【札幌記念】非サンデーサイレンス系が単複回収率100%超え トップナイフは展開次第で粘り込み可能
坂上明大

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傾向解説
サマー2000シリーズ第4戦としてだけでなく、秋の中長距離GⅠを展望する一戦として毎年GⅠ級の素質馬が集結するレースです。
今年はGⅠ馬がステレンボッシュ1頭のみですが、GⅠ好走馬も複数頭登録しており、ハイレベルな一戦になることは変わりないでしょう。本記事では血統面を中心に、札幌記念のレース傾向を整理していきます。
まず押さえておきたいポイントは格が重要であるということ。前述の通り、札幌記念はサマー2000シリーズ第4戦としてだけでなく、秋のGⅠ戦線に向けての始動戦としても非常に重要な役割を担っています。
さらに、定量戦という点も大きなポイントで、GⅠ馬であってもハンデを背負わずに出走できるため、地力が結果に直結しやすいレースといえるでしょう。
また、札幌競馬場の直線距離は短いですが、コーナー角は非常に緩やかな競馬場であるため、立ち回りの上手さだけでは押し切れない舞台。このコース条件も実績馬の好走を後押ししています。
過去5年の連対馬全10頭は前走GⅠ組(海外含む)。また、過去1年以内に芝GⅠで3着以内の好走実績がある馬の成績も優秀で、やはり札幌記念においては格が最重要といえます。

<前走クラス別成績(過去5年)>
GⅠ(海外含む)【5-5-3-17/30】
勝率16.7%/連対率33.3%/複勝率43.3%/単回収率105%/複回収率132%
GⅠ以外【0-0-2-35/37】
勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率5.4%/単回収率0%/複回収率16%
血統面では非サンデーサイレンス系に注目。前述の通り、地力上位馬が走りやすいレースのため血統面からの適性評価の重要度は高くありませんが、洋芝かつ直線距離の短いコースであるため、軽い芝の瞬発力勝負に強いサンデーサイレンス系は相対的にパフォーマンスを落とす傾向にあります。
特に母父も非サンデー系の馬の成績は非常に優秀で、一昨年に9番人気2着と穴を開けたトップナイフは1本もサンデーサイレンスの血を持たない馬でした。非主流血統の実績馬が札幌記念で狙うべき馬の特徴といえるでしょう。

<非サンデーサイレンス系の成績(過去5年)>
非サンデーサイレンス系【4-4-3-28/39】
勝率10.3%/連対率20.5%/複勝率28.2%/単回収率68%/複回収率98%
→母父非サンデーサイレンス系【4-3-1-15/23】
勝率17.4%/連対率30.4%/複勝率34.8%/単回収率115%/複回収率119%
【注目血統馬】
前記の傾向に合う注目血統馬を2頭ピックアップしました。
☆ホウオウビスケッツ
名種牡馬キングカメハメハの母であるマンファスを3代母に持ち、母ホウオウサブリナはマンファスの3×2を持つ野心的な配合馬。本馬はマインドユアビスケッツ産駒のスピード馬で、父譲りの先行力と母譲りの底力が競走馬としての強みとなっています。
また、母母父にはディープインパクトを持ち、水準以上の瞬発力も兼備。苦手条件の少ないオールラウンダータイプで、父も母父も非サンデーサイレンス系という点も大きな魅力です。昨秋の天皇賞(秋)でドウデュースの3着なら格についても不足はないでしょう。
☆トップナイフ
2015年七夕賞2着馬ステラウインドの半弟。デクラレーションオブウォー産駒の本馬はサンデーサイレンスの血を1本も持たず、Danzig系らしい機動力を生かしたいタイプです。
欧州血統主体の血統構成から洋芝適性も水準以上で、3歳時には札幌記念2着の実績。直近2戦はハイペースの展開に泣いており、平均~スローペースになれば粘り込む可能性は十分です。

ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
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