【毎日王冠】3歳馬サトノシャイニングは当日人気がカギ 面白いのは“1800m巧者”ロングラン
勝木淳

ⒸSPAIA
近年はマイラー色が濃い伝統GⅡ
いよいよ2025年の競馬もクライマックスへ突入する。10、11月の東京は天皇賞(秋)、ジャパンCの古馬中距離路線が中心を担う。開幕週を飾る毎日王冠は天皇賞(秋)のステップレース。近年は馬房の入れ替えの効率化に伴い、中2週の前哨戦は全体的に避けられる傾向があった。
そこで、6月の東京を3週間に削り、夏競馬を前倒しする措置をとることで、秋の東京を前半5週、後半4週に拡大。毎日王冠は中3週の前哨戦に生まれ変わった。とはいえ、近年の毎日王冠はマイルCSに挑むマイラーたちの始動戦に変わっており、ここから天皇賞(秋)へ進むか否かは微妙な状況にある。
そして、マイラー色の濃い馬たちが参戦することで、毎日王冠のレース内容自体も変化してきた。スローの瞬発力勝負ではなく、ある程度のラップで進み、後半でさらに速いラップを刻むというレース構成はマイラー特有の持続力がなければ乗りきれない。馬券を買う側もそうしたレースのトレンドを頭に入れて、馬券を買うべきだろう。

1番人気は【8-1-0-1】勝率80.0%、複勝率90.0%と重賞のなかでもかなり堅い。レース展開や適性が変わったとはいえ、伝統のGⅡという看板を下ろすことはない。満場一致の1番人気が負ける場面は想像しにくい。
4番人気【1-3-3-3】勝率10.0%、複勝率70.0%までは手堅く、「秋の東京、開幕週から波乱決着」という見出しは考えづらい。まずは上位人気馬をしっかり検討していきたい。

3歳【5-1-0-11】勝率29.4%、複勝率35.3%が目立つが、これは1番人気とリンクする。3歳1番人気が【4-0-0-1】と勝率80%を誇り、2番人気以下だと【1-1-0-10】と印象はかなり違う。古馬GⅡで1番人気に推されるほどの実績馬なら文句なしといった感じ。
さて、今年のサトノシャイニングはどうだろうか。春はきさらぎ賞を勝ったものの、皐月賞、ダービーは5、4着。この成績でメンバー中最上位という評価を受けるかどうか。人気に注目したい。
ちなみに前走ダービーは【3-1-0-4】勝率37.5%、複勝率50.0%。2着【2-0-0-0】、6~9着【1-1-0-0】、10着以下【0-0-0-3】で4着馬は【0-0-0-1】。データは少ないが、好走寄りの解釈は成り立つ。
距離変化への対応力がカギ
古馬勢は昨年のマイルCS2着馬で、毎日王冠は過去2年1、3着と相性がいいエルトンバローズや昨年の牝馬二冠馬チェルヴィニアらが実績上位の存在だ。

前走GⅠ【2-5-4-24】勝率5.7%、複勝率31.4%は安田記念が【2-4-3-13】勝率9.1%、複勝率40.9%と大勢を占める。その着順傾向は明瞭で、4着以内【2-4-3-3】、6着以下【0-0-0-10】。安田記念で好勝負を演じた馬がそのまま休み明けで好走してくる。13着ロングランはデータ上だと厳しい。
だが、ロングランは東京実績こそ乏しいが、もとは1800m巧者でもあった。得意距離に戻り、さらに春のマイル戦線での経験をいかせば、反転の目はある。

前走GⅠ以外の重賞を経由した古馬は距離が目安となる。前走1800mが【3-2-3-7】勝率20.0%、複勝率53.3%と抜けており、延長の1800m未満【0-0-1-6】複勝率14.3%、短縮の1800m超【0-2-2-26】複勝率13.3%なので、サマー2000シリーズ、マイルシリーズ転戦馬との相性はよくない。
エルトンバローズは中京記念8着馬であり、データ上は危うい。七夕賞8着シリウスコルト、函館記念4着ディマイザキッド、しらさぎS組のチェルヴィニア、レーベンスティールも同じ。距離変化への対応力がカギを握りそうだ。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 純白の奇跡』(ガイドワークス)に寄稿。
《関連記事》
・【毎日王冠】過去10年のレースデータ
・芝1800mで“買える”種牡馬、騎手、調教師を調査 堀宣行調教師は「外国人騎手」起用がポイント
・東京芝はルメール騎手以外に池添謙一騎手も狙い目 騎手、種牡馬の府中巧者を徹底検証
