【セントウルS】ロングスパート戦に強い先行馬を狙え 京大競馬研の本命はママコチャ
京都大学競馬研究会

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上がりに差が生まれにくいコースレイアウト
9月7日(日)にセントウルステークス(GⅡ)が行われる。昨年は阪神競馬場の改修工事に伴う開催日割の変更のため中京競馬場で施行されたが、今年は阪神に戻る。スプリンターズSの前哨戦らしく、トウシンマカオ、ママコチャをはじめとする実績確かなスプリンターが集結。混戦模様の一戦となった。
以下では、本レースが行われる阪神芝1200mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。
まずは阪神芝1200mのコース形態をみる。向正面中央、スタンドから見てやや左寄りの地点からスタートし、初角までの距離は約240m。内回りコースを使用する。スタート直後から微かに下る傾斜で、3、4コーナー中間の残り800mから残り200m付近はより明確に下り坂になっている。最後に勾配1.8mの急坂が設けられた356.5m(Aコース使用時)の直線を駆け抜ける。これが今回のコースレイアウトだ。
まず注目すべきは初角までの距離が約240mと短い点だ。スタート直後からわずかに下りとはいえ、序盤の先手争いは長引きにくく、ペースはそこまで上がらない。また、ポジション争いでは内枠が有利となる。
序盤の緩やかな流れから打って変わり、3コーナーを過ぎてからは一気にペースアップする。序盤で脚を溜めた先行勢がここから加速していく。そのため、最終直線に入るまでに後方勢が先行勢とのポジション差を埋めにくい。
また、本格的な下り坂に突入してから直線の急坂を登りきるまでは息を入れる暇がないロングスパート戦になる。通常のロングスパート戦と今回ひと味違うのは、本レースは内回りコースを使用するという点だ。外回りに比べてコーナー区間における外からの押し上げが効きにくい。この点でより一層、後方勢が先行勢とのポジション差を埋めにくくなっている。
さらに最終直線も356.5mと比較的短く、最後に急坂があるタフなコース形態で全馬の終盤の脚色は鈍り、上がりに差が生まれにくい。直線へ向いた時点でのポジション差を直線の末脚だけで一気に逆転するのは至難の業だ。
したがって、序盤から積極的にポジションを取って内前をロスなく立ち回り、ロングスパート戦でしぶとく残せる先行馬が恵まれやすいというのが今回のレースの質だ。

<セントウルS 4角通過順別成績>
4角5番手以内
【8-7-5-36】勝率14.3%、連対率26.8%、複勝率35.7%、
単勝回収率358%、複勝回収率126%
※阪神開催の直近10回
この傾向は数字にも表れている。セントウルSにおける4角5番手以内馬の成績は上記の通り優秀だ。連対20頭のうち15頭を占めている。それ以外の好走馬もほとんどは4角中団からメンバー上位の上がりの脚を使った馬で、最後方付近から直線の末脚だけで差し切るのは難しい。
また開幕週の高速馬場での施行となるため、この点でも内ラチ沿いを通すことが重要となる。それができる器用な先行馬を重視して印を打っていく。
序盤のペースは流れる展開を想定
続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が4頭と出走馬全16頭に対してそこまで多くない。ただ、千直からの距離延長組やテンの速い馬も多く、テイエムスパーダが引っ張る形でそれなりに序盤のペースは流れるとみる。
それでも開幕週なら、恵まれるのはやはり序盤から積極的にポジションを取って内前をロスなく立ち回り、ロングスパート戦でしぶとい先行馬だ。高速馬場で先行勢が引っ張っていけば馬群は縦長の状態で最終直線に入る可能性が高い。ただでさえポジション差を埋めるのに苦労する後方勢は追走するので手一杯になる。
最後に急坂が待つタフなコース形態に、タフな展開となると、より一層内ラチ沿いをロスなく立ち回ることが重要になる。内枠からスムーズに先行できそうな馬や、内ラチ沿いに潜り込めそうな並びの馬に注目したい。この点も踏まえて印を打っていく。
展開が向く最も強い馬
◎ママコチャ
安定した先行力と堅実な末脚を併せ持つ一頭。前走の京王杯SCは好スタートから前半3F33.9秒のハイペースを3番手先行。2F目から最後まで11.2秒以下のラップが続いて全く息を入れる間がなく、前で競馬をした馬が壊滅するタフな展開の中、4角3番手から粘って0.2秒差2着。ベストより長い1400mで着順、着差以上に評価できる内容だった。
2走前の高松宮記念は先行意識の高い馬が多く、自然と差しに回る形で上がり3F3位の脚を使い0.3秒差3着。スプリントの国内最高峰の舞台で能力の高さを示した。2枠3番の絶好枠からスムーズに先行し、能力を最大限発揮すれば、距離短縮効果もあって簡単には止まらない。
◯テイエムスパーダ
1枠2番の絶好枠。前走のアイビスSDは前半3F32.0秒の超ハイペース、差し有利な展開を逃げて0.1秒差2着。着順、着差以上に評価できる内容だった。今回のメンバーで最上位のテンの速さを持ち、スタートを決めれば間違いなくハナまで取り切れる。前が残りやすいコース形態と開幕週の高速馬場、絶好枠を最大限生かせば残し切れる。
▲トウシンマカオ
スプリンターズS2着、高松宮記念4着、重賞複数勝利があり、能力、実績ではママコチャと並んで最上位の一頭。この馬にとって外枠はむしろ歓迎で、スムーズな追い出しで能力を順当に発揮すれば大崩れする要素は少ない。ただ、展開面でやや分が悪いとみて3番手評価まで。
△ヨシノイースター
中団から常に堅実な末脚を使えるタイプ。ここも3枠5番の好枠から先行する形で。
×ウイングレイテスト
能力、実績に反して毎回人気しないタイプで今回も高いオッズ妙味が見込まれる。
×カルチャーデイ
テイエムスパーダと並んで今回最上位のテンの速さを持つ一頭。外枠がやや割引評価。
買い目は◎単勝1点、◎-◯▲△馬連3点、◎-◯▲-◯▲△×3連複7点で勝負する。
▽セントウルS予想▽
◎ママコチャ
◯テイエムスパーダ
▲トウシンマカオ
△ヨシノイースター
×ウイングレイテスト
×カルチャーデイ
◎2024年勝負買い目個人成績(東海S~ホープフルS:25記事)
・単勝27点→4830円 回収率178.9% 的中率37.5%(的中9R/推奨24R)
・馬連105点→12480円 回収率118.9% 的中率42.9%(的中9R/推奨21R)
・3連複204点→22410円 回収率109.9% 的中率17.4%(的中4R/推奨23R)
《ライタープロフィール》
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。
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