【スプリンターズS】サトノレーヴ、ルガルに不安データ “複勝率32.4%”4歳勢ジューンブレアらにチャンス

勝木淳

過去10年のデータから見るスプリンターズS,ⒸSPAIA

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枠順は予想の決め手に

いよいよ秋のGⅠシーズンが開幕する。短距離ナンバー1を決するレースに今年は香港からラッキースワイネスが参戦。2023年チェアマンズスプリントプライズ、香港スプリントを勝ったGⅠ・4勝馬だ。

シーズン始動戦のハンデ戦は2着に敗れたが、勝ち馬はカーインライジング。同馬は昨年の香港スプリント、今年4月のチェアマンズスプリントプライズでサトノレーヴに連勝したトップスプリンターである。

ラッキースワイネスは少し成績が下降線にみえるが侮れない。ここからは過去10年分のデータを使用して今年のスプリンターズSを展望する。

人気別成績,ⒸSPAIA


人気別成績では1番人気【4-0-2-4】勝率40.0%、複勝率60.0%、2番人気【1-2-0-7】勝率10.0%、複勝率30.0%、3番人気【3-2-0-5】勝率30.0%、複勝率50.0%と上位人気がそろって崩れるパターンは想定しづらい。

とはいえ昨年のルガル(9番人気)や22年ジャンダルム(8番人気)など穴馬の出番もあるにはある。10番人気以下も【0-2-3-64】複勝率7.2%となくはない。中山のGⅠは相手選びを慎重にいきたい。

年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢別では4歳【4-3-4-23】勝率11.8%、複勝率32.4%が主力。だが、今年は6歳【2-0-2-26】勝率6.7%、複勝率13.3%、7歳以上【1-1-1-25】勝率3.6%、複勝率10.7%などが人気を集めることが想定される。実績最上位のベテランと若い馬との戦いがテーマになりそうだ。壁はまだ高いのか。それとも勢いで越えていくのか。興味深い。

枠番別成績,ⒸSPAIA


スプリンターズSで重要な要素となるのが枠番だ。秋の中山はよほどの馬場悪化がなければ、好位の内が絶対優位。今開催もインを回らなければ好走できない状況が続く。

枠番別成績をみても、1枠【2-2-4-12】勝率10.0%、複勝率40.0%など、4枠【3-2-0-15】勝率15.0%、複勝率25.0%より内側の複勝率が高い。反面、6枠【0-1-0-19】複勝率5.0%、8枠【0-1-1-18】複勝率10.0%など外枠は明らかに不利だ。

7枠【2-0-0-18】勝率10.0%の2勝は先行したルガル、翌年に連覇を果たすレッドファルクスの1勝目。スピードタイプか連覇できるほどの馬でないと厳しい。伏兵の激走候補は4枠から内が絶対条件ではないか。

大敗後でも消せないヤマニンアルリフラ

日本勢では高松宮記念を制したサトノレーヴ、セントウルSを勝ったカンチェンジュンガ、同2着ママコチャ、同3着トウシンマカオが中心になる。

前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走クラス別成績を見る。まずは前走海外【0-0-0-8】について。直近10年で海外馬は【0-0-0-5】と冴えない。とはいえ、かつてはサイレントウィットネス、ウルトラファンタジーと香港勢も勝利をあげており、過去10年データ的には消しであっても、来ないわけではない。

消しデータは強調されたときに裏切る。データ党あるあるでもある。ついでに前走海外組となると、サトノレーヴ、ルガルも消えてしまう。

前走セントウルS(阪神)・着順別成績,ⒸSPAIA


前走GⅡ【4-4-1-46】勝率7.3%、複勝率16.4%のうち、セントウルSが【4-4-1-44】勝率7.5%、複勝率17.0%。阪神のセントウルSに絞ると【3-1-1-27】勝率9.4%、複勝率15.6%なので、勝ち馬という観点では、今年は昨年以上につながりを感じる。

その着順内訳は1着【2-0-0-4】勝率、複勝率33.3%、2着【0-1-0-5】複勝率16.7%、3着【0-0-0-2】なので、買うなら勝ち馬。頂点をつかむなら、前哨戦は勝ってほしい。データを当てはめるなら、カンチェンジュンガが優勢であり、ママコチャ、トウシンマカオは人気ほど走れない可能性も考えたい。

前走GⅢのうち、セントウルS以外のサマースプリントシリーズ組は【3-3-6-63】複勝率16.0%。函館SS【0-0-0-4】、アイビスSD【0-0-0-3】で、北九州記念かCBC賞、キーンランドCから好走馬が出ている。

この3レースの着順内訳は1着【1-0-3-10】勝率7.1%、複勝率28.6%、2着【1-1-0-10】勝率8.3%、複勝率16.7%と好走馬がよさそうだが、4、5着【0-1-2-3】、6着以下【1-1-0-27】と敗退馬もなくはない。

CBC賞2着ジューンブレア、キーンランドC2着ペアポルックスのほかに、CBC賞12着ヤマニンアルリフラも少々苦しいが候補に入れたい。スローのCBC賞で不発、ハイペースの北九州記念で勝利した実績は買いたくなる。

過去10年のデータから見るスプリンターズS,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 純白の奇跡』(ガイドワークス)に寄稿。

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