【神戸新聞杯】前走ダービー組はショウヘイに好データ 夏の上がり馬は前走距離に好走ポイントあり
勝木淳

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上位3番人気以内が堅調
ダービー馬クロワデュノールが渡仏し、クラシック三冠最終戦はダービー好走馬を中心に進んでいく。その壁に挑む夏の上がり馬たちという構図のなか、神戸新聞杯は上がり馬にとってその力を試す舞台でもある。
春二冠不出走の菊花賞馬を調べると、ヒシミラクル、ソングオブウインド、オウケンブルースリ、ビッグウィーク、トーホウジャッカル、キセキ、ワールドプレミアなどが神戸新聞杯経由で菊花賞を勝った。
条件戦から一気にGⅠというケースもあるにはあるが、まずはトライアルでしっかり重賞を経験する意義は大きい。できれば神戸新聞杯でダービー好走組と互角に戦える状況をつくりたい。データは2020~22年、24年中京施行を含め、過去10年分を使用する。

1番人気【4-1-0-5】勝率40.0%、複勝率50.0%、2番人気【3-2-1-4】勝率30.0%、複勝率60.0%、3番人気【2-3-2-3】勝率20.0%、複勝率70.0%と上位3頭の成績が抜けている。
その分、伏兵陣で目立つ数字はなく、5番人気【1-1-0-8】勝率10.0%、複勝率20.0%ぐらい。10番人気以下も【0-2-1-42】複勝率6.7%のため、一切来ないわけではないが、手を出しにくい。上位人気の好走順を確実に仕留めるべきだろう。
ちなみに1番人気のうち、前走ダービー4着以内だと【4-1-0-3】。ダービー上位着順がしっかり評価されるなら、手堅い。
ショウヘイとエリキングの取捨選択
そのダービーからは3着ショウヘイ、5着エリキング、8着ジョバンニが出走予定。2歳時の故障から立ち直ったエリキング、京都新聞杯を勝ち、ダービーでも馬券圏内に入ったショウヘイ、ダービーこそ崩れたが、それまで堅実だったジョバンニ。それぞれ歩みは異なるが、ダービーまで駒を進めたという事実は大きい。

前走GⅠ【9-6-4-30】勝率18.4%、複勝率38.8%は大半が前走ダービー組だ。当然、今年もダービー組の取捨選択から馬券検討を始めないといけない。
ショウヘイの3着は【1-2-0-1】勝率25.0%、複勝率75.0%。21年ステラヴェローチェがシャフリヤールを破り、20年ヴェルトライゼンデがコントレイルの2着に入り、19年ヴェロックスが皐月賞馬サートゥルナーリアの2着だった。ショウヘイは有力候補だ。
ちょっとデータで気になるのはエリキングの5着【0-0-0-2】だ。サンプル数2では決めつけられないが、4着【1-2-0-2】、6~9着【1-0-2-6】と前後のデータを比べると、どうも5着付近に好走の分かれ目がある。8着ジョバンニを合わせ、好走できないとはいえないものの、ショウヘイほど強気にはなれない。

エリキングの味方になるようなデータというと、ダービーでの上がり順位別成績だ。ダービーで上がり最速だった馬は【3-0-0-2】勝率、複勝率60.0%。これならエリキングも買えそうだ。
シャフリヤールを破ったステラヴェローチェもダービーでは上がり1位タイだった。この年の神戸新聞杯は中京の不良馬場だったという事情もあるが、逆転の目はある。
エリキングは4コーナー14番手から追い込んで5着止まり。上位馬たちの物理的な優位を覆すほどではなかった。だとすれば、今回もどの位置からレースを進めるかがカギを握る。多頭数だった春二冠は位置をとれなかったが、頭数が落ち着く神戸新聞杯なら位置をとれる可能性はある。

最後に阪神で行われた6回に絞って、前走条件戦【1-3-0-30】勝率2.9%、複勝率11.8%について距離の傾向をみる。同距離【0-0-0-1】、に対し、2000m【1-2-0-15】勝率5.6%、複勝率16.7%と短めのところにゾーンがある。
重賞挑戦に対し、スローとはいえ、条件戦の少し短い距離でスピードをある程度経験しないと厳しい。おそらく前半の位置取り争いで差が生じてしまうのではないか。
アルマデオロやジョイボーイなど長めの距離から転戦する上がり馬たちはポジション争いに勝たないと、脚力勝負ではダービー上位馬には敵わない可能性がある。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 純白の奇跡』(ガイドワークス)に寄稿。
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