【スプリンターズS】コース実績は不問 激走のカギは「同年スプリント重賞V」

逆瀬川龍之介

スプリンターズS 単勝20倍以上の3着内馬9頭の共通点,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

今年の重賞実績に注目

紛れの多い短距離戦らしく、スプリンターズSは一筋縄ではいかないレースだ。直近10回を振り返ると、1~5番人気で馬券圏内を占めたのは19年の1回だけ。大波乱こそ少ないが、少なくとも1頭は伏兵が食い込んでくるのだ。

そこで同期間に単勝20倍以上で馬券に絡んだ9頭をチェック。共通項を見つけ出し、今年の激走候補をピックアップしたい。

(1)同年に芝1200mの重賞を制覇
人気薄といっても、同年の重賞実績は不可欠だ。実に9頭中7頭は、同年の芝スプリント重賞を勝っており、20年以降の5頭に限ると全馬がクリアしていた。

また、他の2頭のうち、18年2着のラブカンプーは同年の芝1200m重賞で【0-2-1-0】の好成績だった。つまり、完全な例外は18年3着のラインスピリットだけ。したがって今年になってから苦戦続きの馬は狙いづらい。

【今年の該当馬】
・カピリナ
・カンチェンジュンガ
・サトノレーヴ
・ママコチャ
・ヤマニンアルリフラ

(2)前走着順は不問
今年の重賞で苦戦続きの馬は厳しいが、かといって前走の大敗を気にする必要はない。該当9頭のうち、前走が1着だった馬は1頭もいない。

同様に2~3着だった馬も3頭だけ。15年2着のサクラゴスペル、22年1着のジャンダルム、24年1着のルガルの3頭は前走が2桁着順だったので、実力馬のガラリ一変には要注意となる。

(3)中山実績は必要なし
トリッキーと言われる中山芝1200mだが、意外にもコース実績は必要ない。該当9頭のうち、中山芝レースの出走経験があったのは前述のサクラゴスペル、ラインスピリット、ジャンダルムの3頭。さらに勝利経験となると、サクラゴスペルとジャンダルムの2頭だけだった。したがって初の中山参戦であっても全く問題ない。

激走候補筆頭はヤマニンアルリフラ

今年の芝スプリント重賞を勝っている5頭のうち、とりわけ推したいのはヤマニンアルリフラだ。今年になって覚醒し、前々走の北九州記念を3連勝で制して重賞ウイナーの仲間入り。

前走のCBC賞では12着に崩れたが、着差は僅かに0秒6。トップハンデタイの57.5kgを背負った上、終始外目を回らされたことを考慮すれば、決して悲観する内容ではなかった。

父イスラボニータ×母の父スウェプトオーヴァーボードの血統構成は、22年2着のウインマーベル(父アイルハヴアナザー×母の父フジキセキ)の父系と母系を逆にしたようなもので、ざっくりと言えばほぼ同じ。中山のGIで【3-1-2-4】と滅法強い斉藤崇史厩舎の管理馬でもあり、大仕事を期待したい。

馬券は単複をしっかりと。馬連&3連複はヤマニンアルリフラからカピリナ、カンチェンジュンガ、サトノレーヴ、トウシンマカオ、ナムラクレア、ママコチャ、ラッキースワイネスに流し、高配ゲットといきたい。

《ライタープロフィール》
逆瀬川龍之介
国内の主要セール、GIのパドックはもちろん、時には海外のセリにも足を運ぶ馬体至上主義のライター。その相馬眼を頼りにする厩舎関係者、馬主は少なくない。一方、マニアック、かつ実用的なデータを駆使して、ネット媒体や雑誌などにも寄稿するなど、マルチな才能を持っている。

《関連記事》
【スプリンターズS】昨年覇者ルガル、重賞5勝馬ナムラクレアは消し ハイブリッド式消去法
【スプリンターズS】過去10年のレースデータ
【スプリンターズS】過去10年最多4勝の4歳勢 “減点なし”カピリナ、ジューンブレアが新時代を切り開く