【中京2歳S回顧】2歳日本レコード「1:19.4」の超高速決着 キャンディードの勝因と来年以降への「教訓」

SPAIA編集部

2025年中京2歳S_レース回顧,ⒸSPAIA

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3着以下を7馬身突き放す

8月31日に中京2歳S(GⅢ・中京芝1400m)が行われ、単勝6番人気、北村友一騎手騎乗のキャンディードが優勝した。

レースは1200m戦で逃げたことのあるエンヴィーミー、セイウンアインス、ジュジュドールの3頭が勢いよく先行。前半3Fは33.3秒と、この時期の2歳馬にとって非常に速いペースで流れた。

キャンディードの北村騎手は前の争いを尻目に、道中は8番手の内ラチ沿いでじっくりと脚を溜める。4角も内目で動かず、直線に向いてから外へ切り替えて進路を確保。ちょうど目の前にいた1番人気スターアニスを目標に脚を繰り出し、ゴール寸前で捕まえた。

前掛かりの展開を読んで、慌てず騒がず、冷静に仕掛けを待つ。言葉にすれば簡単だが、これを遂行できるのが北村騎手のスタイルであり長所だ。着差が着差だけに、鞍上に少しでも焦りがあれば取りこぼしていてもおかしくない。好騎乗がもたらした勝利といっていいだろう。

昨年まで同時期に行われていた「小倉2歳S」が姿形を変え、中京芝1400mに舞台を移したのがこのレース。その「小倉2歳S」も逃げ先行の競馬で初勝利を挙げた馬が集結し、ハイペースの差し競馬になりやすい重賞だった。

さらに前記の条件変更により「距離延長馬」が多く出走することとなり、ますますその性質に拍車がかかった。実際、今年も13頭中9頭が1200mからの距離延長で、案の定ハイペースとなった。

キャンディードのデビュー戦は全体時計がすごく優秀というわけではないが、ラスト1F12.0秒と逃げ馬の脚が鈍ったところへ鋭く襲い掛かっての差し切り勝ち。この「他馬がバテる展開のなかで差し遅れ気味に脚を使った経験」というのは、来年以降もこの重賞を予想する上でヒントになりそうだ。ひとつの教訓として押さえておこう。

また、今回の勝ち時計1:19.4は中京芝1400mコースの2歳レコードであるばかりか、他場を含めた芝1400mの2歳日本レコードでもあった。この日は8Rの芝1600m戦でも1:31.3という衝撃的なレコードが出た超高速馬場で、時計を手放しで称賛できない面も確かにある。

とはいえ、3着以下は7馬身離れており、上位2頭の力が抜けていたのは間違いない。両馬とも今後の飛躍に期待が持てる走りだった。

先行各馬は自己条件で見直し

単勝1.7倍の圧倒的支持を集めた2着スターアニスも、負けはしたが着差はわずかクビ差。後続馬には力の違いを見せつけた。ハイペースを先に抜け出して勝ち馬の標的になってしまったうえ、ラスト150mくらいはステッキに反応して大きく左にヨレ、最後は内ラチに接触するアクシデントもあった。

これでこの着差なら十分すぎるほど能力は示している。これから重賞で活躍していく器だろう。母エピセアローム同様、1200mの方がいいかもしれない。

3着マイケルバローズは内枠から中団のインにつけ、直線もそのまま内を突いて抜けてきた。完璧に立ち回った上で、現状は1、2着馬とは実力差がある内容だった。重賞で勝ち負けするにはさらなるレベルアップが必要だ。

次走以降で見直したいのは当然、ハイペースを先行して展開に泣いた馬たち。特に逃げたエンヴィーミーはコーナーで外に張っていて、直線も右にヨレた。右回りの1200mがよさそうだ。

そのエンヴィーミーが寄ってきて不利を受けたセイウンアインスも、今回の大敗は参考外。未勝利戦を突破したダート1200mに戻れば巻き返せるだろう。牝馬であり、門別の交流重賞・エーデルワイス賞に出走が叶うようなら面白い。

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