【スプリンターズS】とにかく内枠・逃げ先行が有利 東大HCの本命はママコチャ

東大ホースメンクラブ

スプリンターズSのプラス条件(過去10年)

ⒸSPAIA

3か月ぶりのGⅠ開催

日曜日、中山競馬場でGⅠ・スプリンターズSが行われる。春秋スプリント制覇を目指すサトノレーヴや、10度目の正直でGⅠ制覇を願うナムラクレア、GⅠ馬ルガルやママコチャといった常連組のほか、香港からラッキースワイネスが参戦。フルゲート16頭の一戦となった。

ラッキースワイネスを除けばすっかりお馴染みのメンバー構成でのレースとなったが、果たして下馬評通りの結果となるのか。過去10年のデータから検討する。

内枠有利の傾向は今年も

秋の中山後半2週の枠順別成績,ⒸSPAIA


<秋の中山開催後半2週の芝1200m戦 枠順別成績>
1~4枠【36-29-37-334】勝率8.3%/連対率14.9%/複勝率23.4%
7、8枠【10-14-16-206】勝率4.1%/連対率9.8%/複勝率16.3%
<1~4枠のうち…>
逃げ先行【24-18-20-76】勝率17.4%/連対率30.4%/複勝率44.9%
→6番人気以下【5-10-11-44】勝率7.1%/連対率21.4%/複勝率37.1%
※新馬戦を除く

先週も述べたが、この時期の中山芝は内枠有利の傾向がある。過去10年のオールカマー、スプリンターズS週に施行された芝1200m戦について枠順別成績を見てみよう(新馬戦を除く63レース)。

全体複勝率が20.6%のうち、7枠と8枠だけが18%を下回る。ワーストの8枠は14.6%だった。6番人気以下でも1~2枠が複勝率17.4%、複回収率107%に対し、6~8枠は同7.4%、37%だ。

成績がいい1~4枠のなかで脚質別に見ると、逃げ先行が【24-18-20-76】で複勝率44.9%。差しが【11-9-14-144】で同19.1%、追込が【1-2-3-114】同5.0%と前有利だ。また、逃げ先行は6番人気以下で【5-10-11-44】複回収率229%。人気薄の先行策には期待値がある。

先週の中山芝コース(新馬を除く9レース)の傾向も、1~4枠【6-5-6-34】複勝率33.3%、5~8枠【3-4-3-55】同15.4%と内枠有利。脚質は逃げ先行【7-5-6-22】複勝率45.0%に対し、差し【2-3-3-28】同22.2%、追込【0-0-0-38】だった。今年も内枠先行の馬を重視するスタンスで挑みたい。

GⅠ実績の鵜呑みは危険?

スプリンターズSの1200m重賞実績別成績,ⒸSPAIA


<スプリンターズS 直近1年の芝1200m重賞実績別成績>
前年スプリンターズSで連対
【2-0-0-9】勝率18.2%/連対率18.2%/複勝率18.2%
同年高松宮記念で連対
【2-3-3-9】勝率11.8%/連対率29.4%/複勝率47.1%
同年芝1200mのGⅡ、GⅢ勝利
【5-6-6-31】勝率10.4%/連対率22.9%/複勝率35.4%
→3番人気以内
【3-3-2-8】勝率18.8%/連対率37.5%/複勝率50.0%
→7番人気以下
【2-2-4-14】勝率9.1%/連対率18.2%/複勝率36.4%

次に1200m戦での実績から好走馬の傾向をチェックする。

前年の当レースに出走していた馬は全体で【4-3-2-47】複勝率16.1%。そこでの着順はあまり関係がなく、勝ち馬【1-0-0-2】はまだしも、2着馬【1-0-0-7】が振るわない。上位人気に推されることも多いがしばしば掲示板外に沈んでいる。3~5着が【0-2-2-14】、6着以下が【2-1-0-24】と大敗した馬が一年後に好走した例は十分ある。昨年7着に敗れたサトノレーヴにとってはある意味追い風と言えるかもしれない。

