【ローズS】ディープインパクトの瞬発力が生きる舞台 注目馬は末脚鋭く舞台適性高い2頭
坂上明大

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傾向解説
2年ぶりに阪神芝1800mを舞台に行われるローズステークス。2020~22年も中京競馬場で行われているため、過去10年では2015~19年と2023年の6開催分が参考レースとなります。
1~3着馬には秋華賞への優先出走権が付与されるため、今後に向けての大注目の一戦。本記事では血統面を中心に、ローズSのレース傾向を整理していきます。
ローズSは秋華賞に向けての最有力ステップレースのため、オークス組を中心に前走GⅠ組の実績馬が格の違いを見せることが多いレース。これは中京開催時を含め、古くから変わらないレース傾向です。
ただ、それらは当然人気になりやすく、オッズ妙味を考慮すると馬券的には前走GⅠ組以外の方が狙いやすいといえるでしょう。特に、好走馬のほとんどが芝1700m以上で連対実績があり、1600m以下でのスピード勝負では出世が遅れた素質馬を狙うのがローズSのセオリーといえます。

<前走クラス別成績>
GⅠ【6-2-4-42/54】
勝率11.1%/連対率14.8%/複勝率22.2%/単回収率47%/複回収率55%
GⅠ以外【4-8-6-87/105】
勝率3.8%/連対率11.4%/複勝率17.1%/単回収率64%/複回収率103%
※過去10年
血統面ではディープインパクト内包馬の活躍が目立ち、2013~19年の7年間で5頭の勝ち馬を輩出。2012年には4頭の出走馬が1~4着を独占し、4年ぶりに阪神芝1800mで行われた2023年も母父にディープインパクトの血を持つ馬が1~2着となっています。
阪神芝1800mは直線勝負になりやすいコースのためディープインパクトの瞬発力が生きやすく、同コースで行われる毎日杯でもディープインパクト系の活躍が目立ちます。
特に、ローズSは牝馬限定戦のためスローペースになりやすく、よりディープインパクト系の持ち味が生きやすいい舞台といえるでしょう。

<ディープインパクト内包馬の成績>
該当馬【5-4-1-23/33】
勝率15.2%/連対率27.3%/複勝率30.3%/単回収率146%/複回収率115%
※2015~19、23年
ただ、春の1600m以下でのスピード勝負とは異なりスタミナと成長力も必要となるため、春のクラシック戦線では邪魔になりがちな欧州血統、特にNureyev≒Sadler's Wellsの血を持つ馬の活躍が目立つ点は大きな特徴です。
2015~19、23年のディープインパクト内包馬の勝ち馬5頭中4頭はNureyev≒Sadler's Wellsの血も内包しており、日本の主流血統に欧州血統を加えた形がローズSでの最適配合といえそうです。
注目血統馬2頭
☆ルージュソリテール
母母エリモピクシーはリディル、クラレント、レッドアリオン、サトノルパンという4頭の重賞勝ち馬を輩出した優秀な繁殖牝馬で、本馬の母レッドオルガも2019年東京新聞杯2着など重賞級で活躍しました。
ロードカナロア×ディープインパクト×ダンシングブレーヴ×テスコボーイの本馬は柔軟なフットワークで走り、マイル前後で軽いスピードを生かす競馬がピッタリでしょう。ロードカナロア×ディープインパクトは2023年2着馬ブレイディヴェーグと同じ組み合わせで、春からの成長力にも大いに期待したい良血馬です。
☆ミッキージュエリー
2018年秋華賞2着馬ミッキーチャーム(2019年阪神牝馬S、クイーンS)の2番仔。エピファネイア×ディープインパクトの組み合わせはアリストテレスやオーソクレース、ディヴァインラヴといった菊花賞好走馬を複数頭出す長距離向きの配合形で、1800mへ距離を延ばした前走はレコードタイムでの圧勝劇を見せました。
また、母譲りの先行力も大きな魅力で、ペースを緩めれば瞬発力勝負にも対応できるはず。エピファネイア×ディープインパクトは2020年14番人気2着のムジカと同じ組み合わせでもあり、舞台適性はメンバー中屈指の一頭です。

ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
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