【札幌2歳S】「函館芝1800mを逃げずに勝利」を狙え データ完璧ショウナンガルフ、初戦秀逸アーレムアレス
SPAIA編集部

ⒸSPAIA
夏競馬最大の出世レース
9月6日(土)に札幌競馬場で札幌2歳S(GⅢ・芝1800m)が行われる。クラシックに向け、中距離の流れを経験させつつ賞金を加算したい素質馬にはうってつけであり、毎年のように好メンバーが集まる重賞だ。
2020年の優勝馬ソダシは阪神JFや桜花賞を勝ち、翌年のジオグリフも皐月賞を勝ってクラシックホースとなった。昨年もやはりレベルは高く、勝ち馬マジックサンズがその後NHKマイルCで2着、2着アルマヴェローチェは阪神JFを制し、桜花賞とオークスでタイム差なし2着と春GⅠを沸かせた。「夏競馬最大の出世レース」と呼ぶにふさわしい。
今年もショウナンガルフやロスパレドネス、アーレムアレスら評判馬が激突する。冬のGⅠ、そして来春のクラシックを占う上でも注目の一戦だ。過去10年のデータとともに展望していこう。
ハッキリした好走、凡走データあり
まずは人気別成績から見ていく。

1番人気【3-1-3-3】、2番人気【2-0-2-6】、3番人気【2-1-0-7】と上位人気の信頼度はそこまで高くないようにも見えるが、勝ち馬はいずれも6番人気以内から出ていた。突拍子もない荒れ方はないが、有力と目される5~6頭のなかでは視野を広く持ちたい。
ちなみに単勝オッズを基準にすると、30倍以上が【0-1-0-51】とほぼ好走していない。ここをひとつのボーダーと考えてよさそうだ。

続いて前走クラス別。新馬戦から来る馬が【5-5-7-51】複勝率25.0%、未勝利【4-2-0-25】同19.4%、OP・重賞【1-3-3-20】同25.9%。微差だがOP・重賞>新馬>未勝利という序列になっている。
ただし、前記の「単勝オッズ30倍以上」を除いて再度チェックすると、新馬【5-5-7-30】複勝率36.2%、複回収率74%、未勝利【4-2-0-8】同42.9%、複回115%、OP・重賞組【1-2-3-7】同46.2%、複回141%と様相が一変した。一定以上の支持を集める馬に限れば、2戦以上のレース経験を積んできたことはむしろポジティブな材料と解釈できる。

前走内容に関して掘り下げていく。やや一貫性は薄くなるが、明確に好走率が高いデータ、減点材料となるデータがそれぞれ複数存在するので、オムニバス的に紹介する。
まずは前走人気。1番人気に支持されていた馬が【7-3-4-19】複勝率42.4%と高確率で馬券に絡む。対照的に、前走5番人気以下は【0-1-1-35】同5.4%と振るわない。この時期の2歳重賞のメンバーは「前走勝った馬」ばかりになるが、「どういう人気で勝ってきたのか」まで気を配って評価に差をつけたい。
次に前走の上がり3ハロン。好走馬はいずれも「前走上がり3位以内」という共通項を持ち、同4位以下から参戦した馬は【0-0-0-19】と全滅だった。
前走コース別だと、福島組が【0-0-0-13】と厳しい数字。もっともこの13頭は最高でも5番人気であり、福島から転戦で上位人気になった馬はほぼいない。ロスパレドネスまで同列にしていいかは微妙なところ。
逆に成績がいいのは前走函館芝1800m組。なかでも「逃げずに勝った馬」は【4-2-2-6】複勝率57.1%、単回収率475%、複回収率157%と素晴らしい。最優先したいデータだ。

今度は戦歴以外の要素をチェック。2歳重賞ではおなじみの「生まれ月」に注目すると、2月以前生まれ【4-7-4-22】複勝率40.5%に対し、同3月以降は【6-3-6-74】同16.9%とくっきり差がついていた。なるべく早生まれの馬を狙いたい。

最後にそれ以外でポイントとなりそうなデータをいくつか紹介する。まずノーザンファーム生産馬がやはり強く【4-4-5-11】複勝率54.2%。昨年は3頭出走させてマジックサンズ、アルマヴェローチェ、ファイアンクランツと上位を独占した。今年もショウナンガルフ、ロスパレドネス、スマートプリエールの豪華布陣を送り込む。要警戒だ。
最終週の重賞とあって枠順的には外寄りが優勢。特に8枠は【2-5-2-11】複勝率45.0%で、前走上がり2位以内の馬に絞ると【2-4-2-7】同53.3%、複回収率198%だ。外枠の差し馬がいい。
あとは騎手。「誰がいい」ということではなく、この10年の優勝馬はいずれも前走から継続騎乗で臨んでいた。鞍上が替わると【0-3-3-42】複勝率12.5%、複回収率22%。ここで勝ち負けできる好素材なら騎手が手放さない、ということだろう。
データ的に完璧なショウナンガルフ
「単勝オッズ30倍以上は不振」「人気馬なら未勝利、OP・重賞組も問題なし」と、「前走1番人気」「前走函館芝1800mを逃げずに勝った馬」「2月以前生まれ」「ノーザンF生産馬」「継続騎乗」が好成績……というデータを踏まえ、登録馬について具体的に述べていく。
データ面でほぼ完璧なのはショウナンガルフ。前走は函館芝1800mの新馬戦で1番人気に推され、逃げずに2番手から勝利した。1月生まれのノーザンファーム生産馬で、鞍上も池添謙一騎手が継続騎乗予定。非の打ち所がない。
須貝尚介厩舎で函館芝1800mの新馬勝ちを収めた馬といえばゴールドシップ、ローブティサージュ、アドマイヤエイカン、トリオンフ、サトノゴールド、ソダシ、マジックサンズなど昨年までに10頭。GⅠ級に出世した馬が多く、札幌2歳Sに出走した際の成績も【3-2-1-3】と申し分ない。
懸念としてはショウナンガルフ自身の新馬戦が道悪の6頭立てで、相手関係も手薄だったこと。良馬場になり、強敵との対戦でどこまでやれるのか。不透明な部分は残っている。
2番手に挙げたいのはアーレムアレス。こちらも函館芝1800mを逃げずに勝ち上がった馬で、2月生まれだ。新馬戦はデビュー前から評判の高かった良血馬ハムタンに0.3秒差をつけて差し切り勝ち。ラストは11.8-11.3の加速ラップだった。レース内容は今夏の北海道シリーズでもトップクラスに秀逸だ。
ほか、スマートプリエールはノーザンF生産馬で、前走1番人気、函館芝1800mを逃げずに勝ってきた。同じくノーザンF生産馬、ジオグリフの全弟ロスパレドネスは福島デビューが減点要素。ただ、こちらも新馬戦の時計は優秀であり、能力は高そうだ。
能力という意味では新馬戦の末脚がインパクト絶大だったポペットも気になるところ。しかし前走7番人気、4月生まれなど、データ面からは推奨しにくい。

《関連記事》
・【札幌2歳S】過去10年のレースデータ
・現役最高の札幌巧者は? 「芝の松岡正海」「砂の武豊」など騎手、種牡馬ごとに徹底検証
・2歳戦に強い騎手、調教師を東大HCが徹底調査 川田将雅騎手はGⅠで勝率42.9%、単勝回収率317%
