「内と前」が圧倒的有利、横山武史騎手は重賞で複回146%の好成績　中山芝1200mを徹底検証

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秋の最速王決定戦

今週末は中山芝1200mで秋のGⅠシリーズ開幕戦・スプリンターズステークスが開催される。

今年はJ.モレイラ騎手を背に春秋スプリントGⅠ連覇を狙うサトノレーヴ、2023年にスプリンターズSを制したママコチャのほか、GⅠで2着が3回、3着も3回ある実績馬で悲願のGⅠ制覇がかかるナムラクレア、スプリント重賞5勝馬でこちらも悲願のGⅠ獲りに挑むトウシンマカオなど、“6歳4強”を中心に楽しみなメンバーが揃った。

そこで今回は、スプリンターズSが開催される中山芝1200mについて枠、脚質、種牡馬、騎手の4つのカテゴリに分けて徹底検証していく。なお、参照するデータは2022年9月25日から2025年9月21日の直近3年分とする。

まずはコース解説から。外回りコース使用で、2コーナー奥の下り坂からスタート。しばらく下り坂が続くため、序盤が速い展開になりやすいことが特徴だ。

最後には中山名物の高低差2.4mの急坂が待ち受け、厳しいペースで削られたスタミナの限界を試される。スピードとタフさの両方を兼ね備えた実力馬が栄冠を手にする、スプリントGⅠの舞台としてふさわしいコースといえる。

内外で明暗くっきり

＜中山芝1200m・枠番別成績＞
1枠【18-13-14-112】
勝率11.5%/連対率19.7%/複勝率28.7%/単回収率52%/複回収率105%

2枠【12-15-11-124】
勝率7.4%/連対率16.7%/複勝率23.5%/単回収率53%/複回収率74%

3枠【21-11-11-126】
勝率12.4%/連対率18.9%/複勝率25.4%/単回収率169%/複回収率91%

4枠【7-14-17-143】
勝率3.9%/連対率11.6%/複勝率21.0%/単回収率17%/複回収率67%

5枠【14-14-11-147】
勝率7.5%/連対率15.1%/複勝率21.0%/単回収率77%/複回収率71%

6枠【11-15-10-161】
勝率5.6%/連対率13.2%/複勝率18.3%/単回収率63%/複回収率52%

7枠【14-14-16-161】
勝率6.8%/連対率13.7%/複勝率21.5%/単回収率59%/複回収率72%

8枠【7-8-15-174】
勝率3.4%/連対率7.4%/複勝率14.7%/単回収率25%/複回収率71%
※集計期間：2022年9月25日～2025年9月21日

まずは枠順別成績について。全体の傾向として内枠が非常に有利であり、大外枠の不利が大きい。

小回りな形状もあってロスなく立ち回れる1枠のアドバンテージが大きく、複勝率28.7%、複回収率105%と唯一ベタ買いでプラスになる。一方、8枠は勝率3.4%、単回収率25%に留まり、複勝率は1枠より10%以上も低い14.7%と絶望的な成績だ。

この「内枠有利、外枠不利」の傾向はスプリンターズSでも不変。過去5年の1〜3枠【3-2-4-21】複勝率30.0%、複勝回収率105%に対し、6〜8枠は【1-1-1-27】複勝率10.0%、複回収率52%止まり。枠順でこれほどまでに明暗が分かれるGⅠもなかなか無い。

ちなみに、1〜3枠に入った馬で当日5番人気以内に支持されていた馬は【2-2-3-3】複勝率70.0%、複回収率193%の好成績。軸は内枠の人気馬で間違いない。

逃げ先行馬が圧倒的に有利

＜中山芝1200m・脚質別成績＞
逃げ【21-22-11-50】
勝率20.2%/連対率41.3%/複勝率51.9%/単回収率217%/複回収率205%

先行【50-43-49-240】
勝率13.1%/連対率24.3%/複勝率37.2%/単回収率114%/複回収率128%

差し【28-32-35-425】
勝率5.4%/連対率11.5%/複勝率18.3%/単回収率39%/複回収率57%

追込【5-7-10-433】
勝率1.1%/連対率2.6%/複勝率4.6%/単回収率13%/複回収率19%
※集計期間：2022年9月25日～2025年9月21日

次に脚質別成績について。最終直線の短い小回りコースらしく、逃げ・先行馬が圧倒的に有利だ。

先ほどの“内枠有利”と合わせ、「前走4コーナー3番手以内」かつ「今回1〜3枠」の馬は【20-19-13-80】複勝率39.4%、複回収率107%とプラス域。内から前の位置が取れそうな馬を狙うのが、中山芝1200mの鉄則といえる。

なお、スプリンターズSも前有利の傾向になりやすい。実際、先行馬は過去5年で【4-3-0-12】単回収率310%、複回収率117%と圧倒的。ただし、逃げ馬は【0-0-0-5】と全滅している点には注意したい。

