【新潟記念】Mill Reef内包馬が8連覇中!能力・適性ともに文句なし、ブレイディヴェーグに熱視線
坂上明大

ⒸSPAIA
傾向解説
サマー2000シリーズ最終戦・新潟記念。今年は第4戦終了時点で既にチャンピオン資格を持った馬が2頭おり、2021年トーセンスーリヤ以来となる4年ぶりのサマー2000シリーズ王者の誕生が決定しています。ただし、新潟記念の結果次第では逆転の可能性も十分にあり、シリーズ最終戦として大注目の一戦です。本記事では血統面を中心に、新潟記念のレース傾向を整理していきます。
最注目は「前走サマー2000シリーズ組」。もちろんこれにはサマー2000シリーズの最終戦であることが関係しており、新潟記念の賞金に加えて総額4000万円の褒賞金も懸かった一戦となれば、GⅠ並に力を入れる馬が出てくるのは当然のこと。
過去10年でも前走サマー2000シリーズ組(函館記念・七夕賞・小倉記念・札幌記念)の回収率は高く、特に前走2着以内だったポイント上位馬の成績は非常に優秀。今年の登録馬では、獲得ポイント首位タイのヴェローチェエラだけでなく、コスモフリーゲン、シェイクユアハート、ディープモンスターの計4頭にサマー2000シリーズ優勝の可能性があり、勝負度という点で上記4頭は要注目の存在です。

<前走サマー2000シリーズ連対馬>
該当馬【2-2-2-10/16】
勝率12.5%/連対率25.0%/複勝率37.5%/単回収率106%/複回収率98%
※過去10年
また、「前走GⅠ組」にも要注目。新潟記念はサマー2000シリーズ最終戦としての位置づけのほか、秋のGⅠへの前哨戦としての役割も担っています。過去10年のうち前走GⅠ出走馬が4度も優勝しており、ハイレベル戦を戦ってきた前走GⅠ組は休み明けであっても軽視は禁物です。

<前走GⅠ出走馬>
該当馬【4-2-017/23】
勝率17.4%/連対率26.1%/複勝率26.1%/単回収率152%/複回収率99%
※過去10年
血統面ではMill Reefに注目。同馬は1971年に欧州三冠(英ダービー、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス、凱旋門賞)を史上初めて達成した歴史的名馬で、欧州血統の中でもしなやかな末脚が持ち味の名血です。
3ハロン勝負ではサンデーサイレンスに劣るものの、4~5F勝負では本馬の欧州的持続力が活き、4F勝負になりやすい新潟芝2000mという舞台は非常に相性のいいコースです。実際、新潟記念ではMill Reef内包馬が2017年から8連覇しており、昨年8番人気の低評価を覆して勝利したシンリョクカは母レイカーラがMill Reefの5×4を持つ馬。今年も最注目の血統とみて間違いないでしょう。
また、Mill Reefと同じNever Bend×Princequillo系のRivermanの血を引く馬も好成績を挙げており、2022年に10番人気の低評価を覆して勝利を挙げたカラテはMill Reef≒Rivermanの6×5を持つ馬。同馬は翌年の新潟大賞典も制しており、新潟芝2000m重賞ではMill ReefとRivermanの血に注目です。

<血統別成績>
・Mill Reef内包馬【8-5-2-24/39】
勝率20.5%/連対率33.3%/複勝率38.5%/単回収率310%/複回収率144%
・Riverman内包馬【2-1-0-7/10】
勝率20.0%/連対率30.0%/複勝率30.0%/単回収率270%/複回収率107%
※過去10年
注目血統馬2頭
この章では前記のレース傾向に合う注目血統馬を2頭ピックアップ。血統面を中心に解説します。
☆ブレイディヴェーグ
母インナーアージは二冠牝馬ミッキークイーンの全姉で、母自身も芝1600~2500mで4勝を挙げた中距離馬。スレンダーな体つきは母譲りのそれで、ロードカナロア産駒の本馬も2000m前後が適距離でしょう。
ロードカナロア×ディープインパクトという主流配合に、Nureyevの5×5など欧州血脈の仕掛けを併せ持つ点も◎。1600mからの距離延長はプラス材料で、Mill Reef≒Rivermanの6×6を持つ点も新潟記念では大きな魅力です。前走はマイルGⅠの安田記念で0.3秒差の4着。能力面、適性面ともにメンバー中屈指の実力馬です。
☆シンリョクカ
母レイカーラは2014年マイルチャンピオンシップ優勝馬ダノンシャークの半妹で、本馬は同馬と同じディープインパクト系のサトノダイヤモンド産駒。ダノンシャークはディープインパクト+フランス牝系らしいしなやかな末脚を武器に京都外回りコースで好成績を挙げており、本馬も直線の長い中距離戦でMill Reef的末脚を活かす競馬がベストでしょう。
昨年の覇者であり、適性面についてはメンバー中屈指の一頭。前走はヴィクトリアマイルで6着も勝ち馬とは0.3秒差。前走GⅠ組でもあり、2000mへの距離延長でさらに高いパフォーマンスが期待できそうです。

《ライタープロフィール》
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。
現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
《関連記事》
・【新潟記念】過去10年のレースデータ
・【新潟記念】ブレイディヴェーグ、クイーンズウォークら豪華顔ぶれ 前走GⅠ組優勢も「距離」に気になるデータ
・現役最高の新潟巧者は? 勝率52.4%の「ルメール」×「未勝利戦」など騎手、種牡馬ごとに徹底検証
