【スプリンターズS】昨年覇者ルガル、重賞5勝馬ナムラクレアは消し ハイブリッド式消去法
久保田大五郎

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5つのデータから絞れた馬は?
今週はいよいよ下半期GⅠの開幕戦・スプリンターズステークスが行われる。いつも通り過去10年のデータを用いて、複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップ。当てはまった馬を消していく。現時点で除外対象のアスクワンタイムも含め、登録馬17頭を対象に進める。
『前走0.5秒差以上で負け』×『同年に重賞未勝利』★2.2%★
まずは直近の結果が振るわなかった馬から順当に消していく。着目したのは前走の「着差」。0.5秒差以上で負けていた馬が【2-3-1-62】複勝率8.8%と苦戦傾向にある。
好走した6頭を見ると、高松宮記念大敗から巻き返した昨年のルガルが年初にシルクロードSを勝っていたように、サクラゴスペル、レッツゴードンキ、シヴァージ、ジャンダルムの5頭が「同年の重賞勝ち馬」という共通項を持っていた。
言い方を変えれば「前走0.5秒差以上で負けた、同年の重賞を勝っていない馬」は【0-1-0-45】同2.2%。非常に高い確率で馬券圏外に敗れている。
今年は以下の4頭が該当する。昨年覇者ルガル、重賞5勝の実力馬ナムラクレアが消去となった。
ナムラクレアの場合、前走函館スプリントSは不利があっての0.6秒差負け。「同年の重賞勝ち」こそないが、昨年末に阪神カップを勝っており、今年は高松宮記念で0.1秒差2着がある。正直、消すのはなかなか怖いが……。46頭中45頭を沈めてきた強力データを信じる。
【今年の該当馬】
・アスクワンタイム
・ダノンマッキンリー
・ナムラクレア
・ルガル
『前走6着以下』×『中4週以下』★0.0%★
もうひとつ、直近の成績が悪かった馬についてデータを取り上げる。今度は着差ではなく「着順」を使う。
前走6着以下だった馬は【2-3-1-64】複勝率8.6%。数字的にも内訳的にも、先の項目で用いた「前走0.5秒差以上の負け」と似ており、やはり苦戦を強いられている。
なかでも「中4週以下」で参戦した馬は【0-0-0-43】とキレイに全滅だ。大敗から立て直すにはもう少し間隔が必要ということだろう。
こちらは該当馬が案外少なく、セントウルS7着のヨシノイースターだけが消去となった。前走は開幕週のインコースをピッタリ回ってきたにもかかわらず、前に迫れず後ろに差された寂しい内容。GⅠでは期待薄と言わざるを得ない。
【今年の該当馬】
・ヨシノイースター
『前走4角9番手以下』×『栗東所属馬』★2.5%★
続いては脚質データ。このスプリンターズS自体、直線が短い中山が舞台というのもあり、ハイペースでもなかなか差しが届かない。過去10年で明確に「差し決着」と呼べるのはグランアレグリアが勝った2020年くらいだ。
そのため「前走4角9番手以下」(※前走千直の場合は道中の通過順)だった馬も【2-2-2-50】複勝率10.7%とイマイチ冴えない。特に、栗東所属馬は【0-0-1-39】同2.5%。3着は2020年のアウィルアウェイがいるだけで、それ以外は全く出番がなかった。
新たに3頭が消去リストに追加された。カンチェンジュンガはセントウルSを鮮やかに差し切ったが、中山で同じ芸当ができるかは疑問符がつく。
ピューロマジックはその気になれば位置をとれる馬だが、それはそれとしてキャリアの全5勝いずれも直線平坦コースでのもの。中山だと最後の急坂で甘くなるのが目に見えている。
【今年の該当馬】
・(アスクワンタイム)
・カンチェンジュンガ
・(ナムラクレア)
・ピューロマジック
・ヤマニンアルリフラ
『同年函館スプリントS5着以内』×『当時8枠以外』★0.0%★
4つ目は少しピンポイントに、カピリナらが該当する「函館スプリントS組」に関するデータを紹介する。
「同年の函館スプリントSで5着以内だった馬」は【1-0-1-16】複勝率11.1%。サマースプリントシリーズのGⅢと、秋の短距離王を決める一戦では当然レースレベルに差があり、厳しい結果に終わっている。
また好走2例は函館スプリントSで「8枠から馬券に絡んだ馬」だった。当時8枠以外だった馬は【0-0-0-13】。函館開幕週の外枠不利を跳ね除けた馬がいれば注目に値するが、ほかは軽視していい。
ここでは下記の3頭が消去となる。今年の函館スプリントSも典型的な内有利馬場で、1~4着はいずれも内枠勢が占めた。カピリナとジューンブレアはトラックバイアスの恩恵を存分に受けた1、2着であり、GⅠでは見送りが妥当だ。
【今年の該当馬】
・カピリナ
・ジューンブレア
・ペアポルックス
『今回5~8枠』×『キャリア18戦以上』★0.0%★
ここまでで11頭が消去され、残るは6頭に絞られた。最後はスプリンターズSを予想する上で避けられない「枠順」を絡めて仕上げとする。
過去10年の枠順別成績を見ると、1~4枠が【7-6-9-58】複勝率27.5%に対し、5~8枠は【3-4-1-71】で同10.1%。明らかに内枠有利であることが分かる。
また、その不利な5~8枠を引いた馬のうち、「キャリア18戦以上」の馬は【0-0-0-38】という惨状だった。
残っていた6頭のうち、キャリア18戦以上に該当するのは以下の5頭。当レースで連対実績があるトウシンマカオもママコチャも、当時と一転して外枠に入るようならバッサリ消しとする。
【今年の該当候補】
・ウインカーネリアン
・トウシンマカオ
・ドロップオブライト
・ママコチャ
・ラッキースワイネス
5つの消去データを終え、確実に残るのはサトノレーヴただ1頭となった。あとは最後の項目で挙げた5頭のうち、1~4枠をゲットした馬が消去を回避する。
断じてわざと人気馬を買おうとしているわけではないが「オークス馬推し」のローズS、「ダービー上位馬推し」だった神戸新聞杯に続き、ここも「春の王者を信頼せよ」というのがデータのお告げだ。
馬券はサトノレーヴから残った馬への馬連。万が一、サトノレーヴだけが残った場合は単勝で勝負する。
《ライタープロフィール》
久保田大五郎
競馬歴14年目のアラサーおじさん。データを駆使した予想でロマン馬券を狙う。趣味は料理とプロ野球観戦。横浜DeNAベイスターズの大ファンで、好きな選手は宮﨑敏郎。
先週の神戸新聞杯ではエリキングとショウヘイだけが消去を免れた。その2頭の馬連とワイドで勝負し、見事にダブル的中。配当は大きくないが、ローズSに続いて2週連続的中となった。秋のGⅠを前に調子が上がってきた。
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