【セントウルS】ママコチャ、トウシンマカオは0勝データ該当で不安あり 見逃せないサマースプリントシリーズ大敗馬
勝木淳

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上位人気か大穴か
サマースプリントシリーズ最終戦であり、スプリンターズSの重要ステップレースという二つの顔をもつセントウルSは高速決着が目立つ。秋は中央各場にとって馬場を更新した直後であり、洋芝を入れない野芝オンリーで開催される競馬場もある。
速い馬場を速い馬が走れば、当然、高速決着になる。高速馬場はサマースプリントシリーズも同じ。函館スプリントS1.06.6、アイビスSD53.7、CBC賞1.07.4と今年も速い。
高速馬場で結果を残していた馬たちが休み明けのGⅠ級と高速馬場で対戦するとなると、その差は一段と詰まってくる。ではデータではどんな傾向があるのか。過去10年分(20~22年、24年中京)のデータを使用する。

1番人気は【7-1-0-2】勝率70.0%、複勝率80.0%、2番人気【1-4-1-4】勝率10.0%、複勝率60.0%と上位人気が圧倒的に強い。出走すれば上位人気確定の実績馬の壁はこの数字をみる限り、非常に高く感じる。
反対に10番人気以下も【2-1-0-58】勝率3.3%、複勝率4.9%と大穴の激走もある。上位人気か人気薄か極端な傾向が特徴だ。

中心は4歳【5-1-1-23】勝率16.7%、複勝率23.3%、5歳【4-3-3-27】勝率10.8%、複勝率27.0%のふた世代。3歳は【1-3-1-10】勝率6.7%、複勝率33.3%と複勝率では互角以上の数字を残す。
有力勢が当てはまる6歳は【0-2-4-34】複勝率15.0%とやや物足りない。秋を迎え、その力を維持しているかどうか。その見極めはポイントになりそうだ。
サマースプリントシリーズ大敗馬も注意
6歳はママコチャ、トウシンマカオ実績馬のほかにテイエムスパーダもいる。サマースプリントシリーズ転戦馬であり、2年前、阪神で行われたセントウルSの覇者。昨年はアイビスSD3着からここに挑戦し、16着だったが、今年はどうか。

まず有力馬が該当する前走GⅡは【3-0-0-2】勝率、複勝率60.0%。京王杯SCは【2-0-0-2】で、1着【1-0-0-0】、6着以下【1-0-0-2】。勝った2頭22年メイケイエールと24年トウシンマカオはいずれも高松宮記念から京王杯SCというスプリンターによくあるローテでここに挑んだ。
今年該当するママコチャ、トウシンマカオも同じだが、過去2勝はいずれも中京のセントウルSだった。年齢データとコースの違いはどう結果に影響するだろうか。

前走GⅢ【3-8-6-77】勝率3.2%、複勝率18.1%のうちサマースプリントシリーズに絞ると、【3-7-5-70】勝率3.5%、複勝率17.6%。やはり頭数が多く、さらにゾーンを絞る必要がある。
そこで着順別成績を出すと、前走1着【0-2-1-3】複勝率50.0%、2着【1-2-0-3】勝率16.7%、複勝率50.0%、3着【0-1-1-3】複勝率40.0%と上位好走がひとつの目安だ。
なお、これを阪神セントウルSに区切ると【3-5-4-43】勝率5.5%、複勝率21.8%で、4着が【0-0-2-2】複勝率50.0%と上昇する。5着【1-0-0-7】勝率、複勝率12.5%まで入れるなら、掲示板以内でいい。北九州記念2、3着ヨシノイースター、アブキールベイ、アイビスSD2、3着テイエムスパーダ、ウイングレイテスト、CBC賞5着カルチャーデイがデータに合致する。
もう一つ気になるのは10着以下【1-2-1-27】勝率3.2%、複勝率12.9%の大敗組。これも阪神に限ると、【1-1-1-17】勝率5.0%、複勝率15.0%。CBC賞13着グランテストは重賞実績を考えると、評価できなくもない。
ついでにちょっと買いたくなる前走6~9着は阪神限定であっても【0-0-0-14】とさっぱり。ここがサマースプリントシリーズ経由の難しいところ。手を出したくなるゾーンはあえて捨てなければいけない。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 純白の奇跡』(ガイドワークス)に寄稿。
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