【スプリンターズS】「オーシャンS連対馬」が複勝回収率263%の大活躍 データで導く穴馬候補3頭
鈴木ユウヤ

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データで見る「穴候補3頭」
今週日曜の中山メインはスプリンターズS。6月15日に行われた宝塚記念以来、約3か月半ぶりに中央競馬のGⅠレースが行われる。その名の通り、短距離の頂点を決める一戦だ。
舞台となる中山芝1200mはコーナー区間が続く上に、高低差も激しい特殊なコース。そのぶん紛れも多く、過去10年の当レースでは5回も3連単配当が10万円を超えている。今年も波乱は起きるのか、起こすとすればどの馬か。様々な切り口のデータを駆使して3頭の穴候補を導き出した。
「前走GⅠ組」は着順不問で買うべし! ルガル
まず1頭目は昨年の勝ち馬ルガルを取り上げる。その勝利以降は3戦して11着、7着、5着と振るっていないが、いずれもレベルの高い国内外のGⅠ競走ではあった。
スプリンターズSは例年、春GⅠからの直行組とサマースプリントシリーズ組の対決構図になるレース。成績的には一目瞭然、GⅠから直行してくる馬の方が明確に優勢だ。

過去10年で「前走GⅠ(海外含む)組」は【3-3-1-13】複勝率35.0%、複回収率138%であるのに対し、それ以外は【7-7-9-116】複勝率16.5%、複回収率64%に留まっている。夏場の短距離重賞は数が多くてメンバーが分散しやすく、レースレベルが低調になりがちだ。
「前走GⅠ組」の内訳を見ると、その3着以内馬は【2-1-0-1】ともちろん好走しているが、同4着以下も【1-2-1-12】複勝率25.0%、複回収率136%と馬券妙味ではヒケをとらない。着順不問で狙ってよい。また、直近1年以内(=前年のスプリンターズSを含む)にJRA重賞を勝っていた馬は【3-3-1-7】複勝率50.0%、複回収率197%と特に優秀だった。
今年は前走GⅠ組が3頭いて、いずれも直近1年での重賞勝利歴がある。1番人気想定のサトノレーヴは置いておくとして、ダノンマッキンリーとルガルが穴候補に残る。ただ、ダノンの方は全4勝を挙げる1400mに比べ、1200mだとパフォーマンスが下がる。となればルガルを推しておきたい。
2走前の高松宮記念は中京芝1200mにしては珍しく、外がよく伸びる馬場で施行され、内枠勢が軒並み苦戦したレース。3枠6番から先行しての7着なら悲観することはない。香港でのパフォーマンスがもうひとつだが「海外遠征は合わない馬」と割り切ることもできる。3連敗でほどよく人気を落とし、実績のあるコースに戻る。今回が狙い時だ。
「同年オーシャンS連対馬」は複回収率263% ペアポルックス
2頭目はペアポルックス。重賞は未勝利ながら2着が3回ある実力馬で、春には今回と同じ中山芝1200mのオーシャンSでも2着に入った。

そのオーシャンSが、実はスプリンターズSを占う上でキーとなる重賞だ。過去10年の当レースにおいて「同年オーシャンSの連対馬」は【1-4-1-3】複勝率66.7%、複回収率263%と大活躍。2015年11番人気2着のサクラゴスペル、2022年8番人気1着のジャンダルムはどちらもオーシャンSの勝ち馬であった。餅は餅屋、中山芝1200mは中山芝1200m巧者、ということだ。
今年はオーシャンS1着ママコチャ、2着ペアポルックスがどちらも参戦する。人気のママコチャはもちろん、ペアポルックスも侮れない。派手さはないが先行力に長けたレース巧者で、前走もGⅠ馬パンジャタワーと0.1秒差に踏ん張っていた。内目の好枠を引けるようなら、経済コースを立ち回って馬券圏内への進出があっていい。
芝1200m重賞の「香港調教馬」は軽視禁物 ラッキースワイネス
最後は香港からの刺客・ラッキースワイネスを選ぶ。2023年には10戦オール連対、重賞8勝、うちGⅠ・4勝という輝かしい成績を残した。

香港競馬のスプリント路線はレベルが高く、日本にもたびたび遠征して上々の成績を収めてきた歴史がある。昨年も紹介したデータだが、1986年以降、JRAの1200m重賞において香港調教馬の成績は【3-2-2-15】複勝率31.8%、複回収率133%。ベタ買いでプラス収支になっている。
ちなみに、日本での出走が初めてだったケースに限ると【2-2-2-6】で複回収率は234%まで上がる。簡単に言えば、日本のファンに名が売れていないうちに買うのが吉だ。
ラッキースワイネス自身、一昨年に圧倒的な戦歴を残したあと、昨年4月の重賞勝利後に骨折が判明。長期休養を余儀なくされた。1年ぶりの実戦だったチェアマンズスプリントプライズで6着と善戦し、続くシャティンヴァーズでは61キロのハンデを背負って4着。前走はカーインライジングという怪物が前にいて2着だが、使われながら順調に上向いている。本来のパフォーマンスが戻っていれば、日本のスプリンターを全て蹴散らしても驚けない。
《ライタープロフィール》
鈴木ユウヤ
東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、Xやブログ『競馬ナイト』で発信している。好きな馬はショウナンマイティとヒガシウィルウィン。
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