【スプリンターズS】過去10年最多4勝の4歳勢 “減点なし”カピリナ、ジューンブレアが新時代を切り開く
門田光生

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連対馬はすべて国内重賞組から
28日に中山競馬場で行われる第59回スプリンターズS。昨年に続いて海外からの参戦があり、国際レースとしての面目を保っている。外国馬の勝利は2010年のウルトラファンタジーが最後だが、今年は外国馬が奮起するのか、それとも日本馬が上位を独占するのか。ここでは過去10年の成績を基に検証していく。
☆所属
美浦所属が4勝(7連対)、栗東所属が6勝(13連対)。ただし勝率、連対率、複勝率では美浦所属が大きく上回っているため、ここでは美浦所属が優勢とする。

☆性別
牡馬(セン馬含む)が7勝(13連対)、牝馬3勝(7連対)。勝率や連対率もほぼ互角となっている。

☆年齢
4歳が最多の7連対。好走確率もトップで、文句なしのプラスデータとなる。一方、8歳以上から馬券に絡んだ馬はいない。

☆前走クラス
馬券に絡んでいるのは、すべて国内重賞組。連対馬の数はGⅠが6頭、GⅡが8頭、GⅢが6頭とほぼ横並びだが、好走率ではGⅠ組が大きくリード。ただし、今年は前走国内GⅠだった馬がいない。
なお、北九州記念とCBC賞は、2年前から施行時期が入れ替わっているので、参考記録としたい。

☆主な前走
連対数ではセントウルS組が8連対と抜けているが、母数も多く、勝率や連対率としてはそれほど高くない。ほか、キーンランドC組からは勝ち馬が出ていない。
なお、CBC賞組は【1-1-0-1】と3頭中2頭が連対しているが、これは北九州記念とCBC賞の施行時期が入れ替わる前(2024年~)のもの。よって、参考記録にとどめる。

☆前走着順
7頭が連対している前走1着、好走率が高い前走4着をそれぞれプラスデータに挙げる。一方、前走5着は連対なし、6~9着からは勝ち馬が出ていない。

☆前走人気
連対数が最多7連対の前走1番人気、勝率が20%を超える前走3番人気をプラスデータに挙げる。一方で前走4、5番人気は連対馬なし、10番人気以下からは勝ち馬が出ていない。

☆前走馬体重
勝ち馬全10頭、2着馬も9頭が前走460kgを超えていた。

☆前走の位置取り
前走の3コーナー通過順位が2番手以内だった馬からは勝ち馬が出ていない。同5番手以内で見ても勝ち馬は1頭だけで、勝ち馬9頭は、前走3コーナーを6番手以下で通過していた。

☆その他データ
前走を0.3~0.9秒差で負けた馬からは勝ち馬が出ていない。栗毛の馬も同様に勝ち馬なし。また、前走が1400m戦だった馬からは連対馬が出ていない。

新勢力の4歳世代に注目
スプリンターズSのデータをまとめてみよう。今回の登録馬に該当するデータは以下の通り。
【好走率アップ】
A「美浦所属」
B「4歳」
C「前走1着」
D「前走1番人気、3番人気」
【勝ち馬なし】
E「前走6~9着」
F「前走10番人気以下」
G「前走馬体重460kg以下」
H「前走3角2番手以内」
I「前走0.3~0.9秒差負け」
J「前走キーンランドC」
K「栗毛」
【連対馬なし】
L「8歳以上」
M「前走5着」
N「前走4番人気」
最初に、プラスデータを勝率順に並べてみる。結果は以下の通り。

マイナスデータ「E~N」に該当せず、かつプラスデータを複数持っている馬は、カピリナ(ABC)、ジューンブレア(BD)の2頭だけ。唯一、勝率20%を超える「前走3番人気」を除き、他データの勝率は横並びなので、最多3つのプラスデータに該当するカピリナが順当に本命、ジューンブレアは対抗評価とする。
続いて、プラスデータを連対率順に並べると、以下のようになる。

相手探しでは、勝ち馬が出ていない「E~K」に当てはまる馬も対象とする。
その中で複数のプラスデータに該当するのはアスクワンタイム(BD)、トウシンマカオ(AD)、ピューロマジック(BC)の3頭。勝率も連対率もトップのD「前走3番人気」に該当するアスクワンタイムを3番手…としたいところだが除外対象となるため「注」印とする。出走できた場合は注目だ。
残った2頭の比較では、2番目に連対率が高いD「前走1番人気」に該当するトウシンマカオを上にとって3番手、ピューロマジックが4番手評価とする。
◎カピリナ
○ジューンブレア
▲トウシンマカオ
△ピューロマジック
注アスクワンタイム
《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
1994年にスプリンターズSは外国馬も開放されたのですが、その年に出走したのがソビエトプロブレム。2番人気が示すように、結構な評判で来日した記憶がうっすらあるのですが、そんなことより、「コーナーで曲がり切れなかった馬」として鮮明に覚えています。左回りしか走ったことがないアメリカの馬は要注意、ということを、このレースで学びました。
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