【セントライト記念】ポイントは「ローテーション」 ダービー組より狙いたい“前走1勝クラス”の素質馬

逆瀬川龍之介

セントライト記念の狙い馬,ⒸSPAIA

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波乱の少ない一戦を解くカギは

セントライト記念は非常に荒れにくいレースだ。直近10年の3連単の配当を見ても、実に半分の5回が4桁配当。目下3年連続で1~3番人気が馬券圏内を独占しているので、無理な穴狙いは禁物といえる。

では、“買うべき馬”と“買うべきでない馬”の線引きはどこですればいいのか。その答えはローテーションにある。ここでは直近5年の傾向を徹底的に分析した上で、今年の推奨馬をピックアップしてみたい。

(1)「前走日本ダービー」×「当日3番人気以内」
セントライト記念では長らく「ダービーからの直行組」が主役を張ってきた。古くはシンボリルドルフ(1984年)、最近ではイスラボニータ(2014年)やキタサンブラック(2015年)が勝利を挙げている。

ただ、ここ5年に限ると【1-4-3-8】の勝率6.3%で、勝利は昨年のアーバンシックのみ。当日3番人気以内の馬に限ると【1-4-3-2】連対率50.0%、複勝率80.0%だから馬連や3連複の軸としては悪くないが、何かに足元をすくわれる可能性が高い。ちなみに、当日4番人気以下だと【0-0-0-6】。こちらは手を出せない。

今年の「前走日本ダービー組」はファイアンクランツとミュージアムマイルの2頭。なかでもミュージアムマイルは皐月賞馬とあって1番人気に推されそうだが、今回は馬単や3連単の2着固定で買うのが正解かも。

もう1頭のファイアンクランツもダービーでは9着に終わったが、もともと重賞好走歴のある実力馬。当日3番人気以内ならミュージアムマイルと同様の評価としたい。

【今年の該当馬候補】
・ファイアンクランツ
・ミュージアムマイル

(2)「前走GⅡ&GⅢ」×「キャリア5~6戦」×「重賞3着以内の実績」
前走がGⅡかGⅢだった馬は【3-0-0-11】と極端な成績。勝ち馬はバビット(2020年)、アサマノイタズラ(2021年)、レーベンスティール(2023年)の3頭で、共通項を探ってみると「キャリア5~6戦」かつ「重賞で3着以内の実績あり」という2つの条件をクリアしていた。

今年はエーオーキングとビーオンザカバーがともに「前走ラジオNIKKEI賞」でGⅢ組に該当するが、過去の勝ち馬3頭の条件には合致していないため見送りとする。

【今年の該当馬】
なし

(3)「前走条件戦(1勝or2勝クラス)」×「前走0秒6差以上勝ち」
前走が条件クラスだった馬は【1-1-1-29】なので、基本的には手を出しづらい。ただし、その前走を0秒6差以上で圧勝していた馬に限ると【1-1-1-1】の好成績となる。

今年は東京芝2400mの稲城特別(1勝クラス)を0秒8差で完勝したレッドバンデが唯一この条件をクリア。一気の格上挑戦で相手は強くなるが、2022年の勝ち馬ガイアフォースも同じパターンだったので問題なし。ここは強気で狙ってみたい。

【今年の該当馬】
・レッドバンデ

レッドバンデにアタマの魅力あり

以上のデータでふるいにかけると、今年のメンバーではファイアンクランツとミュージアムマイル、レッドバンデの3頭が狙い目となる。しかし、ダービー組はデータから1着候補としては買いづらい。そこで本命にはレッドバンデを推す。

前々走の青葉賞(GⅡ)ではファイアンクランツに先着を許したが、当時は未勝利を勝った直後の格上挑戦。加えて、体型を考慮しても幾らか余裕残しの体つきだった。それでいて勝ったエネルジコから0秒1差、2着ファイアンクランツとは同タイムの4着なら、勝ちに等しい内容だったといえるだろう。前走が通算4戦目とまだキャリアも浅く、ひと夏の成長という意味ではおそらく3頭の中で一番。ここで重賞初制覇を果たし、秋の大舞台での飛躍に期待しよう。

馬券はまずレッドバンデの単勝と、馬連はミュージアムマイルとファイアンクランツへの2点。馬単と3連単はレッドバンデをアタマに固定して2頭に流す。

《ライタープロフィール》
逆瀬川龍之介
国内の主要セール、GIのパドックはもちろん、時には海外のセリにも足を運ぶ馬体至上主義のライター。その相馬眼を頼りにする厩舎関係者、馬主は少なくない。一方、マニアック、かつ実用的なデータを駆使して、ネット媒体や雑誌などにも寄稿するなど、マルチな才能を持っている。

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