【スワンS】データが導く高評価2頭 “マイナス要素なし”のグレイイングリーン、オフトレイルに期待

門田光生

スワンSの年齢別成績(過去10年),ⒸSPAIA

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「牡馬」「栗東所属」が好走の大半

13日に京都競馬場で行われる第68回スワンステークス。スワンは日本語で白鳥の意。京都競馬場における白鳥の歴史は古く、昭和32年にオランダから購入し、最盛期には70羽ほど生息していた。第1回スワンSが行われたのは昭和33年だから、スワンSより白鳥たちの方が“先輩”ということになる。

2016年に鳥インフルエンザが発生して以降は白鳥の姿が消え、スタンドの名称も「ビッグスワン」は「ステーションサイド」に、「グランドスワン」は「ゴールサイド」に変更されるなど、白鳥の面影が徐々に消えているのはさみしい限りである。

それはさておき、マイルチャンピオンシップに向けて重要な一戦となるこのレースにはどのような傾向があるのか。阪神開催時も含む過去10年の成績を基に、検証していきたい。

☆所属
出走頭数が多い栗東所属馬が7勝、2着9回、3着10回と好走馬の大半を占める。連対率、複勝率でも上回っているが、勝率だけは美浦所属馬が少しだけ上となっている。

スワンS出走馬の所属,ⒸSPAIA


☆性別
牡馬(セン馬含む)が8勝、2着7回、3着8回。勝率以下の3部門でも、牝馬を上回っている。

スワンS出走馬の性別,ⒸSPAIA


☆年齢
3歳馬の好走率がほかの世代と比べて高くなっている。

スワンS出走馬の年齢,ⒸSPAIA


☆前走クラス
様々なクラスからまんべんなく連対馬が出ている。ただし、GⅡ組からは勝ち馬が出ていない。

スワンS出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA


☆主な前走
京成杯AHから最多となる3頭の勝ち馬が出ている。ヴィクトリアマイルは3頭しかサンプルがないが、うち2頭が連対しており注目だ。なお、今年は例年より2週前倒しで開催されるが、ここでは過去の好走データをそのまま信頼することにする。

スワンS出走馬の主な前走,ⒸSPAIA


☆前走着順
勝率が優秀なのは前走4着、連対率が高いのは前走2着。前者の該当馬はいないので今回は前走2着をプラスデータとする。一方、前走3着や前走5着(サンプルは少ないが)からは連対馬が出ていない。また、前走10着以下には勝ち馬がいない。

スワンS出走馬の前走着順,ⒸSPAIA


☆前走人気
各種好走率が優秀な前走1番人気と5番人気をプラスデータとする。反対に、前走2番人気と4番人気からは勝ち馬が出ていない。

スワンS出走馬の前走人気,ⒸSPAIA


☆前走着差
前走で勝ち馬から1.4秒差以上離されていた馬は連対したケースがない。

スワンS出走馬の前走着差,ⒸSPAIA


☆その他
前走馬体重459kg以下で勝った馬はいない。また、前走で3コーナーを先頭で通過していた馬の連対例はない。

その他データ,ⒸSPAIA


本命候補は2頭

スワンSのデータをまとめてみよう。今回の登録馬に該当するデータは以下のようになった。

【好走率アップ】
A「牡馬・セン馬」
B「3歳」
C「前走が京成杯AH、ヴィクトリアマイル」
D「前走2着」
E「前走1番人気、5番人気」

【勝ち馬なし】
F「前走GⅡ」
G「前走10着以下」
H「前走2番人気、4番人気」
I「前走459kg以下」

【連対馬なし】
J「前走3着、5着」
K「前走1.4秒差以上負け」
L「前走3角1番手」

最初に、プラスデータを勝率順に並べてみる。結果は以下の通り。

プラスデータ勝率順,ⒸSPAIA


登録21頭のうち、プラスデータ2個以上に該当かつマイナスデータ「F~L」に当てはまらないのはオフトレイル(AD)とグレイイングリーン(AE)の2頭だけ。

D「前走2着」、E「前走5番人気」を比較すると、勝率が高いのはEの方。よって、◎グレイイングリーン、◯オフトレイルとする。ただ、D「前走2着」は連対率が35%以上もあるので、馬連や3連複ならオフトレイルから買う手もある。

次に相手探し。ここからは勝ち馬が出ていない「F~I」の該当馬も対象とする。プラスデータを連対率順に並べると、以下のようになる。

プラスデータ連対率順,ⒸSPAIA


登録馬で最多のプラスデータに該当するのはアドマイヤズーム(ABE)とシンフォーエバー(ABD)で3つ。シンフォーエバーは連対馬なしのL「前走3角1番手」に当てはまるので除外。よって、3番手はアドマイヤズームとする。

続いて、プラスデータ2つはアルテヴェローチェ(AB)、タイムトゥヘヴン(AC)、ムイ(BE)の3頭。プラスデータの中で、A「牡馬」は他と比べて連対率が低く、これ以外のプラスデータが2つあるムイを4番手とする。

残る2頭の比較では、B「3歳」の方がC「前走京成杯AH」より連対率が高いので、アルテヴェローチェが5番手、タイムトゥヘヴンが6番手となる。

◎グレイイングリーン
◯オフトレイル
▲アドマイヤズーム
△ムイ
×アルテヴェローチェ
×タイムトゥヘヴン

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
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