【紫苑S】複勝率40%超え、重賞実績馬を重視 東大HCの本命はリンクスティップ
東大ホースメンクラブ

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最後の一冠への前哨戦
日曜日、中山競馬場でGⅡ・紫苑Sが行われる。桜花賞3着、オークス5着のリンクスティップや阪神JF3着のテリオスララ、重賞3着2回のエストゥペンダなどが最後の一冠を目指して参戦する。
2年前にGⅡに昇格し、昨年はクリスマスパレードが1分56秒6のレコードタイムで勝利したこのレース。どの馬が秋華賞制覇に向けて名乗りを上げるのか。重賞に昇格した16年からの過去9年のデータから検討する。
重賞実績を素直に信頼

<紫苑S 過去実績別成績>
同年にJRA重賞5着以内あり
【9-6-5-32】勝率17.3%/連対率28.8%/複勝率38.5%
→紫苑S2番人気以内
【6-3-2-4】勝率40.0%/連対率60.0%/複勝率73.3%
春までに重賞戦線で活躍した馬と上がり馬が激突するGⅠのトライアル競走。果たしてどちらが優勢なのかデータで見ていく。
やはり重賞実績がある馬は強く「同年に重賞(※JRAのレースに限る。以下同じ)で5着以内がある馬」は【9-6-5-32】。勝ち馬全てが該当しており、ワンツースリー決着が4回あった(19、20、22、24年)。特に5番人気以内なら【9-4-4-14】で複勝率54.8%、2番人気以内【6-3-2-4】同73.3%と、人気に推された馬の信頼度は高い。
内訳を見ると、GⅢで5着以内だった馬は【5-4-5-20】複勝率41.2%に対し、GⅡなら【6-3-3-11】同52.2%、GⅠ【4-1-1-4】同60.0%とクラスに忠実。また、牡牝混合GⅢ~GⅡの5着以内馬も【2-1-2-3】同62.5%の好成績だった。2番人気以内が確実で、GⅠ実績、牡馬相手の重賞実績を兼ね備えるリンクスティップは鉄板級だ。
その重賞5着以内だった時の脚質にも注目。紫苑S自体が先行有利の傾向というのもあって、それに沿う戦法で結果を出してきた組の成績がいい。「先行して重賞5着以内」が【6-2-4-12】複勝率50.0%、差し【4-5-3-16】同42.9%、追込【2-0-1-6】同33.3%と徐々に好走率が下がる。
今年の該当馬5頭のうち、リンクスティップはきさらぎ賞で先行して2着の経験がある。ほかは差して好走していた馬が多く、特にエストゥペンダはフェアリーS、クイーンCどちらも4角2桁順位、向正面でマクったフローラSも最初のコーナーは10番手だった。届かない可能性は低くない。
次に条件戦を戦ってきた馬を見る。「1勝クラスを勝ったことがある馬」全体の成績は【7-7-3-68】複勝率20.0%と悪くはない。
ただし、1勝クラスでの大敗歴は減点材料となる。「1勝クラスで4着以下がある馬」は全体で【1-2-0-41】と壊滅的だった。
好走した3頭のうち、
24年ミアネーロ 3歳1月1勝クラス4着→3月フラワーC1着
17年ディアドラ 2歳12月1勝クラス4着→5月オークス4着
の2頭はその後に重賞でも実績を残してここに出走していた。1勝クラス4着以下があり、重賞実績がないまま紫苑Sで好走したのは17年2着カリビアンゴールドだけだ。
また、「3歳以上1勝クラス」で敗れた馬は【0-0-1-23】と厳しい。キューティリップ、ケリフレッドアスク、サタデーサンライズには越えるのが難しい壁がある。
不安材料なく
◎リンクスティップ
春二冠は桜花賞3着、オークス5着。これ自体も素晴らしい成績だが、最も強調すべきはきさらぎ賞だ。1着サトノシャイニングが皐月賞5着、ダービー4着、3着ランスオブカオスがチャーチルダウンズC1着、NHKマイルC5着、4着ショウヘイが京都新聞杯1着、ダービー3着。世代の牡馬のトップクラス相手に先行しての2着は驚きの一言だ。
オークスはデムーロ騎手が2角14番手から得意のマクリを打ったが、1、3着馬がさらに後ろからの追込馬で、結果的には悪手だった。それでも上がり3ハロンは5位。長くいい脚を使っていた。きさらぎ賞、桜花賞と渋った馬場の実績があるのも高評価。近3走ほどメンバーレベルが高くないここでは突き抜けてもおかしくない。
◯ロートホルン
新馬戦以外は全て逃げor番手追走している。未勝利戦は前日の東スポ杯(勝ち馬クロワデュノール)よりも0秒9速い時計で大楽勝。差し有利のクイーンCは逃げて7着。先行勢のなかでは桜花賞馬エンブロイダリーと中京記念を制覇したマピュースに次ぐ着順だった。フローラSも先行不利な展開のなか、0秒5差とこらえた。
前走は函館の1勝クラス勝利。クラス的には威張れるものでないが、時計は前日の3勝クラスと0秒3差だった。追込が効きにくい開幕週の中山。雨の影響がどう出るか未知数ではあるが、逃げたら厄介な存在だ。
▲ダノンフェアレディ
2歳6月の新馬戦では1番人気に応え、後の重賞馬ショウナンザナドゥ以下を抑えて勝利。しかし次走までに8か月の間隔が空いてしまい、そのエルフィンSはスタート後すぐに大きく外に逸れて競馬にならなかった。ただ、それでもオークス馬カムニャックと0秒1差だった。
忘れな草賞も流れについていけず最後方から上がり最速で4着と春は粗削りだったが、前走1勝クラスは先行して0秒3差の快勝。2着エバーグルーヴは同世代で3歳1勝クラス3、4着がある馬。これに楽勝できるだけの力は取り戻した。今回も通用していい。
消エストゥペンダ、ジョスラン
どちらも直線の長い舞台で上がり33秒台前半の脚を使えるタイプ。エストゥペンダはフェアリーS、ジョスランはフラワーCで、明らかに中山が合わなそうな走りをしていた。今週末は雨予報で、後ろから差せない馬場となる可能性もある。今回は見送りたい。
以下マイスターヴェルクまで印を回す。馬券は◎単勝と、◎-◯▲△の馬単&ワイド、◎軸相手3頭の3連複で勝負する。
▽紫苑S予想▽
◎リンクスティップ
◯ロートホルン
▲ダノンフェアレディ
△マイスターヴェルク
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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