【神戸新聞杯】上がり3F4位以内は複勝率66.7% 京大競馬研の本命はエリキング

京都大学競馬研究会

神戸新聞杯 上がり3F4位以内馬の成績

ⒸSPAIA

いかに長く良い脚を使えるかが重要

9月21日(日)に神戸新聞杯(GⅡ)が行われる。牡馬三冠の最終戦・菊花賞のトライアル競走であり、3着までの馬に優先出走権が与えられる。今年はエリキング、ショウヘイ、ジョバンニといった春の二冠で活躍した馬に夏の上がり馬も加わり、秋の大舞台を目指す10頭が揃った。少頭数でありながらも世代屈指の実力馬がしのぎを削る注目の一戦だ。

以下では、本レースが行われる阪神芝2400mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。

まずは阪神芝2400mのコース形態をみる。内回り4コーナーの出口付近からスタートし、初角までの距離は約325m。外回りコースを使用し、ゆったりとした3~4コーナーを回ると、最後は476.3m(Bコース使用時)の直線となっている。

スタート直後に勾配1.8mの急な上り坂があり、平坦な1~2コーナーを回ると向正面半ばから残り600mまではわずかに下り傾斜。そこから残り200mまで緩やかな下り坂、そして最後にもう一度勾配1.8mの急な上り坂が待ち構えている。これが今回のコースレイアウトだ。

まず注目すべきは初角までの距離が約325mとそこまで長くない点だ。序盤の先手争いは長引きにくく、ペースはそれほど上がらない。スタート直後に急坂を上ることも、ペースが上がりにくい要因の一つだ。

向正面まで淡々と流れた後、3コーナー過ぎから一気にペースアップ。序盤、中盤で脚を溜めた先行勢が一気に加速していく。前半のゆったりとした流れから打って変わり、急坂を登りきるまでラスト3~4Fの激しいロングスパート戦になる。

外回りコースを使用するため、内回りよりも外からの押し上げが効きやすく、直線に入るまでに後方勢が先行勢とのポジション差を比較的埋めやすい。後方からとなってもコーナーで動ける機動力があれば、序盤のポジション取りは大きな不利にはならない。

スローペースからのロングスパート戦で、いかに長く良い脚を使えるかが重要だ。阪神芝外回りの直線は日本の芝コースでは新潟外回り、東京に次いで3番目に長い。直線での瞬発力が試される。全馬の脚が溜まっている状況であれば、より前目で追走した方が、全体がスパートをかけ始める時点のポジション差の分だけ有利だ。

したがって、前目のポジションからラスト3~4Fの間、長く良い脚を使える馬が恵まれやすいというのが今回のレースの質だ。ここで言う「長く良い脚」は直線の瞬発力寄りであるものの、その前のコーナーにおける機動力や、最後の急坂でも伸び続ける持続力も兼ね備えた末脚をイメージしてもらいたい。

阪神開催の神戸新聞杯、上がり順位別成績,ⒸSPAIA


<神戸新聞杯 上がり3F順位別成績>
4位以内
【10-9-9-14】
勝率23.8%、連対率45.2%、複勝率66.7%
単勝回収率65%、複勝回収率153%
※阪神開催の直近10回

この傾向は数字にも表れている。阪神開催だった神戸新聞杯における、上がり3F4位以内馬の成績は上記の通り優秀だ。勝ち馬全10頭、連対馬20頭中19頭、馬券内30頭中28頭を該当馬が占めており、メンバー上位の末脚を使うことが好走の絶対条件と言い切ってよい。速い上がりを持たない先行馬の前残りは皆無だ。

また、1番人気が7回、2番人気が1回、3番人気が2回勝利していることもあって、単勝回収率はそこまで伸びていない。春の二冠で好走した能力の高い人気馬が順当に力を発揮しやすい条件であることも押さえておく。

今週、阪神芝はBコース替わりとなるため、そのぶん速い上がりを持たない先行馬の残り目にも注意をしたい。ただ、あくまで重要視するのは現時点での能力。順当に能力最上位の馬から絞って印を打っていきたい。

スローペースからのロングスパート戦

続いて、今回想定される展開から恵まれる馬を考える。

メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が3頭と、出走馬全10頭に対してそこまで多くない。そのうち直近で逃げた経験のある馬は1頭のみ、それも距離短縮のポンドロアであり、明確な逃げ馬が不在だ。前述のペースが上がりにくいコース形態と相まって、序盤は間違いなくスローペースで流れる。

この展開で恵まれるのはやはり、前目のポジションからラスト3~4Fの間、長く良い脚を使える馬だ。スローからのロングスパート戦になることは確実で、自らコーナーで動いていける機動力も、瞬発力や持続力に並んで重要となる。この点も踏まえて印を打っていく。

強烈な末脚が決め手

◎エリキング
メンバー最上位の強烈な末脚を決め手とする一頭。前走の日本ダービーはちょうど頭を大きく下げたタイミングでゲートが開き出遅れるロス。外枠主導の隊列になったことで後方イン14番手から追走した。直線では外に持ち出すと上がり最速の脚を使い0.6秒差5着。4角4番手以内の馬が1、3、4着に来る前残りの展開に伸びてきた。着順、着差以上に評価できる内容だった。

6着ミュージアムマイルが次走セントライト記念を快勝したようにやはり世代最高峰の一戦らしいレベルで、本馬も今回のメンバーでは能力最上位とみる。

元々スタートが抜群に良い馬ではないが追走力は高く、前走のようなイレギュラーがなければ先団~中団を安定して追走できる。本来のテンの速さでは今回のメンバーでも上位だ。スタートを決めて持ち前の末脚を前走よりも前の位置から発揮できれば勝ち負け必至とみる。前走の馬券外の敗戦でそれなりにオッズ妙味が見込まれる。

◯ショウヘイ
安定した先行力があり、今回は逃げの可能性もある。日本ダービーは好位から上がり3F6位の脚を使い0.3秒差3着。能力を出し切ったもので着順以上の評価はできないが、今回のメンバーでは順当に能力上位だ。坂井瑠星騎手への騎乗スタイルにも合っている印象で、好位から運んで前走同様に能力を発揮すれば好走してくる。

▲ジョバンニ
ホープフルS2着、皐月賞4着、日本ダービー8着で、エリキング、ショウヘイと並んで世代屈指の実力馬だ。常に中団から堅実な末脚を使える優等生タイプで、右回り替わりも大きなプラス材料だ。ショウヘイともども日本ダービーでは末脚が目立った訳ではないものの、このメンバーに混ざればどちらも強烈な決め手となる。今回はこの上位3頭の能力が明らかに抜けている印象で、能力を発揮しやすい条件と相まって順当に好走してくるとみた。

買い目は◎単勝1点、◎-◯馬連1点、◎-◯-▲3連複1点で勝負する。

▽神戸新聞杯予想▽
◎エリキング
◯ショウヘイ
▲ジョバンニ

◎2024年勝負買い目個人成績(東海S~ホープフルS:25記事)
・単勝27点→4830円 回収率178.9% 的中率37.5%(的中9R/推奨24R)
・馬連105点→12480円 回収率118.9% 的中率42.9%(的中9R/推奨21R)
・3連複204点→22410円 回収率109.9% 的中率17.4%(的中4R/推奨23R)

《ライタープロフィール》
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。

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