ちなみに、その「先行馬」を「1〜3枠」で絞り込むと【3-1-0-2】勝率50.0%、単回収率508%と凄まじい成績になる。スプリンターズSではとにかく内・前を意識することが重要だ。

ロードカナロア産駒は重賞で割引

＜中山芝1200m・種牡馬成績＞
ロードカナロア【7-10-5-72】
勝率7.4%/連対率18.1%/複勝率23.4%/単回収率20%/複回収率61%

ビッグアーサー【7-6-5-49】
勝率10.4%/連対率19.4%/複勝率26.9%/単回収率69%/複回収率75%

ミッキーアイル【7-3-7-38】
勝率12.7%/連対率18.2%/複勝率30.9%/単回収率62%/複回収率87%
※集計期間：2022年9月25日～2025年9月21日

■ロードカナロア
期間内でトップタイの7勝を挙げているが、単回収率20%に複回収率61%と妙味の面では非常に低調。加えて、重賞では【0-0-0-14】と一度も馬券に絡めていないのは気がかりだ。

思えば昨年のスプリンターズSでもサトノレーヴが1番人気で7着に敗れており、2年前のオーシャンステークス（GⅢ）でもジュビリーヘッドが1番人気で5着。上位人気に支持されるような実力馬も例外なく苦戦しているため、見かけた際は大幅に割り引く必要がある。

今年のスプリンターズSでは、サトノレーヴが出走馬で唯一のロードカナロア産駒となっている。昨年のリベンジなるか、はたまたデータ通りに苦戦を強いられるのか。上位人気は確実だけに注目ポイントとなる。

■ビッグアーサー
こちらもトップタイの7勝を挙げ、特徴は牡馬と牝馬で戦績に大きな差があること。牝馬は【0-2-2-18】で勝利なしの複勝率18.2%に対し、牡馬が【7-4-3-31】勝率15.6%、複勝率31.1%をマークしている。

ちなみに、牡馬は単回収率103%で、牝馬は複回収率106%といずれもプラス域ではある。単系馬券で狙うなら牡馬、連系馬券で狙うなら牝馬がオススメだ。

なお、今年のスプリンターズSにはカンチェンジュンガとトウシンマカオの牡馬2頭が出走予定となっている。

■ミッキーアイル
なんとこちらもトップタイの7勝。特徴としては下級条件に滅法強く、未勝利戦では【2-1-2-4】複勝率55.6%、複回収率231%を記録。1勝クラスも【3-1-2-8】勝率21.4%、単回収率112%の好成績だ。

ほかにも馬場が渋るとパフォーマンスを上げる産駒が多く、重馬場では【1-0-1-3】複勝率40.0%を記録している。

スプリンターズS出走馬では、ナムラクレアが唯一のミッキーアイル産駒。ここ2年連続で3着と好走しているものの、頂点にはあと一歩届いていない。いずれも良馬場での戦いだっただけに、道悪の恩恵があれば最後のひと押しとなるだろうか。

大舞台で輝く横山武史騎手

＜中山芝1200m・騎手別成績＞
戸崎圭太【14-1-7-39】
勝率23.0%/連対率24.6%/複勝率36.1%/単回収率93%/複回収率70%

横山武史【10-8-8-36】
勝率16.1%/連対率29.0%/複勝率41.9%/単回収率58%/複回収率78%

菅原明良【5-7-10-44】
勝率7.6%/連対率18.2%/複勝率33.3%/単回収率28%/複回収率129%
※集計期間：2022年9月25日～2025年9月21日

■戸崎圭太
2位に4勝差をつける14勝を挙げている。単回収率も93%で妙味の面でも信頼度が高い。

なかでも下級条件での信頼度が高く、特に1勝クラスでは【6-0-1-6】勝率46.2%、単回収率226%と素晴らしい成績だ。一方、意外にも重賞では【0-0-0-4】と馬券に絡むことができていない。

■横山武史
勝ち星こそ戸崎騎手の次点だが、複勝率では同騎手を上回る41.9%の好成績を残している。

こちらは対照的に上級条件でこそ輝くタイプで、3勝クラスで【3-0-0-4】勝率42.9%、単回収率138%とプラス域をマーク。その他、重賞でも【1-0-2-2】複勝率60.0%、複回収率146%となっており、大舞台で積極的に狙っていきたい。

■菅原明良
3位タイは5勝で複数名が並んでいるが、その中でも菅原明良騎手を取り上げたい。勝率こそ7.6%にとどまっているが、複勝率33.3%で複勝回収率129%とプラス域。見かけたら紐に入れて損はない。

上述の通り圧倒的に前有利のコースながら差しで【3-4-9-17】複勝率48.5%、複回収率231%と素晴らしい成績を残しており、昨年のスプリンターズSでもトウシンマカオの末脚を引き出して2着と好走した。

＜スプリンターズSの騎乗予定＞
戸崎圭太騎手：カピリナ
横山武史騎手：トウシンマカオ
菅原明良騎手：騎乗なし

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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