【新潟記念】追込の複勝率29.5%、後方から行く人気馬を信頼 東大HCの本命はエネルジコ

東大ホースメンクラブ

新潟記念のプラス条件(過去10年)

ⒸSPAIA

サマー2000シリーズの締めを飾る一戦

日曜日、新潟競馬場でGⅢ・新潟記念が行われる。ヴィクトリアマイルでタイム差なし2着だったクイーンズウォーク、同3着シランケド、3戦3勝で青葉賞を制した3歳馬エネルジコなど、春の東京で活躍した馬が秋への前哨戦として出走するほか、コスモフリーゲン、ヴェローチェエラらサマー2000シリーズ制覇を目指す勢力も参戦。17頭が出走予定だ。

「別定戦元年」となった今年、メンバーレベルは過去最高と言っていいだろう。夏のローカル最後の古馬重賞はどのような結果となるのだろうか。過去10年のデータから検討する。

後方脚質有利だが

新潟記念の脚質別成績,ⒸSPAIA


<新潟記念 脚質別成績>
追込、3番人気以内
【2-2-1-2】勝率28.6%/連対率57.1%/複勝率71.4%
3歳で同年上がり最速経験あり
【2-0-0-2】勝率50.0%/連対率50.0%/複勝率50.0%


658.7mの直線を誇る新潟外回りの2000m。夏の開催最終盤に行われることもあって、内を走る逃げ先行勢は捕まりやすい。逃げ馬は【0-1-0-9】、先行馬も【3-2-2-28】複勝率20.0%。同じコースでも過去10年で逃げ馬4連対の新潟大賞典とは全く傾向が異なっている。

最も複勝率が高いのは追込の【3-5-5-31】29.5%。3番人気以内の馬なら【2-2-1-2】とかなり信頼度が高い。軸を選ぶなら後方から行く人気馬になる。

その基準として、同年それまでのレースでマークした上がり3ハロンに注目する。まず3歳馬は【2-0-1-6】で、このうち「同年に上がり3ハロン最速を出したことがある馬」は【2-0-0-2】。ともに東京で上がり最速をマークした18年ブラストワンピース、23年ノッキングポイントが勝利している。セントポーリア賞、青葉賞どちらも上がり最速のエネルジコは信頼できそうだ。

一方で、4歳以上の古馬は少し違っていて、全体成績【8-10-9-126】複勝率17.6%に対し、「同年に上がり最速がある馬」も【3-4-4-53】で複勝率17.2%とほぼ差がない。

ただし「1600m~1800mのオープンクラスで上がり最速」があった馬は【1-3-1-12】複勝率29.4%、3番人気以内だと【0-3-1-2】となる。想定オッズ通りなら、ヴィクトリアマイルで馬群を縫いつつ33秒2の脚を出したシランケドが該当する。

また、順位と数字を掛け合わせると面白い傾向がある。同年に「上がり3位以内かつ34.5秒以上」をマークしたことのある古馬が【5-3-8-61】複勝率20.8%。それを2000m以上で出した馬なら【4-3-8-48】同23.8%、複回収率110%。つまり、ラスト時計がかかるようなレースのなかで他馬より上の脚を使った馬が高い回収率を記録している。

逆に「同年に上がり33秒3以下を出したことがある古馬」は【0-2-2-26】複勝率13.3%、複回収率35%。5番人気以内でも【0-2-1-9】と大不振。先の好データにも当てはまるシランケドを消しとはしないが、一つの傾向ではある。

「直線が長い=紛れが少ない」の等式が成り立たないのは過去の波乱からも感じ取れるが、データで見ても、純粋に上がりのタイムが速かった馬がいいわけではないとわかる。古馬の扱いはこのあたりに攻略の糸口がありそうだ。

世代限定戦で魅せた脚そのままに

◎エネルジコ
東京コースで3戦3勝、上がりは全てメンバー中最速と底を見せていない。特に青葉賞は2400m戦ながら前半1000m59秒9と流れたペースの中、外を回って加速ラップで勝利。着差こそクビ差だったが、走破時計を含めてそれ以上の価値があった。

過去10年で青葉賞から新潟記念への参戦は例がないが、同コースのダービーからは【2-0-0-3】とまずまずの好成績。外有利となっている今の新潟で8枠15番を引き、揉まれるリスクも低い。前走のように乗れば間違いなく届くだけの末脚は持っている。秋以降に繋がる走りを見せてほしい。

◯シランケド
5歳馬ながら未だキャリア11戦。1400mの新馬戦を除くと3着を外していない。評価しているのは2走前の中山牝馬S。それまで後方からの競馬が多く、2000mを使ってきた馬で、直線が短く1800mの中山牝馬Sは合わないと見ていたが、中団にはつけられた。4角では外を回って差し切り勝ち。上がり3ハロンは2位で34秒7。脚をそこまで溜められなくても力を発揮した。

前走はマイルの流れについていけなかったが、最後は33秒2の脚でタイム差なし3着と、この馬のいつもの姿も見せた。できる競馬の幅は以前より広がっている。今回はコスモフリーゲンがどのくらいのペースで逃げるか不透明だが、今なら上手く対応できるだろう。

▲シンリョクカ
昨年は8番人気から勝利し、連覇がかかる一戦。その後は馬券絡みがないが、エリザベス女王杯4着、ヴィクトリアマイルMで0秒2差6着など、GⅠで掲示板争いはしている。特に前走は追込決着の中、先行策から比較的内を突いて価値のある走りだった。

一昨年10月の府中牝馬Sを最後に33秒台の脚を出しておらず、先行してじりじりと粘りこみを狙うタイプ。昨年も逃げ馬が垂れ、後続が32~33秒前半の脚で追ってくるのをハナ差押さえてという勝ち方だった。今年も逃げ馬の後ろが手薄なメンバー構成。追込勢が差し損ねるようなら残るのはこの馬だろう。

以下ヴェローチェエラ、クイーンズウォーク、ディープモンスターまで印を回す。馬券は◎単勝と、◎軸の馬連で勝負する。

▽新潟記念予想▽
◎エネルジコ
◯シランケド
▲シンリョクカ
△ヴェローチェエラ
×クイーンズウォーク
×ディープモンスター

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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