サトノグランツら重賞馬2頭の半妹、キタサンブラック産駒の注目株がデビュー 血統で見抜く新馬の力

貴シンジ

2025年8月31日(日)新潟5R出走予定 ガローファノの血統分析,ⒸSPAIA

今週デビュー予定の注目新馬

出走する全馬が初出走となる「新馬戦」は、他のレースと予想のアプローチが全く異なる。調教で能力を見定める方法もあるが、実戦で同様の走りができるかは未知数だ。

従って、血統面からのアプローチが他のレースに比べて格段に有効となる。そこで今回は血統のなかでも“牝系”にフォーカスして、今週デビュー予定の2歳新馬のなかからピックアップした2頭を解説。デビュー戦の展望はもちろんのこと、血統から想定できる潜在能力や将来性についても深掘りしてみたい。


8/31(日)新潟5R・芝1800m ガローファノ

2025年8月31日(日)新潟5R出走予定 ガローファノの血統分析,ⒸSPAIA


日本での牝祖は母チェリーコレクト。同馬自身が競走馬として優秀で、現役時に伊オークス、伊1000ギニーを勝利している。その後、繁殖牝馬としてノーザンファームが導入したため日本へ。これまでの繁殖成績も優秀だ。

交流重賞のクイーン賞(JpnⅢ)を制したダイアナブライト(父ディープインパクト)をはじめ、京都新聞杯と神戸新聞杯を勝ったサトノグランツ(父サトノダイヤモンド)、さらに重賞勝ち鞍こそないもののワーケア、ダノングレースといった強豪を輩出している。

ちなみに、従姉妹にもチューリップ賞3着のノーブルスコアがいるなど、ファミリー全体の活力が高い。豊富なスタミナと末脚の持続力の高さが特徴で、ヨーロッパのファミリーとしては珍しく早期から活躍できることも強みの一つだ。

本馬は父にキタサンブラックを迎えた。産駒の特徴としては、スタミナがあって中距離以上を走れる馬も多く、チェリーコレクトとの組み合わせであれば牝馬といえど中距離以上が主戦場となるだろう。キタサンブラックのもつLyphardの血はチェリーコレクトと相性が良く、本馬にも初戦から期待がかかる。オークスが大目標になりそうだ。

<血統から想定できる潜在能力>
・馬場適性:芝
・距離適性:1800~2400m/ベスト2400m
・能力:スピードS/瞬発力A/パワーS/持久力S
・同タイプ:ジェラルディーナ
・特徴:末脚の持続力◎/スタミナ豊富
※持久力=スピードの持続力


8/31(日)札幌5R・芝1800m ヴィスコンテッサ

2025年8月31日(日)札幌5R出走予定 ヴィスコンテッサの血統分析,ⒸSPAIA


日本での牝祖は祖母マルペンサ。菊花賞と有馬記念を勝ったサトノダイヤモンド(父ディープインパクト)、芝短距離で活躍したリナーテ(父ステイゴールド)を出した優秀な繫殖牝馬だ。

本馬の母マルケッサ(父オルフェーヴル)は競走馬としては活躍できなかったが、牝系の活力はしっかりと受け継いでいる。すでに産駒からはホープフルステークスの勝ち馬ドゥラエレーデ(父ドゥラメンテ)が出た。豊富なスタミナ、タフさがこのファミリーの最大の特徴で、早期から活躍できるのも強みだ。

本馬は父にシルバーステートを迎えた。同馬はスピード性能の高さを産駒に伝えるのが上手で、母に不足している部分を補えている理想的な配合と言えるだろう。

半姉にあたるバロネッサ(父ロードカナロア)やマリアイリダータ(父ドゥラメンテ)といは本馬より遅いデビューだったが、母方の傾向を引き出しやすいロードカナロアとドゥラメンテが父だったことを考えると、本馬のデビュー時期は妥当だろう。精神面さえ克服できれば新馬戦から勝ち負けできる。

<血統から想定できる潜在能力>
・馬場適性:芝
・距離適性:1800~2400m/ベスト2000m
・能力:スピードS/瞬発力A/パワーS/持久力A
・同タイプ:ドゥラエレーデ
・特徴:スタミナ◎/早熟性
※持久力=スピードの持続力

《ライタープロフィール》
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか「競馬王」など商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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