【ローズS】「前走オークス5着以内」は複勝率66.7% カムニャック優勢も、パラディレーヌに上昇余地
勝木淳

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オークス馬カムニャック、始動
過去10年、秋華賞における前走ローズS組の成績は【1-3-5-47】勝率1.8%、複勝率16.1%とイマイチ。かつての秋華賞最重要トライアルの姿はもうない。
ひと叩きをせず、直行ローテが主流になった昨今、こういったトライアルは目立つ。こういった状況に対し、今年からローズSは本番まで中4週と一週間延ばされた。短期放牧を挟んで挑む場合、2週間前に帰厩するとなると、中3週だとリフレッシュしきれない。中4週ならば近郊の牧場で英気を養い、心身を改める時間は増える。
この変更がローズSの輝きを取り戻すだろうか。オークス馬カムニャックの登場は日程変更の成果ともいえる。さて秋華賞へつながるのか。ローズS出走馬の今後にも注目しよう。ここからは中京開催4年分も含む過去10年間のデータを使用して今年のローズSを展望する。

人気別成績では、1番人気【3-2-1-4】勝率30.0%、複勝率60.0%とそれなりの数字を残すものの、2番人気は【1-2-2-5】勝率10.0%、複勝率50.0%。勝率においては結果を残せていない。
逆に7番人気【2-1-1-6】勝率20.0%、複勝率40.0%にツボがあり、10番人気以下も【0-3-3-63】複勝率8.7%と複勝圏内突入は十分考えられる。1番人気を評価しつつ、伏兵陣にも目を配らないと、的中にはこぎつけない。
1番人気は前走GⅠならば、【3-1-1-3】勝率37.5%、複勝率62.5%とさらに強力。これをオークスまで絞ると【3-1-1-1】勝率50.0%、複勝率83.3%で、さらにオークス馬は【1-1-0-0】となる。15年のミッキークイーン2着、16年のシンハライト1着とデータが少し古いのも近年のローズSを象徴する。カムニャックの登場はそれだけ価値がある。
先行力で巻き返すパラディレーヌ
カムニャックのほか、オークス以来となるのは4着パラディレーヌ、13着ビップデイジーなどがスタンバイ。ほかにNHKマイルC3着チェルビアット、スイートピーSを勝ったルージュソリテールなど春の実績馬の層が厚い。


クラス別成績では、前走GⅠは【6-2-4-42】勝率11.1%、複勝率22.2%。このうちオークスは【6-2-3-35】勝率13.0%、複勝率23.9%で、その着順内訳は掲示板以内【4-1-3-4】複勝率66.7%が目安となる。
上記カムニャック以外に、パラディレーヌにもチャンスあり。京都芝1800m・つばき賞で1:46.8を記録しており、外回りの芝1800mコースは得意。オークスはやや距離が長かったことを考えると、当然、ここで成績を上げてくる可能性は高い。
ふた桁着順は【1-1-0-21】勝率4.3%、複勝率8.7%とさほど強調できないので、ビップデイジーは少々苦しいか。とはいえ、阪神JF2着馬であり、デビュー2戦目の紫菊賞では京都芝1800mで先行抜け出しと、こちらも外回り芝1800mなら見直せる。チューリップ賞でやや折り合いを欠きながら先行したことが、その後のGⅠ・2戦に響いた。夏休みで上手くリセットされていれば、一変も期待できるのではないか。
なおデータを阪神開催の直近6回に絞っても、前走オークスは【3-2-2-23】勝率10.0%、複勝率23.3%と数字的には変わらない。着順内訳も大差なく、ここは過去10年データ通り、掲示板以内の馬を重視していい。

上がり馬で注目するなら前走1勝クラス【4-5-2-45】勝率7.1%、複勝率19.6%だろう。これを阪神6回に区切ると、【3-2-0-22】勝率11.1%、複勝率18.5%。その距離別成績を出すと、同距離1800m【1-0-0-11】勝率、複勝率8.3%に対し、1800m未満の延長【1-1-0-3】勝率20.0%、複勝率40.0%、1800m超の短縮【1-1-0-8】勝率10.0%、複勝率20.0%と距離変化組の成績が目立つ。
とりわけ確率を重視するなら延長組か。マイル以下のタイトな流れでの経験が重賞での対応を可能にする。前走の中京マイルで2勝目をあげたアイサンサンはオークス12着の借りを返すためにもここで権利をつかみとりたい。全姉はGⅠ馬アカイイト、4歳春に1勝クラスで初勝利をあげたエニシノウタ。まだまだ伸びる血統だ。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 純白の奇跡』(ガイドワークス)に寄稿。
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