【スワンS】2歳王者アドマイヤズームの巻き返しに期待 オフトレイルの連続好走も要注意
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混戦模様も中心は3歳
昨年までは天皇賞(秋)の前日にあったスワンステークスだが、今年から10月の3日間開催に組み込まれた。毎日王冠と京都大賞典がいなくなった3日間開催へのスライドは、スワンSの微妙な立ち位置を解消しようという意図がみえる。
というのも、マイルチャンピオンシップまで中2週の前哨戦ではなく、顔ぶれも阪神カップや翌年の阪急杯へ続く1400m重賞路線の一部になっていた。やはりGⅡ格にふさわしい“前哨戦”という立ち位置を取り戻したい。そこでマイルCSまで中5週に一新し、間隔の問題は解消した。
残るは1400mという距離だろう。どうしたってスペシャリストが多く、実際マイルだと長い馬はGⅠではなく、阪神Cとの2戦に全力でくる。スワンSは今年から前哨戦と1400m巧者のせめぎ合いになるのかどうか。今後の立ち位置にも注目しよう。データは21、22年の阪神施行を含めた過去10年分を使用する。

1番人気【2-2-1-5】勝率20.0%、複勝率50.0%や2番人気【4-1-1-4】勝率40.0%、複勝率60.0%が強力。3番人気【0-1-1-8】複勝率20.0%以下はほぼ横並びだ。
その分、10番人気以下【2-2-3-70】勝率2.6%、複勝率9.1%と穴馬の好走もあり得る。例年実力拮抗の混戦になる重賞であり、展開に乗じた激走なども考えられるので、しっかり検討したい。

年齢では3歳が【3-1-1-12】勝率17.6%、複勝率29.4%と確率上はリードする。古馬勢のマイルGⅠ狙いが不在で“空き巣状態”だったことを考えると、納得できる。今年もさほど強力な馬は見当たらず、斤量も味方につけられる3歳勢はマークしないといけない。
一方、古馬勢は5歳が【4-4-3-40】勝率7.8%、複勝率21.6%と優勢。4歳は【1-2-2-32】勝率2.7%、複勝率13.5%と一歩引く形。脂ののった4歳は人気に推されがちなので、この数字は意識しておきたい。
ウインマーベル、オフトレイルは1400mOK
3歳勢の注目はなんといってもアドマイヤズームだろう。2歳GⅠを勝ち、休み明けの前哨戦も2着と万全だったはずのNHKマイルカップで14着と大敗を喫してしまった。
ただし、結果的に前半800m44.6の超ハイペースを好位から追いかける形になり、しんどかった。道中で落鉄もしており、休み明けのここは簡単には見限れないか。

前走GⅠは【3-4-3-31】勝率7.3%、複勝率24.4%だが、これは以前のスケジュールでのものであり、スプリンターズステークス経由【1-1-1-16】が含まれている。今年は中1週に変わるので、ここはリセットしよう。
前走NHKマイルCは【0-0-1-2】複勝率33.3%と頭数がかなり少ない。今年はアドマイヤズームなど複数参戦予定。マイルCS目標という意識は3歳勢に強くみられる。この傾向は今後も続くだろう。
前走安田記念は【1-2-1-8】勝率8.3%、複勝率33.3%のうち4着以内【1-2-0-2】、6~9着【0-0-1-0】に対して10着以下【0-0-0-6】なので、ひと桁着順で十分。5着ウインマーベルは有力だ。昨年のマイルCS3着馬でもあり、こちらはマイルCS照準の1400m巧者。勝って本番に弾みをつけたいところだろう。

前走GⅡ、GⅢ組は距離に注目。前走1400m超からの距離短縮が【3-3-2-31】勝率7.7%、複勝率20.5%と目立つ。延長は【1-0-2-23】勝率3.8%、複勝率11.5%なので短縮に注目すべきだろう。
ちなみに、京都開催のスワンSに限ると【3-3-2-22】勝率10.0%、複勝率26.7%であり、短縮組の好走はすべて京都でのもの。阪神とは違い、外回りで行われる京都は前半がハイペースになりにくく、スプリンターよりマイラーが走りやすい。相手選びに迷ったらマイル以上の重賞からの転戦組を上にとろう。
今年のメンバーでは関屋記念2着オフトレイルに注目。昨年のスワンSで2着と好走、続く阪神Cでも3着と1400m実績も兼ね備えており、有力視できる。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 純白の奇跡』(ガイドワークス)に寄稿。
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