアック、かつ実用的なデータを駆使して、ネット媒体や雑誌などにも寄稿するなど、マルチな才能を持っている。

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