半年前の高松宮記念に出ていた馬は【6-7-7-52】複勝率27.8%。こちらは勝ち馬が【1-0-1-6】、2着馬が【1-3-2-3】で上位馬がまずまず頑張っている。3~5着【1-0-1-10】、6~9着【0-2-0-15】。10着以下が【3-2-3-18】でなんと複回収率160%。大敗からの巻き返しが多い。なお、時期を問わずJRAの芝1200mGⅠで連対したことのある馬は【4-3-3-41】複勝率27.0%だった。

意外にも見どころとなるのがGⅠ以外の1200m重賞実績。同年にJRAの芝1200mGⅡ、GⅢ勝利がある馬は【5-6-6-31】複勝率35.4%。3番人気以内になれば【3-3-2-8】同50.0%、7番人気以下でも【2-2-4-14】同36.4%で複回収率は226%だ。

今年は人気薄の中にも函館SSをレコードタイムで勝利したカピリナや、セントウルSでトウシンマカオとママコチャを破ったカンチェンジュンガなど骨のあるメンバーがいる。枠順も加味して1頭仕込んでみるのも面白い。

今年のスプリント重賞実績×先行×内枠

◎ママコチャ
一昨年の勝ち馬。その後は重馬場の昨年高松宮記念以外は掲示板を外していない。昨年の当レースでは3枠ながら最後の直線でかなり外を通ったことが敗因だった。今年に入ってオーシャンSを勝ち、レコード決着の京王杯SC2着など衰えは見られない。

今回は昨年ハイペースで逃げたピューロマジックの陣営がハナを切らないことを示唆している。差しは決まりづらくなると推測する。内枠の有力馬の中で最も前で競馬できるこの馬に展開が向く可能性が高い。

◯サトノレーヴ
デビュー以来3着を外したのは阪急杯と昨年のスプリンターズSだけ。その昨年の内容が同じく外を回ったナムラクレアに後ろから差され、前のママコチャは捉えられずと不満が残るものだった。

しかしその後の4戦にはさらなる成長が感じられる。高松宮記念で優勝した後の海外GⅠ連続2着は素晴らしいもので、半年前団子状態だったスプリント界で今や実績、実力ともに頭一つ抜けた印象を受ける。枠も昨年よりは良く、春秋スプリント制覇に期待が持てる。

▲ラッキースワイネス
元香港短距離最強馬で、23年には香港スプリントを勝利。同年スプリンターズS2着のマッドクールや翌年の高松宮記念で3着に入るビクターザウィナーを相手にしなかった。昨年の成績は振るわないものの、前走は2番人気に応えてカーインライジングの2着を確保した。まだ日本の一線級と戦えるだけの力はある。

消ナムラクレア
スプリントGⅠを6戦して【0-3-2-1】と善戦を続けている。しかし後方からの脚質は懸念点。勝利した阪神Cや高松宮記念2着など、最近の好走時は明確に差し有利の展開利があった。内前有利なレースでは届かない可能性が高い。スプリンターズSは傾向としては後者に近く、去年よりもスローペースが予想される。ここは思い切って消しとしたい。

消ルガル
昨年の覇者。高松宮記念では二度大敗しているが、昨年はレース後に骨折判明、今年は外差し有利の展開を3枠6番から先行していてやむなしだった。ただ、昨年のスプリンターズSも7枠からインに入れた西村淳也騎手の好騎乗が最大限に光ったもので、それをもってしても4着までクビ、クビ、クビ差だった。他の有力馬に比べると力は一段下と考える。今回も外枠で、ピューロマジックが飛ばして行かないなら昨年と同じ展開は期待できない。

以下ピューロマジック、トウシンマカオ、カンチェンジュンガまで印を回す。カンチェンジュンガはナムラクレア以上に後方からの脚質だが、前走はセントウルSで内有利の決着を差し切っており警戒が必要だ。馬券は◎、◯2頭軸の3連複で勝負する。

▽スプリンターズS予想▽
◎ママコチャ
◯サトノレーヴ
▲ラッキースワイネス
△ピューロマジック
×トウシンマカオ
×カンチェンジュンガ

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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