【札幌記念】重賞実績のない馬には厳しいレース 東大HCの本命は金鯱賞&GⅠ実績でホウオウビスケッツ
東大ホースメンクラブ

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夏競馬のメインを飾るスーパーGⅡ
日曜日、札幌競馬場でGⅡ・札幌記念が行われる。桜花賞馬ステレンボッシュや中距離重賞戦線で活躍中のホウオウビスケッツ、函館記念を10番人気ながらレコードタイムで制したヴェローチェエラ、クイーンS2着から中1週で臨むココナッツブラウンなど16頭が出走予定だ。
このレースで最後に1番人気が勝利したのは14年前。また直近3年は前年覇者が出走するも馬券圏外に敗れており、一筋縄ではいかないレースだ。馬券の組みがいがあるともいえる。過去10年のデータから答えを探りたい。
GⅡ以上の実績がカギ

<札幌記念 同年の重賞実績別成績>
国内GⅠで5着以内【4-3-5-10】勝率18.2%/連対率31.8%/複勝率54.5%
国内GⅡで5着以内【5-6-5-34】勝率10.0%/連対率22.0%/複勝率32.0%
→2番人気以内【2-2-3-3】勝率20.0%/連対率40.0%/複勝率70.0%
札幌記念はGⅠで活躍する馬から、GⅢを主戦場とするような馬までが集結する。好走傾向があるのはどんな戦績の馬かを考える。
やはりGⅠ経験馬は強く、同年のGⅠ(※国内GⅠを指す。以下同じ)で5着以内がある馬は【4-3-5-10】で複勝回収率は115%。着差1秒0以内という観点で見ても【5-4-5-20】複勝率41.2%、複勝回収率103%となっている。
着差別の内訳を見ると、同年GⅠ勝ち馬【1-0-2-2】複勝率60.0%、複回収率76%、(負けた馬は)0秒1~0秒2が【1-2-3-4】同60.0%、142%。0秒3~0秒5が【3-1-0-8】同33.3%、75%、0秒6~1秒0が【2-1-2-9】同35.7%、134%。0秒6以上、1秒0以下と比較的負けていた馬の方がむしろ妙味がある。大阪杯5着のホウオウビスケッツは勿論、着外ではあるものの大きな差がなかったステレンボッシュやリビアングラス、コスモキュランダが浮上する。
同年にGⅡで5着以内がある馬は【5-6-5-34】複勝率32.0%。GⅠの5着以内馬と比べ見劣る結果に。ただ、人気馬は安定しており、2番人気以内は【2-2-3-3】だ。レース別で見ると、金鯱賞の5着以内馬が【2-0-1-3】と素晴らしい。その他AJCC、京都記念で5着以内の馬に複数の好走例があった。
GⅡの実績すらない馬は一気に好走率が落ちる。同年GⅢ5着以内馬は【2-0-3-42】複勝率10.6%、複回収率32%。全体の複勝率が21.3%なので、その半分だ。加点材料にはならない。
上記どれにも当てはまらない、同年の国内重賞で掲示板がない馬は【2-2-2-37】複勝率11.3%。好走した6例のうち、24年ノースブリッジは海外GⅠで3着、18年マカヒキは長期休養明けでこれがこの年の初戦だった。ほかソーヴァリアント、ウインマリリン、ブラストワンピースは近一年以内に重賞勝利があった。過去に重賞実績がない中で好走したのは重賞2戦目だったナリタハリケーンだけ。GⅢで不振の馬が大逆転できる場ではない。
安定した戦績を信頼
◎ホウオウビスケッツ
3戦前の中山金杯では大敗したものの、大外枠と59.5キロの斤量という不利があってのもの。その前に大きく崩れたのは23年12月で、基本的に戦績は安定している。
ダービー馬2頭に次ぐ3着だった天皇賞(秋)や、ヴィクトリアマイル2着のクイーンズウォークとハナ差の金鯱賞など近走実績も十分。また重馬場経験もあり、昨年の函館記念で洋芝でも結果を残している。今回コスモキュランダやヴェローチェエラ、ココナッツブラウン、ステレンボッシュなど他の重賞好走馬に後方脚質が多く、貴重な先行タイプ。軸に最適だろう。
◯ヴェローチェエラ
昨年下半期に条件戦を3連勝。日経新春杯1番人気、阪神大賞典2番人気に推されたほどの馬だ。函館記念の10番人気は過小評価であった。そこでの勝ちっぷりは強烈。4角前で位置取りを上げると、直線で一時完全に抜け出した。最後は着差を縮められているが、最大では3馬身程リードを作っていたのではないか。時計もレコードと文句なしだ。
前走函館記念組の好走は17年以降出ていないが、これはメンバーレベルの問題。札幌記念で3番人気以内に推された馬がおらず、4~6番人気は【2-0-1-0】。この人気帯にかかる可能性は十分あり、再びの好走に期待できる。
▲ステレンボッシュ
昨年の桜花賞馬。阪神JF、秋華賞、香港ヴァーズと昨年までGⅠで5戦連続3着以内と安定した成績だった。しかし今年に入ってからの2戦で大敗。特に大阪杯は、同じ7枠で2着だったロードデルレイと同様の進路を取ったにもかかわらず全く伸びなかった。
一方でヴィクトリアマイルの結果は悲観していない。桜花賞馬ではあるが、3歳のその後の活躍を見るに本質は中距離馬と見ている。中距離路線の馬が苦戦しているVMで8着は納得と言えるもので、着差は0秒3。大阪杯の内容ならもっと大敗もありえた。今回は2000mに戻り、他にGⅠ勝ち馬もおらずメンバーは緩和される。まだ見限れない。
以下ハヤテノフクノスケ、リビアングラス、コスモキュランダまで印を回す。馬券は◎軸の馬連で勝負する。
▽札幌記念予想▽
◎ホウオウビスケッツ
◯ヴェローチェエラ
▲ステレンボッシュ
△ハヤテノフクノスケ
×リビアングラス
×コスモキュランダ
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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