【セントライト記念】条件戦組は大苦戦、ダービー先行馬を評価 東大HCの本命はファイアンクランツ
東大ホースメンクラブ

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菊花賞へ重要な前哨戦
月曜日、中山競馬場でGⅡ・セントライト記念が行われる。皐月賞馬ミュージアムマイル、青葉賞2着のファイアンクランツなど春に活躍した馬に加え、上がり馬からは3連勝中のサクラファレルなど12頭が出走予定だ。
昨年は勝ち馬アーバンシックがそのまま菊花賞も連勝。15年キタサンブラック以来のことだった。直近3年は全て3番人気以内の3頭による決着と、堅く決まりやすいレースでもある。果たして今年はどうなるのか。過去10年のデータから検討する。
重賞組が断然、条件戦組は相手評価まで

<セントライト記念 1~10番人気馬の前走別成績>
日本ダービー【5-7-5-16】勝率15.2%/連対率36.4%/複勝率51.5%
→前走4角4番手以内【3-4-2-5】勝率21.4%/連対率50.0%/複勝率64.3%
ラジオNIKKEI賞【3-1-1-6】勝率27.3%/連対率36.4%/複勝率45.5%
前述の通り堅く決まりがちなレースで、過去10年で馬券に絡んだのは10番人気まで(11番人気以下【0-0-0-43】)。そのため、以下は10番人気以内の100頭をデータ分析の対象とする。
勝ち馬10頭の内、5頭が前走日本ダービー、3頭がラジオNIKKEI賞。まずはここの取捨選択が重要となりそうだ。
前走ダービー組は【5-7-5-16】。21年以外いずれも馬券圏内に1頭以上は入っている。着順別で見ると、5着以内【1-3-0-3】複勝率57.1%、6~9着【0-1-3-6】同40.0%、10着以下【4-3-2-7】同47.4%。着順ではそれほど差が出ていない。
差がつく要素としてはまず「人気」がある。セントライト記念で3番人気以内なら【3-5-4-4】複勝率75.0%、4番人気以下は【2-2-1-12】同25.0%だ。ただし、複勝回収率では後者が上回っていた。また、ダービー時点の人気も参考になる。5番人気以内が【2-3-1-1】複勝率85.7%、6~9番人気【3-3-2-5】同61.5%、10番人気以下【0-1-2-10】同18.8%だった。
あとはダービーでの脚質も重要なファクター。逃げ【1-1-1-0】、先行【2-2-1-5】、差し【1-3-2-7】、追込【1-0-1-4】(マクリ【0-1-0-0】)で、前で運んだ馬ほど成績がよい。4角位置で言うと4番手以内が【3-4-2-5】複勝率64.3%、複勝回収率190%(該当馬はファイアンクランツ)。同10番手以内で【4-6-3-10】複勝率56.5%だった。後ろすぎるのは減点材料となる。
ミュージアムマイルは近走の脚質、ファイアンクランツは前走人気に減点はあるが、おおむね2頭とも信用できそうだ。
一方、難しいのがラジオNIKKEI賞組。大敗から巻き返した例もあり(21年アサマノイタズラ12着→1着、17年サトノクロニクル6着→3着)、傾向が読みづらい。今年もビーオンザカバーは必ず押さえておくべき存在と考える。前走の上がり最速4着もさることながら、2走前の山藤賞が重賞レベルの時計だったからだ。
残りは条件戦組。今年は半数以上の7頭が該当するが、データ上は大苦戦している。
まず前走1勝クラスは【1-0-2-19】。好走した3頭のうち2頭が着差1秒1で勝ってきた馬だった。前走0秒3~1秒0差で勝った馬でも【0-0-0-6】。今年は青葉賞4着、前走0秒8差のレッドバンデに可能性があるくらいだが、青葉賞や未勝利戦で後方からの競馬をしており、脚質面で強調できない。
前走2勝クラスは【1-2-0-17】。勝利orタイム差なし【1-2-0-8】が絶対条件となる。サクラファレル、ヤマニンブークリエが該当する。サクラファレルはスムーズに先行したら怖い存在だが、ヤマニンブークリエはすみれS、青葉賞の内容が物足りない。
青葉賞、ダービーは評価できる内容
◎ファイアンクランツ
勝ち鞍こそ新馬戦だけだが、後のGⅠ好走馬が複数いた札幌2歳Sや東スポ杯2歳Sでも3着、4着と安定した走りを見せている。青葉賞ではクビ差2着。その勝ち馬エネルジコが新潟記念2着、3着馬ゲルチュタールが古馬3勝クラスを突破するなどハイレベル戦の中で結果を残した。
ダービーは前有利の展開を先行して沈む結果ではあったが、タフな青葉賞からのローテであったし、重賞実績馬が少ない今回のメンバー構成なら、9着でも威張れる成績であろう。勝ち切れないタイプなので頭固定には向かないが、3連複の軸としては最適だ。
◯ジーティーアダマン
新馬戦、すみれSと2連勝。新馬戦では現3勝クラスのレクスノヴァスや、京都新聞杯4着トッピボーンなどを破った。すみれSでは今回再戦となるファイアンクランツ、ヤマニンブークリエを下している。皐月賞は14着大敗だが、上位はほとんど差し馬で展開的に厳しかった。
セントライト記念は先行【4-6-4-20】複勝率41.2%(※10番人気以内なら【4-6-4-13】で同51.9%)と前有利の傾向がある。また「逃げてオープン以上を勝ったことがある馬」は【2-0-1-3】(10番人気以内なら【2-0-1-1】)とデータは少ないものの優秀な成績。5か月の休養明けとなるのは不安だが、オッズ妙味も含めて狙ってみたい。
▲ミュージアムマイル
朝日杯FS2着、皐月賞1着の実績はメンバー内で断トツ。ダービーは6着だが、4角4番手以内の馬が1,3,4着を占める前有利の展開で、着順ほど悲観するものではない。
不安なのは脚質。朝日杯こそ先行できたがそれ以降は後方からの競馬が多く、前述のダービーに加え、弥生賞も後方からだった。セントライト記念のデータ的にも、実績馬でも後方脚質では成績が下がる。能力で解決する可能性も高いとは思うが、軸とするには危険な馬か。
以下サクラファレル、ビーオンザカバーまで印を回す。馬券は◎-◯のワイド、◎-◯-3頭の3連複で勝負する。
▽セントライト記念予想▽
◎ファイアンクランツ
◯ジーティーアダマン
▲ミュージアムマイル
△サクラファレル
×ビーオンザカバー
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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