【毎日王冠】GⅠ好走馬ホウオウビスケッツ、エルトンバローズは消し ハイブリッド式消去法

久保田大五郎

過去10年の毎日王冠『距離延長』かつ『前走0.3秒以上負け』の成績,ⒸSPAIA

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5つのデータから絞れた馬は?

先週で秋の中山が閉幕し、関東圏は戦いの舞台を東京に移す。日曜メインは毎日王冠。天皇賞(秋)あるいはマイルCSのステップレースとなる、伝統のGⅡ競走だ。

いつも通り過去10年データを用いて、複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップ。当てはまった馬を消していく。

南部杯を視野に入れる報道があったシックスペンスなど出否不明の馬も一部いるが、登録馬全13頭を対象に進める。

『距離延長』×『前走0.3秒以上負け』★0.0%★

まずは前走で1800m未満のレースに出走していた「距離延長組」に関するデータから。本レースでは安田記念組を中心に、マイル路線の実力馬が出走してくることも珍しくない。

その成績は【3-4-4-27】複勝率28.9%。好走率は上々だが、馬券に絡んだ馬のほとんどが上位人気馬であり、複勝回収率は42%と低調だった。

距離延長のうち、前走で0.3秒以上負けていた馬は【0-0-0-21】とキレイに全滅。ちなみに安田記念組も1着馬【0-3-1-1】、0.2秒以内負け【3-1-2-2】、0.3秒以上負け【0-0-0-10】と明暗がくっきり分かれていた。

このデータでいきなり半数近い6頭が消去となる。昨年勝ち馬のシックスペンスは出走してきても消し。一昨年勝ち馬エルトンバローズは前走中京記念でスローの行った行った決着を先行するも、前を捕まえられずに本馬だけ後退していった。

もちろん、故障明けを叩いて今回は上積みもあるだろうが、レース単体として内容が物足りなかったのは否めない。

【今年の該当馬】
・エルゲルージ
・エルトンバローズ
・シックスペンス
・ラファドゥラ
・レーベンスティール
・ロングラン

『前走7着以下』×『前走GⅢ以下』★0.0%★

次は前走の結果が振るわなかった馬を削っていく。基準とするのは前走着順。前走7着以下だった馬は【2-2-1-45】複勝率10.0%止まりで、巻き返した5頭は前走GⅠ組と、中山記念から7か月空けたリアルスティールのみ。前走GⅢ以下だと【0-0-0-15】だ。

この条件で新たに2頭が消去された。シリウスコルトは田中勝春厩舎への転厩から戦績が良化したものの、新潟大賞典を勝った際は前後半1000m61.3-59.2秒のスローペース逃げで展開に恵まれていた。主場のGⅡに混ざると格でやや見劣る。

【今年の該当馬】
・(エルトンバローズ)
・シリウスコルト
・ジェイパームス
・(ラファドゥラ)
・(レーベンスティール)

『同年にJRA重賞3着内歴なし』×『前走ハンデ戦』★0.0%★

3つ目は同年の重賞実績に着目する。「同年にJRA重賞で3着以内があった馬」の成績は【9-9-6-51】複勝率32.0%で、「なかった馬」の【1-1-4-39】同13.3%を圧倒している。

同年に重賞好走歴がなかった馬のうち、前走がハンデ戦なら【0-0-0-9】。GⅠや別定の格高重賞を戦ってきたならまだしも、メンバーレベルが落ちるハンデ戦でも結果が出せていないようでは厳しい。

七夕賞4着シルトホルン、函館記念4着ディマイザキッドがここで脱落する。シルトホルンは東京芝1800m巧者だが、昨年当レースはスローペースを先行するも5着まで。ベストの舞台でも上位勢とは地力の差を感じる結果だった。

ディマイザキッドも展開が向いた上でのGⅢ・4着が現状の立ち位置。ここでは荷が重いように感じる。

【今年の該当馬】
・(エルゲルージ)
・シルトホルン
・(ジェイパームス)
・ディマイザキッド

『非社台系生産馬』×『キャリア16戦以上』★3.1%★

今度は生産者別データを用いる。東京の芝中距離重賞だけあって、やはりノーザンF生産馬が【6-4-4-26】複勝率35.0%と絶大な存在感を放っている。

逆に非社台系(※社台F、ノーザンF、追分F、社台コーポレーション白老F以外とする)の生産馬は【4-4-5-44】複勝率22.8%と押され気味だ。

特に「キャリア16戦以上」の中堅~ベテランホースに限ると【0-1-0-31】と不振。複勝率はわずか3.1%だった。

既に消去済みの3頭に加え、ホウオウビスケッツが消える。昨年2着は函館記念圧勝から勢いに乗っての参戦だったが、ひとつ年齢を重ねた今年は札幌記念が敗因のハッキリしない7着。さらにデータにもそぐわないとなれば、逆らう余地はある。

【今年の該当馬】
・(エルゲルージ)
・(エルトンバローズ)
・(シルトホルン)
・ホウオウビスケッツ

『今回馬体重減』×『騎手乗り替わり』★4.0%★

4つの項目を終えた時点で、残るはサトノシャイニングとチェルヴィニアの2頭だけ。もはやこれで完了でもいいくらいだが、最後に「当日の馬体重」が絡むデータを紹介しておく。

毎日王冠は過去10年のうち、実に9回で「前走比プラス体重」の馬が勝利している。逆に前走より減って出走した馬は【0-2-3-44】複勝率10.2%と苦戦傾向だ。

なかでも、前走と違う騎手に乗り替わるケースは【0-0-1-24】同4.0%で連対すらなく、2016年ヒストリカルの3着が唯一の馬券絡みだ。このデータをもって仕上げとする。

2頭のうちサトノシャイニングは日本ダービーに続いて武豊騎手が騎乗予定。馬体重問わず消去を回避する。

一方チェルヴィニアは、前走で手綱を執ったルメール騎手が同日の「凱旋門賞(アロヒアリイ)に遠征するため、乗り替わりが確定している。こちらは前走比マイナス(つまり483kg以下)で出走すると“アウト”だ。

【今年の該当候補】
・チェルヴィニア

5つの消去データを終え、確実に残るのはサトノシャイニングただ1頭となった。チェルヴィニアは当日馬体重483kg以下で消し、484kg以上なら残る。

サトノシャイニングは昨年当コースの東スポ杯2歳Sでクロワデュノール相手に0.1秒差2着の実績がある。

春は日本ダービー4着と2400mをなんとかこなしたが、折り合いに難しさを抱えており、本質的にはこのくらいの距離がよさそうだ。

1頭しか残らなければ勝負馬券はもちろん単勝1点。チェルヴィニアが残るならこの2頭の馬連も付け足したい。

《ライタープロフィール》
久保田大五郎
競馬歴14年目のアラサーおじさん。データを駆使した予想でロマン馬券を狙う。趣味は料理とプロ野球観戦。大のベイスターズファン。

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